09.public visionカテゴリーに投稿されたすべての記事です。

2008年10月13日

a001016

対話で導く技術。

インターネットの利用で最もよく使うのは検索エンジンだと思うのですが、検索が「対話」であるということはあまり意識していないものです。けれども、検索窓に言葉を入れてクリック、という行為についてもう少し丁寧に考えてみると、検索エンジンと対話をしていると考えられます。

たとえば仮にサーチエンジンを擬人化して、サーチ子(幸子?笑)としてみましょう。検索の過程では、次のような対話がなされているのではないでしょうか。

サーチ子:「何を調べたいですか?ここに入れてくださいね」
利用者:「クラウドかな。最近よく使われるよね。クラウド・・・なんだっけ」
サーチ子:「クラウドコンピューティングという候補がありますが、いかが?」
利用者:「それそれ。調べて(ボタンを押す)」
サーチ子:「ご主人さま、こんな結果が出ました」
利用者:「いつも早いね、ありがとう。うーむ、この記事を読んでみようか」
サーチ子:「では、わたくしはここでお待ちしております。
       御用があれば声をかけてください」
利用者:「うん。またね、サーチ子」

コンシェルジュ(案内人)という言葉も使われたことがありましたが、インターフェースを人間と親和性のあるものにしていくと人間に近くなる。もちろん機能重視のユーザーや技術者にとっては、演出過剰な親和性よりも削ぎ落とされた使い勝手のほうが便利だとは思います。ビジュアルによるインターフェースよりコマンド入力のほうが慣れているということもある。それから正直なところ、あまりバーチャルなコンテンツに馴れ馴れしく語りかけられると、気持ち悪い(笑)

とはいえ、多くのひとにとっては、機能を理解せずに直感的に使うことができるほうが便利です。分厚いマニュアルが添付されるような機器は、どこか設計が技術よりで、ユーザーのことを考えていないと思われても仕方ない。というのは、iPodに付属するマニュアルは薄っぺらな冊子にも関わらず、使いこなせてしまう。ユーザービリティを洗練させるとシンプルになっていきます。

いまのところグーグルはあまりにも機能的な検索エンジンですが、いずれは上記のような対話で処理できるようになるかもしれません。SFのようですが、そう遠くない未来には実現するのではないでしょうか。さらに音声で対話できるようになれば、もっと人間的になる。いわゆるロボットです。

音声認識、音声合成(たとえば音楽制作のVocaloidなど)について以前から関心がありました。そんなわけで動向をウォッチしていたところ、グーグルでもGoogle Audio Indexingという開発が行われ、動画コンテンツの発言や会話の内容から検索できるような技術に取り組む動きもあるようです。

とはいえ、最近のニュースを読んでいて面白い、と思ったのはCNETjapanの「人工知能による会話マーケティングの可能性」でした。ここでは日産のNOTEのサイトを紹介しながら、ユーザーと対話するインターフェースの面白さ、可能性について解説されています。

日産NOTEといえば、アニメ「The World of GOLDEN EGGS」のキャラクターが愉快に喋る、あのCMを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。実はCMだけでなく、ウェブサイト「NOTEにのって!.com」もおもしろいことになっている。人工知能を用い、ユーザーの質問にCMのキャラが反応してくれるというものだ。

GOLDEN EGGSはチョコにもなっていましたが、人気がありますね。実際のサイトは以下になります。音声が出ることがあるので、ご注意ください。

■NOTEにのって!.com
http://www2.nissan.co.jp/NOTE/E11/0801/index.html

081013_note1.jpg

音声をオンにすると、実際にテキストと音声でコーチが語りかけてくれます。そして、サイトのナビゲーションをしてくれる。さらに、「コーチと会話する」という部分をクリックすると入力窓が開いて、コーチにテキストで話かけることができます。同様の仕組みは数年前に某キャッシング企業がサイトの上部に受付嬢を配置して、お客様からの質問に答えるというコンテンツを用意することによって、アクセス数が急増した、という事例もありました。

