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2006年2月 5日

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「「脳」整理法」 茂木健一郎

▼book06-013:脳科学というより人生論として。

4480062629「脳」整理法 (ちくま新書)
茂木 健一郎
筑摩書房 2005-09-05

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いままで読んだ「脳と仮想」「脳と創造性」「クオリア降臨」と比べると、非常にわかりやすく解説されていて、すいすい読める本でした。しかしそれだけに、読みごたえという点ではいまひとつだったかと思います。ものすごくわかりやすい反面、ぐっとくる部分も少ない。先日テレビのチャンネルをザッピングしたところ、茂木さんが出演されているバラエティ番組をちらりと観たのですが、「アハ!」体験をもとにした画像の間違い探しのようなものをやっていました。ぼくはこれもいまひとつでした。なんとなく一般受けする理屈だけ取り出した感じがして薄っぺらだった。別にわかりやすいものがダメだ、というわけではないのですが、結局のところ、自分に刺さるかどうかという観点だと思います。この本のなかにもいくつかのキーワードは刺さるものがありましたが、「クオリア降臨」を読んだときのような一回性の感動はなかったようです。2月5日読了。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(13/100冊+12/100本)

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2006年2月 2日

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「すごい上司 なぜ人は言われたこともできないのか 部下が自ら動き出す心理学」松下信武ほか

▼book06-012:ぼくのなかの上司のために。

4833450194すごい上司 なぜ人は言われたこともできないのか 部下が自ら動き出す心理学 (PRESIDENT BOOKS)
プレジデント社 2006-01-20

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仕事に対してのネガティブな気持ち、不満というのはどうしてもあるものです。あっていいと思うし、それが原動力になることもある。ぼくはそんな不満な自分も自分であると認めたいと思っています。しかしながら、その不満との付き合い方というのは考えなければなりません。

ということをずっと考えつづけてぼくが辿りついたのは、自分のなかに「上司である自分」と「部下である自分」のふたりのキャラクターを置いてみよう、ということでした。言い換えると「大人である自分」と「少年である自分」を共存させるということでもあります。つまり、部下であり子供っぽい自分は言いたい放題で思いついたままに不満をぶちまける。けれども一方で上司であり大人な自分は、あるときは甘ったるい自分を叱りとばし、またあるときは彼が(といっても自分なのですが)モチベーションを高められるように評価してあげたりご褒美をあげたりもする。ひとり上手な状態なのかもしれませんが、少年的な自分も大事にしながら彼を封じ込めるのではなく意識的にプロデュースしつつ、上司的な自分が分別をもってぼくの人格全体を統制する、そんなことができないかと考えました。

前置きが長くなりましたが、そんなわけで「(自分のなかに仮想化して存在させる)上司として何を考えるべきか」ということを研究するために、この本を購入しました。心理学の見地からいろいろなノウハウが書かれていますが、人間は感情のある生き物であり、ビジネスも感情面の管理がいちばん重要なのだな、ということを実感しました。

具体的には、モチベーションを最大にする「確率2分の1の法則」など、参考になるTIPSがいくつもあります。この法則は、10回のうち2回成功する困難な場合より、あるいは10回のうち8回成功する簡単な場合より、成功と失敗が50対50の確率のときにいちばんモチベーションがあがるということです。やるかやらないか、ということかもしれません。また「創造的退行」ということも書かれていて、大きく成長するためには挫折したり失敗したり停滞する時期があるとのこと。逃避したくなる場面があるのですが、それが次の成長のためには大事だそうです。特に二律背反の課題に取り組むときに創造的退行は生じるようで、たとえば、小型だけれど強力なエンジンなどの開発に取り組む場合だそうです。クオリティの高い企画書を早く書き上げる、などもそうかもしれません。確かにそういう課題は逃げたくなるけれども、自分を成長させてくれます。

多重人格ではないのですが、ぼくのなかに上司としての自分像をつくることによって、なんとなく自分の感情をマネジメントできそうな気がしました。上司は大変だ。2月2日読了。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(12/100冊+11/100本)

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2006年2月 1日

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「決断力」羽生善治

▼book06-011:極限で闘うひとの言葉の重み。

4047100080決断力 (角川oneテーマ21)
角川書店 2005-07

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仕事も趣味も誰かとの関わりも、本気でやっている人間の言葉は切れ味も重みも違います。こんなもんでいいか、と思っていると、こんなもん以下にしかならない。もっとできる、と思えばどこまでも可能性は広がるし、困難な世界を受け入れることで強くもなれる。ぼくは常に真剣に発した言葉にきちんと反応できる自分でありたいと思うし、真剣ではない言葉には厳しくありたいと思っています。羽生さんの言葉には、何度もはっとさせられました。ほんとうはメモしながら読み進めたかったのだけど、とりあえずは流れのままに一度一気に全部を読み終えてしまうことにしました。茂木健一郎さんの本と同様、再度読み直してキーワードから思考を広げたいと思っています。将棋の世界といえば、伝統的なものだと思っていたのですが、パソコンの導入により情報戦のようにもなっている。その時代のトレンド(流行)もあり、研究した人間が強い、自分を常に刷新できる人間が強い、ということもある。すべてがそのままビジネスマンとしての生き方に流用できるものであり、心に刺さりました。最終章は「才能とは、継続できる情熱である」で結ばれていますが、ぼくも目指すものを決めて、長期的な視野のもとに情熱を継続していくつもりです。まず年内に本100冊+映画100本です。量ではないと思うのですが、量が質に変わるときが訪れる気がしています。2月1日読了。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(11/100冊+11/100本)

