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2005年12月11日

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音声合成がひらく未来。

田舎で母はひとり暮らしをしているのだけれど、冷蔵庫とおしゃべりをしているらしい。と、いっても冷蔵庫にぶつぶつ話しかけているわけではなくて、音声チップによるガイダンス機能のようなものがついていて、たとえばドアが開いていると「ドアガアイテイマス」と音声で知らせてくれる。そこで「はいはい、すみませんね。いま閉めますからね」のように対話をしているとのことです。ちょっと寂しい気もするけれども。

人間の声で対話する機械としては、留守番電話がいちばん古いような気がします。デジタルカメラにも音声ガイダンスの機能を装備したものがあったかもしれません。家電がみんなお話するようになると、部屋のなかは騒々しいし、逆に困惑しそうな気もするのですが、この音声合成の技術について個人的には関心があります。

そもそもこの音声合成はそれほど遠いものではなくて、WindowsXPには標準で搭載されています。コントロールパネルを開いて、「音声認識」というアイコンを開き、音声認識のプロパティで音声合成のタブを選択すると、テキスト読み上げの機能を試すことができます。日本語ではLH KenjiとLH Naokoという2種類が用意されています。ケンジとナオコって誰だ、という気がするのですが。

最近、自分のブログに追加機能のような形でペットを飼ったり、いろんなニュースを表示させたりしているひともいるのですが、BIGLOBEには「音声合成シール」というのがありました。これは登録したメッセージを読み上げてくれるものです。まだ使っていないのですが、ちょっと面白そう。Podcastingなどもありだとは思うのですが、そこまでやらなくても、ホームページのBGMを流すように音声で話しかけるというのも面白い試みです。

ぼく自身は、趣味のDTM(パソコンで音楽を創ること)で、Vocaloid Meikoというソフトウェアを使っているのですが、これは現実に存在する拝郷メイコさんという歌手の声をもとに、合成する歌うソフトウェアで、パラメータをいじっているとかなりリアルな声になる。いまひとつコツをつかみきれいないのですが、なかなか奥の深いソフトウェアです。実は11月中にほとんど完成していたのですが、クリスマス向けの曲を作りました。今週の中ごろにはmuzieで公開する予定のこの曲でも部分的にVocaloid Meikoを使っています。

各社の音声合成の取り組みを比較しようと思ったのですが、別の機会にします。

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■ウェブリシール。たぶん合成する声からデザインしたキャラクターだと思うのですが、もうちょっと普通のキャラがあってもいいような気もします。くちびるだけというのはなまめかしいんだけど、どうなんだろう。
http://webryseal.biglobe.ne.jp/sealcatalog.html

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2005年12月10日

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球体のなかから。

健康がいちばん大事である、ということをあたらめて感じています。肉体的にも現在いっぱいいっぱいなので、どうしても思考も狭まりがちです。飛躍した考え方ができません。以前にも書きましたが、やはり身体と文体には何か関連性があるのかもしれない。とにかく自分の周囲3メートル以上には思考が広がっていかない感じです。その周囲3メートルの球体のなかに閉じこもっているわけですが、これは擬似的には卵の状態なわけで、そこから翼の生えた何かが生まれてくれるといいんだけど、と期待もしています。と、こういう抽象的な表現自体が、具合の悪い証拠です。やれやれ。

球体に閉じこもりながら、偏差値教育の弊害というか、どうしても加点にしても減点にしても得点を気にしたり、相対評価が気になるのですが、よのなかにおける位置を確認したところで、それでしあわせなのかな?という根本的な疑問をぼんやりと感じました。他人と比べてたとえば優れていたとしても、自分の心のなかで納得がいかなければ不幸せですよね。ということを書いていたら、村上春樹さんの「東京奇譚集」の最後の作品「品川猿」を思い出したのですが、床にまで広がっている自室の本の山から、その一冊を探し出す気力がありません。猿が名前を奪うことによって自分の名を喪失してしまう主人公のお話ですが、そのきっかけとなったのは主人公が学生の頃に暮らしていた寮のものすごくきれいな友達だったような気がします。その友達は見るからに誰よりも優れているようなのに、嫉妬心がある。そういう状態は見かけにかかわらず不幸だと思います。というのも、たえず誰かと自分を比較して心の均衡を崩しているからです。

知識などに関しても、それ自身を楽しむ純粋な気持ちで蓄積していけばいいのですが、他人に披露*1してやろう、アクセス数を稼いでやろう、ちょっと儲けたりもしたい、というヨコシマな気持ちが入ると途端に不幸になることもある。無心であることがいちばんです。