コーチには申し訳ないのですが、どうでもいい質問をしてみました。まずは「あんた、だれ?」

081013_note2_re.jpg

会話になっていますね。次に、「ひま?」

081013_note3_re.jpg

前の質問より苛立っている気がする(笑)。答えが短めです。

どんな質問をしてもサイトのコンテンツに誘導されてしまうのが残念ですが、仕掛けとしては面白い。

この会話エンジンは、ピートゥピーエー(PtoPA)という企業が開発した人工知能ソフトウェア「CAIWA」を利用しているようです。そして、どのようなテキストが入力され、会話されたかによって、マーケティングに利用しようという試みもあるとのこと。無意識のうちにアンケートをされているような感じがして、あまりあからさまにテストされるのはどうかと思うのですが、そんな活用方法もあるでしょう。ぼくのように、どうでもいい会話をしている訪問者のデータは、まったくマーケティングに役に立たないかもしれませんが(苦笑)。

余談ですが、NOTEのサイトでは、GOLDEN EGGSのブログパーツも6種類用意されていて、それぞれが面白い。いくつもブログパーツを貼り込むとエントリーが重くなってしまうのでどうかと思うのですが、3つほど貼ってみます。

まずは、ひたすらクリックすることによって、ジェシカ姉さんと試乗ソングを競うパーツ。でも、ジェシカ姉さん、テンション高すぎ(笑)。うぉ~という唸りからハイテンションのボイスが楽しい。

タイプの練習のパーツもあります。やってみたところ、む?これなんて書いてあるんだ?と困惑したため、初級と診断されてショックだった。いや、ぼくは一応ブラインドタッチで早いつもりなんですけど。

さらに、これはびっくりする!要注意です。

使い古された言葉ですが、インタラクティブ(双方向)という意味では、こうしたブログパーツも対話のひとつといえるかもしれません。とはいえ、GOLDEN EGGSのキャラクターと合っていて、うまくできたコンテンツだな、ということを感じました。企業やクルマの好感度も上がります。

キャンペーンを仕掛ける裏側には、技術であったりコンセプトであったり、マーケティングによる効果測定などビジネスとしての現実があるのですが、楽しいコンテンツは純粋に楽しい。ビジネスの視点を持ちつつ、楽しむ純粋さを忘れないようにしたい。

また、ネットに限らなくてもいいかもしれないですね。佐藤尚之さんの「明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法」という本には、スラムダンクの作者である井上雄彦さんが読者に感謝を伝えるためのキャンペーンとして、廃校を利用して黒板にマンガを書いた、というようなイベントが書かれていましたが、そんな発想ができるといいなあと思いました。

投稿者: birdwing 日時: 11:41 | | トラックバック (0)

2008年8月28日

a000988

未来のフォルム。

都心では今年の夏、どしゃどしゃ雨が降って、がらがらカミナリが鳴る日が多く、だいじょうぶか地球?という不安が募ります。おまけに地震も頻繁に発生するようで、何かがおかしい。

変化というものはちいさな振幅で近付いてくるものですが、認識されるぐらいに大きくなったときには、もはや取り返しがつかない。豪雨やカミナリや繰り返される地震は、地球の悲鳴のように聞こえます。あまりにも大きな自然の力に、ちっぽけなぼくらは為す術もないのだけれど、なんとかできないだろうか。

洞爺湖サミットの開催など、社会的には環境に対する意識が高まっているようであり、サーバーの省電力などに注力するグリーンITという言葉も最近よく聞きます。環境に対する取り組みは、まず個人が率先すべきだとは思いますが、企業としてもがっつりと取り組んでほしいところ。

とはいっても、環境対策にもお金がかかるもので、なかなかビジネスと両立できないのではないでしょうか。内部統制によってますますプリントアウトされる紙が増えるなど悩ましいのですが、個人レベルではできないことを法人が取り組むことによって、地球の悲鳴を少しでもやわらげることができたらいいですね。

あまり熱心に環境について考えているわけではないので不謹慎ではありますが、エコの分野で惹かれているのは電気自動車の世界です。

21世紀であることだし、未来には夢を抱いていたい。どうしても電気自動車というと、電池を入れて走るラジコンみたいなイメージがあるのですが、美しいフォルムのスポーツカーもあります。たとえばシリコンバレーのベンチャー企業であるテスラモータースのクルマ。サイトから。