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2006年1月27日

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「超実践!ブログ革命―共感が広がるコミュニティ作り」増田真樹

▼book06-010:プロの文章は違う。

4047100250超実践!ブログ革命―共感が広がるコミュニティ作り (角川oneテーマ21)
角川書店 2005-12

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人気ブロガーといっても2~3行しか書かなかったり、今日何を食べたしか書かないようなひともいますが、お金をもらって文章を書いているプロのライターさんの文章はやっぱり格が違うと思いました。ぼくはまだ増田真樹さんのブログを拝見していないのですが、きっとすばらしいブログなんだろうな、と思っています(あえてまだアクセスしていません。純粋に本がすばらしことをまず書いておきたいので)。抑制が利いていて、しかもそれでいて主張するところは強く、さらに引用や発見が散りばめられている増田さんの文章を読んでいて、ああ、これがプロなんだな、と感じました。Long Tailをはじめ、ビデオ会議など、最新の動向もきちんと網羅されている。読んだなかでは、文章=そのひとではない、ということにも頷けたし、ほんとうに人気のある書き手は謙虚である、という部分にも同感でした。最終章、「ブログの正しい育て方~十年後の自分への手紙」の部分は、全面的に共感できました。ぼくは2年前に書いたものをリセットかけてしまったのですが、社会的アーカイブとまではいかなくても、自分の足跡として残しておけばよかった。ところで本としては、乱丁すれすれのものでした。小口(本の綴じとは反対の外側の部分)が2ミリぐらいしかない。活字が切れてはいないけど、びみょうだな。ブログなら許せるけど、新書でこの製本は許せないなあ、角川書店さん(というか、印刷会社・製本所の問題でしょうか)。1月27日読了。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(10/100冊+8/100本)

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2006年1月23日

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「クオリア降臨」茂木健一郎

▼book06-009:奔放な思考は詩かもしれない。

4163677305クオリア降臨
文藝春秋 2005-11-25

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久し振りに早く帰ることができたので喫茶店に立ち寄り、コーヒーのカップを前にして1時間ばかりのあいだに最後までがーっと読み終えました。恥ずかしいことですが「言葉の宇宙と私の人生」を読んでいる途中で涙が出てきた。泣きそうになった。小説ならともかく、評論でこんなに感銘したのは、はじめてです。

ちなみにぼくが感銘した考え方とは、人生は猥雑であるからこそ素晴らしい、ほんとうに美しいものは生活という雑多な現場と形而上的な結晶化した世界とのバランスから生み出される、ということです。「どうしてこんなものが出来たかと思うほど完璧で結晶的な世界をつくり出す人たちは、生活者としては常識的で猥雑であることが通例だ。」ということ。仮想という世界で小説を書いたり音楽を創ったり絵を描いたりよい企画を生み出したりするためには、通俗的でリアルな生活者としても十分に生きなければならない。知人と酒を飲んだり、馬鹿話をすること。そうした現実の世界も引き受けなければ、作品も出来ないし、一方で現実の世界で暮らしていくこともできなくなる。「柔らかな有限の生と、結晶的形而上の世界に生き続けることは、やっかいなことである。しかし、そのやっかいさを引き受けることでしか、言葉の宇宙の私たちにとってのリアリティは保てない。」うーん。まいった。もしかすると、もう少し別の機会に読んだら、なんじゃこりゃ?という部分かもしれません。2006年のいま、しんどい仕事が終わって(雪が解けて凍りつつある寒い冬の東京、駅に隣接した喫茶店で)読んだぼくの特別な状況のせいで、こんなにも心に刺さったのかもしれません。

なんとなくブライアン・ウィルソン(ビーチボーイズのベーシスト)を思い出してしまったのですが、彼があんなにも美しいメロディを作ることができたのは、ドラッグや自己嫌悪など、ほんとうに最低な現実に負けそうになりながらも十分に生きたからなんだろう、と思いました。「脳と仮想」「脳と創造性」に比べると、この本は詩的であり、挑発的であり、感情の振幅が大きい。ダイレクトに茂木さんの経験が書かれていて、生々しいともいえる。そんなわけで、良くも悪くも揺さぶられる本といえます。とりあえず茂木さん集中月間はここまでにします。そして、クールダウンしたところで再度、読み直そうと思っています。1月23日読了。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(9/100冊+7/100本)

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