数日前、ココログでブログを展開している眞鍋かをりさんの「眞鍋かをりのココだけの話」を買ってしまいました。ココログブックスです。ブログをみてりゃいいじゃないか、ということもあるかもしれませんが、やはり本となってまとまって読めるのはうれしい。眞鍋さんの文章はほんとうに面白い。読んでいてしあわせな気持ちになります。それは出しすぎというぐらい素を出していることもありますが、ネガティブな発想がないことと、自分が面白いと思う世界をとことん追求しいているからでしょう。巻末には「読まれるための10ヶ条」があり、これもなかなか頷けるものです。

さて。退院した次男はしきりに画用紙に○を書いていました。○が重なるとアンパンマンの顔にもなる。もちろんぎざぎざな図形も描くのだけれど、どちらかというと今日の彼は○な気分だったようです。

尖っていたい、と思っていたこともあるのですが、三角錐や立方体な気持ちでいると、融通が利かないことも多くあります。四角四面なスクウェアな感情では、角が立つわけです。まあるく生きてみるのもいいかもしれない。

球体というキーワードでは、小沢健二さんの「球体の奏でる音楽」というアルバムがあったことを思い出しました。とりとめがありませんが。

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■「球体の奏でる音楽」のジャケットは、思いっきりベン・ワット(EBTG:Everything But The Girlのギター弾いているひと)の「ノースマリン・ドライブ」っぽいですね。あらためて。

4103534184東京奇譚集
新潮社 2005-09-15

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4901873512眞鍋かをりのココだけの話 (ココログブックス)
インフォバーン 2005-08-27

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B00005GLT9球体の奏でる音楽
小沢健二
EMIミュージック・ジャパン 1996-10-16

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*1:この披露という言葉、書いたときには疲労となっていました。お疲れさまです、自分。

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2005年12月 8日

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想像してごらん。

12月8日というと、へフナーのバイオリンベースを持っているぼくは、9.11と同じぐらい大きなインパクトを感じます。ジョン・レノンの命日だからです。

しかしながら、体調不調のあまり舌先および唇に大きな口内炎までこしらえてしまったぼくは、思考もうつろな状態で、いま生きていくのにせいいっぱいです。というのは、言いすぎですが、ふと今日が何日で何曜日であるかさえ、忘れていました。

正直なところ、少年の頃のぼくは、シニカルで突拍子もないことをはじめるカリスマのジョンよりも、音楽的な才能が豊かなポールの方が好きでした。でも、ミュージシャンであるとともに、よきパパでもあったジョンの生き方は、いろいろなことを考えさせてくれます。そんな風にぼくもなりたい。ジョン・レノンは亡くなった当時40歳。あれからもう25年が経つとのこと。

天国もないし、地獄もない。国境も宗教もない。飢えも貧困も(下流も)ない。夢をみることで、そういう世界がかなうと、「イマジン」で歌っています。そういえば同時多発テロの犠牲になったひとびとの追悼で流れていて、ブームになった曲でもありました。

穏やかで、何も特別なことがないけれども、落ち着いた日々のことを静かに想像してみることにします。すべてのひとびとが健やかにすごせますように。

B000VZE1FEイマジン(紙ジャケット仕様)
ジョン・レノン
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) 2007-11-28

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2005年12月 5日

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教訓。

昨日の深夜に吐き気がしてお腹の調子が悪く、とはいえ明日から病院やら仕事やら大変だから負けるか、と思っていたのですが、朝起きるとくらくらしました。関節が痛くて、お腹の具合もひどい。寒気もする。熱を測ってみたところ38.2度。病棟には、かなり強いウィルス性の胃腸炎を患っている子供たちもいたようで、そいつをもらってしまったらしい。そんなわけで、あっさりと風邪に負けました。

朝いちばんで近所の病院に直行し、勢い余って閉まっている時間だったので引き返し、再度病院に行ったのですが(それでも番号札は9番)、待っている時間がほんとうに辛かった。診察していただいて、もらった6種類の薬を飲み干して、とにかく横になっていたら何とか起き上がることができるようになりました。そんなわけで入院している次男のところにも行けませんでした。

思うに、日曜日に食べた寿司が悪かったような気もします。そんなわけで教訓。

- 疲れているときにナマモノは食べない。

明日は復活できますように。

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2005年12月 1日

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特別ではない一日でも。

12月になりました。今年も残すところ、あと1ヶ月あまりです。なんとなく急に身近に冬を感じてしまったのは、ぼくだけでしょうか。毎日の繰り返し、という意味では、11月29日と11月30日の間、11月30日と12月1日の間は同じといえなくもないのですが(そんなこといえば、大晦日と元日も同じなんですが)、カレンダーをばりっと破るように気持ちが変わるときがあります。一方で変わらないときもある。なぜでしょう。