■TESLA MOTERS
http://www.teslamotors.com/

080828_tesra1.jpg

なんとなくヨーロッパの雰囲気があって素敵だ。

080828_tesra2.jpg

テスラモータースのテスラは、エジソンと並ぶ天才と呼ばれている発明家のニコラ・テスラから取ったようです。ニコラ・テスラといえば「シガレッツ」という映画のなかで、テスラコイルというカミナリを起こすような機械が出てきたのですが、その発明者として知りました。

テスラモータースの電気自動車は、無骨なコイルが飛び出ているようなものではなく、美しい未来的なデザインでカッコいい。走行する雰囲気も優雅です。プロモーションビデオをYouTubeから。

■Tesla Roadster

おおお、やはりエンジンというよりモーターの音なんですね。当たり前ですが。

一方で日本にもすごい電気自動車があります。慶應義塾大学で開発されているELLICAです。こちらのサイトもいい感じです。

■ellica.com 慶應義塾大学電気自動研究室
http://www.eliica.com/

080828_Eliica.jpg

YouTubeからはテレビ番組。

■Carro Eletrico ELLICA

ポルシェと競争してますね。8つのタイヤそれぞれにモーターが直接付いているため、加速が凄いらしい。最高速度は400キロ近く(370キロ)出るとのこと。しかし2億5000万円のクルマとは。

レーサーの片山右京さんも試乗されたようで、BIGLOBEの記事で次のように語っています。

基礎テストということで、タイヤからサスペンションを通してインプットされる路面のデコボコの影響や、タイヤのころがり抵抗のデータを中心に集めたので、速度は250キロ程度の走行。いつもの爆音状態のコックピットと違って、振動も少なくまさに未来感覚。

さらに、200キロを超えるあたりからは、ヒューンとキーンが混ざったUFOみたいな音がしてきて、気分はスターウォーズのスカイウォーカー。気に入りました。

エコロジーとテクノロジー、そしてビジネスをともに発展させるのは困難かもしれません。しかし、リクナビネクストのTech総研に、ELLICAプロジェクトの清水浩教授のインタビューが掲載されていますが、清水教授を電気自動車の研究に突き動かしてきたのは、子供の頃にとにかくクルマが好きだった、とのこと。なんだか心温まるものがありました。

ほんとうに迷ったときは、原点に帰ればいいのではないでしょうか。自分が快く思うもの、満足できるものは、たとえ大勢ではなかったとしても、誰か他のひとを喜ばせたり満足させたりするものだと思います。それに自分が満足できないものは、ひとにも薦められない。

年齢とともに野心は枯れていってしまう気がしているのですが、世界を変えてやるぞ、ぐらいの勢いを取り戻したいものです。電気自動車の開発プロジェクトのような仕事はなかったとしても、少しでも何かを変えていきたい。ランチからの帰り道、突然の豪雨に打たれて、びしょびしょになりながら、エコとビジネスについてそんな思いをめぐらせてみました。

投稿者: birdwing 日時: 23:59 | | トラックバック (0)

2008年8月 7日

a000980

ストリートビューを歩く。

歩くことが趣味です。ブログで何度か書いているのですが、いろいろなことを考えながら歩くことが多い。といっても、健康のためのウォーキングではないので、歩き方の薀蓄は何もありません。時折道草もしながら、ただぼけーっと歩いているだけです(ということを書きながら、今度ウォーキングについて調べてみようと思いついた)。何の役にも立たないけれど、わずかばかり健康に貢献しているはずであり、お金もかからないのでお手軽な趣味といえます。

さて、そんなウォーキングなぼくが5日のネットのニュースをみてすぐに反応して、思わず「グーグル凄い!」というメールを送ってしまったのが、グーグルマップのストリートビューでした。

ストリートビューは、地図上でクリックするとその場所の地上から見た写真が表示されます。表示されるだけではなく、マウスの操作でぐるりと360度見渡すことができる。さらに、道に沿って写真を見ることができる。パノラマ写真にする技術としては、AppleのQuickTimeに同様の技術があった気もするのですが、とにかく実際の街を通りに沿ってずんずん歩いていけることが凄い。楽しい。

グーグルは、まず海外でストリートビューのサービスを展開していたこと、人物の顔などをぼかす技術を開発したこと、偶然に掲載されてしまった自分の写真がプライバシー侵害だということで訴訟が起こっていることなどは知っていました。

しかし、知っていることと実際に体験することは雲泥の差がありますね。しかもこのストリートビューは、友達に教えたり、YouTubeと同様にコードを取得してブログに貼り付けることもできます。

ちなみに、かつて「無音の闇、騒音の闇。」というちょっと暗めなコンテンツを書いたことがあるのですが、そのときに取り上げた場所をストリートビューで表示すると次のようになります。


大きな地図で見る

従来からあった航空写真でみると、こんな感じ。


大きな地図で見る

いままで俯瞰する鳥の視点だけだったのですが、地面を歩く犬(実際にはグーグルカーという車でゆっくりと走行しながら撮影しているようですが)も獲得できるわけです。これは思わず「すげー!」と声が出ました。

たぶん活用方法としては次の3つがあるのではないでしょうか。

■1.訪問する予定のある場所をみる(事前体験)
どこかへ出かけるときには地図を確認するものですが、平面的な地図と実際の場所は食い違っていて迷うことも多いものです。しかし、ストリートビューを使えば、道順に沿って、事前にこれから行く場所への行き方を疑似体験することができます。

■2.行った場所をみる(事後体験)
たとえば初デートなどの場合(笑)、彼女と歩いても緊張して覚えていないことも多いのではないでしょうか。いっしょにウィンドウショッピングして歩いた道や散歩した街などを、追体験することができます。

■3.行きたい、行けない場所をみる(疑似体験)
なかなか旅行に行きたくても行けないものですが、ストリートビューを使えば時間や費用の制約なしに、さまざまな場所を「歩く」ことができます。特に山奥の細い道などを歩くのは、実際には余程時間がない限り難しいのですが、そんな体験までできる。

事前体験/事後体験(追体験)/疑似体験と分けてみたのですが、最後の疑似体験に関していえば、ある意味、これは“現実をロールプレイングゲームのように仮想化した”ともいえます。

ドラゴンクエストを筆頭とするRPGのように、リアルなストリートをずんずん街を歩いていける。そのうち誰かに出会う・・・なんてこともできるのでしょうか。セカンドライフという3DのCGにより仮想の都市を作ったり歩き回ることができるサービスもありましたが、現在はそれほど盛り上がっていないような印象があります。登場する時期が早すぎたのかもしれません。けれどもいずれは、2Dのサイトから、3D的な奥行きのあるインターフェースに変わっていくのではないでしょうか。もちろん、2Dのテキストによる資産なども残しながら。

ただ、この凄いサービスもすぐに問題が浮上しました。海外と同様、勝手に撮影した画像によってプライバシーの侵害であるとか、防犯のためによくないのではないか、ということです。J-CUSTニュースには路上で高校生のカップルがキスをしている場面なども引用されていて、ぼくは微笑ましいと思うのだけれど、本人にとっては恥ずかしいし、ネガティブな感情を増幅させるひともいるのかもしれません。

■何でも見れちゃう「ストリートビュー」 ドロボーの物色に「悪用の危険性」http://www.j-cast.com/2008/08/06024765.html

ちなみに、グーグルに削除申請をすれば、画像は削除していただけるようです。

もちろん問題はあると思うし、実際に自分とわかる人物がとんでもない場所で撮影されていたら(とんでもない場所ってどこだ。苦笑)、困惑したり頭にきたりするかもしれないのですが、とりあえずは、問題よりもすげー!という気持ちが強い。

画期的なイノベーションの多くは、便利さや楽しさの絶賛とともに批判を生んできました。自動車も便利さとともに公害や事故などの問題を生じさせ、テレビも娯楽としての行き過ぎた内容に眉を潜めるひとたちが登場し、インターネットやケータイサイトも殺人予告や誹謗中傷などの問題から疑問視されています。しかしながら、ぼくは二面性があるものにこそ、文化が大きく発展する種子があると考えています。それに健全すぎるものって、どこか不健全じゃないですか。