とにかく、12月1日になって、何かのスイッチが押されたような、そんな感じです。あるブログで銀杏の葉が散っている、という表現を読んだところ、急に黄色く色づいている銀杏の葉が目に飛び込んでくるようになりました。とつぜん出現した銀杏にぼくは驚いたのですが、もちろん急に街路樹が色づいたわけではなく、少しずつ変わっていたはずです。けれども見えていなかった。それが、意識することによりきちんと紅葉を見ることができるようになった。

物事が繰り返されると、ぼくらの認識も次第に鈍っていくようです。だから刺激的なことや、大きなイベントを求めるようになるのですが、実はいたずらに大きな刺激を求めるのではなくて、ぼくらのセンサーの感度をあげてあげると、些細だけれども何気ない日々の大切なこととか、ちょっとした変化というのをとらえられるようになる。何も特別なことがない、何も起こらない毎日、というのを大切にしたい気がしています。

映画では、柴崎友香さんの原作で、行定勲監督による「きょうのできごと」という作品があります。これはほんとうに学生が集まって飲み明かして帰る、というただそれだけの物語です。途中に、酔っ払って髪の毛を切って失敗する、とか、浜辺に打ち上げられたクジラを見にいく、とか、短いエピソードが挿入されるのですが、人が殺されたり、エイリアンが円盤にのってやってくる、というような展開はない。淡々としていて、エンターテイメントを求めるようなひとには退屈な映画かもしれませんが、ぼくはなにかものすごく懐かしい気がしました。学生時代って、まさにそんな感じでした。まったり感が永遠につづくような。

小説としては、保坂和志さんの小説がそういう感じです。ぼくは「季節の記憶」の続編である「もうひとつの季節」の方から彼の作品を読みはじめてしまったのですが、鎌倉に住む息子とふたりぐらし(正確に言うと猫もいる)の主人公が、とにかくまったりと毎日を過ごしていく。何も起こらないのだけど、その空気感というか世界観というか浮遊感というか、ほわほわな感じが大好きで、「季節の記憶」を読んだときには、最後で「もう終わっちゃうんだろうか?」とものすごく名残り惜しい気持ちになったものです。物語のなかで、友人からあるビデオが送られてくるのだけど、その映像もとにかく日常の断片を詰め合わせたような映像だったというエピソードで、その箇所を読んでいたときに、どういうわけか泣けてきました。一時期、保坂さんの作品ばかりを読み漁っていたことがあります。

趣味の分野のDTM(デスクトップミュージック)的な用語でいうと、コンプレッサー/リミッターという機能があります。過剰に入力された音を抑えて圧縮したり、ちいさな音を大きくしたりして音の全体像を整える機能ですが、あんまり使いすぎると、のっぺりした音になる。自然な感じがなくなる。音楽を作っていて、どうにも音圧があがらなくて、その使い方が課題でもあるのですが、あまりコンプレッサーをかけた音は好きではない。もちろん、他のひとの作品を聴いていると、きちんと音圧のある曲は派手だし、かっこいいので、こういう音にしたいなあというのはあるのですが、効果をかけすぎると不自然になる。

やっぱり自然体がいい、ということでしょうか。センサーの感度をあげて、季節の変化をしっかりとらえつつ、とりたてて何も特別なことのない毎日を楽しむことにします。

もうすぐクリスマスです。

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■保坂和志さんのサイト。創作ノートなどのコンテンツもあり、ファンとしてはうれしい。「季節の記憶」は新緑の若葉の装丁、「もうひとつの季節」は紅葉による赤の装丁で、こうして並べてみるとクリスマスっぽい配色です。
http://www.k-hosaka.com/

4122034973季節の記憶 (中公文庫)
中央公論新社 1999-09

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4122040019もうひとつの季節 (中公文庫)
中央公論新社 2002-04

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B0002ESL32きょうのできごと スペシャル・エディション [DVD]
行定勲
レントラックジャパン 2004-08-25

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七井李紗さんのブログ「ほっと!ぐらふ」を読んでいて思い出したのですが「tokyo.sora」という映画も、淡々と日常が描かれる映画でした。オムニバス形式のような感じなのですが、登場する女性のそれぞれの生活が描かれています(12月2日・追記)。

B000069B7Ztokyo.sora [DVD]
菅野よう子
レントラックジャパン 2003-04-04

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