結局のところ、きっこさんのブログで書かれていた「ストリートビューはプライバシービュー」の次の気持ちに近いものがあります。安易だ・・・とは思いますが。

‥‥そんなワケで、ナンダカンダと疑問を呈してみたけど、せっかくの無料サービスなんだから、あたしもみんなとおんなじに、しばらくは楽しんでみようと思ってる。そして、まずは「芸能人探し」でもしてみようかと思ってる。すでに、某公園で犬の散歩をしてる某芸能人も発見しちゃったし、これからは、知ってる芸能人の自宅周辺を中心に、順番に覗いて行こうと思う今日この頃なのだ。

実際に、アイドルの撮影風景とか、交通事故の風景とか、そんなものもみつかっているようです。交通事故はどうかとは思うけれど、街を歩くことで面白いものも発見できる。かつては赤瀬川原平さんなどが「路上観察学会」などというものを結成されて、マンホールの蓋などストリートに存在する面白いものを発見して楽しんだり考察する動きもありました。既にあるのかもしれませんが、「グーグルストリート(路上)ビュー観察学会」のようなものもできそうです。

面白いものとしては、ストリートビューの撮影のために走っているグーグルカーをみつけたひともいるとか。

■北海道で目撃されたグーグルストリートビューカー
http://www.gizmodo.jp/2008/08/post_4110.html

さらにグーグルは途方もない時間をかけてこのサービスを構築しているようです。1つの都市をカバーするには3~4ヶ月かかっているとか。

■「ストリートビュー」のプライバシー問題、グーグルが方針説明
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/05/20489.html

そんなわけで無駄にグーグルマップを歩き回っていたところ、なんだか疲労が(苦笑)。バーチャルな世界にも疲労はあるんですね。というよりも、バーチャルな世界とはいえ、撮影された写真は現実なので、脳内では実際に歩いた身体と同様の疲れが生じるのかもしれません。とんでもない時代になってきました。

投稿者: birdwing 日時: 23:59 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年7月31日

a000975

技術をどう開発するか、伝えるか。

技術の進歩に関心があります。新しもの好きということもあるのだけれど、いま使っているコンピュータがもっと使いやすくなってほしいし、こいつはすげーっ!というような何かが生まれてほしい。21世紀に生きているのだから、変化の過程を堪能したい。ロボットはもちろん、ブログのように技術を含めた文化の行く末も追いかけていきたいと思います。追い回されないように気をつけながら。

たとえば、iPhone3Gの登場で注目を集めているタッチパネル。手で触れるなど直感的なインターフェースに、ぼくは個人的な関心があります。「指で触れる、操る。」のようなエントリーで、マイクロソフトの「Microsoft Surface」について書いたこともありました。

面白いなと思ったのは、マイクロソフトが公開した球面コンピュータ「Sphere」です。映像を見たほうが早いと思うのでYouTubeから。

■Microsoft Surface Sphere

水晶玉を操っている占い師あるいは魔法使いのようなイメージも重なるのですが、写真などのイメージを指先で操作し、ぐっと押すと反対側に飛ばすこともできるらしい。これは、反対側にいる別のひとに「ほら、これ見てよ」というようなコミュニケーションをするときに使うようです。

CNETJapanの「MSの球面コンピュータ「Sphere」--研究者が語る将来性」の記事から引用します。

Microsoftは独自に球体コンピュータの概念を追求してきたが、ハードウェアの研究は単独では難しいと結論づけた。そこで、美術館、博物館での展示やマーケティングディスプレイなどの用途ですでに球体コンピュータディスプレイを市販しているGlobal Imaginationのテクノロジを取り入れることにした。「Magic Planet」という名前で知られている球体ディスプレイは、直径16インチ(約40.6cm)から高さ6フィート(約1.8m)まで、さまざまなサイズがあり、アクリル製で、特殊コーティングにより、投影された画像をくっきりと表示できる。

独自で開発ではなく、既に開発しているところの技術を取り入れるところがマイクロソフトらしいと思いました。しかし、この記事に書かれているように、面白いんだけれど一体どこに・・・という困惑があります。

最近、デジタルサイネージと呼ばれる屋外広告の話題も聞きます。液晶などによって屋外広告で動画などでみせる設備が生まれていますが、それに近い用途でしょうか。しかし、実践的な開発というよりも、どこか注目を集めるための奇抜なプロトタイプ(試作品)に目的がある気もしています。人寄せのような意図ばかりが感じられて、いまひとつ疑問がある。

「Sphere」の技術はちょっと現実離れしている気がするのですが、マイクロソフト関連でもうひとつ面白いなと思ったニュースは「Mojave」プロジェクトでした。サイトも洒落ています。50人を越えるユーザーの動画のサムネイルが表示されていて、マウスを動かすとウェーブする。楽しい。

■The "Mojave Experiment"(英語)
http://www.mojaveexperiment.com/
080731_mojave.jpg

Windowsの最新OSはVistaですが、Vistaに関しては使いにくいという悪評が多い。会社でもいまだにXPの機種が多く、売れ行きも芳しくないということも聞きます。

このMojaveというプロジェクトは、ちょっとドッキリカメラっぽいのですが、「マイクロソフトの新しいOSを使ってみてくれませんか」ということで、いろんなひとに使ってもらいます。その結果、ほぼ9割を超えるひひとに、すげーっ!という声をいただくのですが、実は・・・。

その後、テスターのみなさんが使っていたOSはVistaだった・・・というタネあかしがされます。広告にも似たようなものがありますが、これは広告代理店を使わずに、マイクロソフトが自ら試みたテストをまとめたものだとか。コーラの宣伝だったかと記憶しているのだけれど、銘柄を示さずに「どちらが美味しいと思いますか?」という声を聞く手法にも似たところがありますね。

やはりユーザーあっての技術なのだな、と思いました。ユーザーの声に勝る広告はない、とも。

とある事例制作のコンサルタントの方が、映画のCMで「○○サイコー!」という試写会の参加者の声がわざとらしくて効果がないのではないか、実際に映画を観たひとはサイコーなんていわない、という考察をされていました。確かにそうかもしれません。ただ、臨場感を伝えることはできると思います。

答えを誘導するような質問によって無意識のうちに言わせるように仕向けた言葉ではなく、ユーザーが自発的に語った言葉は強い。それがネガティブな意見であっても、「Vistaはひどい」というようなマイナスの言葉があるからこそ、よいという評価も真実味を帯びるのではないでしょうか。もちろん、この動画がやらせではないことが前提ですが。

CNETJapanの「「Vista」復権計画--MSの「Mojave」プロジェクトとその背景「から次を引用します。

 「今後数週間以内に、Microsoftの顧客がWindows Vistaに対して抱いているかもしれない根強い不安感に対処するキャンペーンを開始する。さらに2008年中に、顧客にとってのWindowsの意味および価値を再定義する、より包括的な活動を行う」(Ballmer氏)
 しかし、Mojaveプロジェクトの力となったのは、Vistaは不当に悪く言われていると語るBallmer氏を初めとするMicrosoftの社員ではなく、一般の人たちだ。
 数年前のAppleの「リアルピープル」キャンペーン、Folgersなどの昔ながらのコマーシャルを思い起こさせるMojaveプロジェクトは強い武器になるかもしれない。

iPhoneの快進撃によりMacの売り上げも伸びているとか。マイクロソフトとしては、アップルに対抗するキャンペーンやプロモーションが重要になってきます。しかし、単なるイメージ戦略ではなくユーザーに語らせるという手法のほうが効果的ではないかと思いました。

ブログのようなCGMの場でもVisitaを擁護する動きがあれば面白いのですけれどね。これもまた広告のプロによって作られたイメージや、意図的な「やらせ」ではなく。

投稿者: birdwing 日時: 23:59 | | トラックバック (0)

2008年7月17日

a000967

ひとつ目のガジェット。

ウェンツ瑛士さんが扮する鬼太郎の映画の2作目「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」が12日から公開されているとのこと。夏の風物でもあるオバケというわけで季節にぴったりです。しかしながらぼくとしては、妖怪というよりも厳しい暑さのせいで溶解しそうです。どろどろ~。汗みどろ~。

先日、旧作がテレビでやっていたので長男くんとぼけーっと観ました。どうせハリボテのような妖怪が登場する子供だましで、お笑いやアイドルを起用した話題づくりのしょうもない映画じゃないのかと思っていたのだけれど、そこそこ面白かった。長男くんも楽しんで観ていました。しかし、この映画でいちばんのはまり役といえば、田中麗奈さんの猫娘ではなかろうか。このひとは猫だ。ひじょーに猫らしい女優だ。

ということはどうでもいいのですが、原研哉さんの「白」というデザイン系の本を読んでいたこともあり、なんとなくよいデザインについて調べていたところ、ソニーのサイトで「手のひらにのるテレビ」に注目しました。

080717_tenohira1.jpg

これは・・・鬼太郎の父親、つまり目玉親父じゃないのかな(笑)。

白以外の色もあるのだけれど、なんとなくしっぽらしいものもあってちいさなオバケのようでかわいらしい。Flashバージョンのサイトをみると、みんなで歩き回るようなアニメーションも作られていて楽しい。YouTubeに映像があったので掲載してみます。

実際にこのテレビにはインターフェースとして、カラーバーのほかに「face」や「eye」という生物的なものもあります。まさに「eye」は目玉親父だ。インターフェースのページではアニメーションを見ることができるのですが、ときどきまばたきをする。とはいえ、こんなまばたきをするテレビが部屋にあると、ちょっと怖いかも。テレビオバケという気がします。

これが「eye」のインターフェース。

080717_tenohira2.jpg

どちらかというと、次の「face」のほうが愛嬌があります。

080717_tenohira3.jpg

アンドロイドやロボットにもいえることかもしれませんが、あまり人間や生物をリアルに模倣するのではなく、インターフェースはシンボル化したほうが利用するひとにとっては落ち着くこともありますよね。

手のひらにのるテレビの試みとイベント自体は昨年の春に開催されたもので、繊維とエレクトロニクスのコラボレーションというコンセプトで行われたようです。以下、プロフィールの部分から引用しておきます。

「日本のハイテク繊維を活用して、人と繊維とエレクトロニクスの新しい関係を築けないか?」

日本を代表するグラフィックデザイナー、原研哉氏のディレクションの下、「TOKYO FIBER '07 SENSEWARE」という展覧会が東京とパリで開催されました。テーマとして掲げられたのは「SENSEWARE(センスウェア)」。「WEAR(衣服)」ではなくて「WARE(機器)」。身体感覚とインタラクトするハイテク繊維との新たな関係を模索しました。この試みに、デザイナーや建築家、企業が賛同しました。

この目玉テレビ(失礼)に似ているな、と思ったのが情報端末のchumbyでした。iPhone3Gの登場で盛り上がりつつあるタッチスクリーンを採用したデバイスです。もうすぐ日本でも発売されるとのこと。詳細はアスキーの記事から。

■chumbyで遊ぼう!
http://ascii.jp/elem/000/000/148/148593/

chumbyも外側の部分は合成皮革を使っているようで、ふつうのPCなどと違って手触りがやわらかい。機能もやわらかく、無線LANの内蔵と700種類ものウィジェットを切り替えることができ、ゲームにもなれば天気予報を伝える端末にもなる。カスタマイズが可能で、Hackable(ハック可能な端末)だそうです。持っているひとたちの間でコミュニティもできそうです。

カラーバリエーションとしては、茶色と白の「Latte」(ラッテ)がかわいいのですが、白と黒のパンダなんてものも発売されそう。性能的にはひと昔前のPDAと同等らしく、末永く生き残る情報端末かというと疑問を感じますが、こういう楽しい端末があってもいいですね。USのサイトはこちら。

■chumby
http://www.chumby.com/

080717_chumby.jpg

iPhone3Gのようなクールな端末もかっこいいのですが、そうではない生活に馴染むような端末も生まれてくるのかもしれません。筐体の手触り感など五感に訴えることも、大切な訴求ポイントになるでしょう。そしてやはりデザインが重要になります。といっても、あまりに生物的であると、オバケみたいで困惑するのだけれど。やはり情報端末なので、親近感もほどほどに。

いまのところ爆発的に人気があって市場の「オバケ」となっているiPhone3Gですが、このヒットが牽引してタッチパネルという機能にも注目が集まっているようです。以前、ブログでも取り上げたMicrosoft Surfaceのような触って直感的に操作できる端末がもっと出てきてほしいと思います。

そのうちにデジタルな情報だけでなく、実体のないオバケにも触れるようになったりしてね(苦笑)。

投稿者: birdwing 日時: 23:37 | | トラックバック (0)