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2007年1月21日

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ジャケット

▼Cinema07-004:拘束着のような現実だけれど、未来を夢みて。

B000H5U25Gジャケット
キーラ・ナイトレイ エイドリアン・ブロディ クリス・クリストファーソン
松竹ホームビデオ 2006-10-28

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冒頭では湾岸戦争の重いシーンの連続で、しかも設定がよくわからなくて困惑するのですが、戦争で頭を銃で撃たれて負傷したジャック・スタークス(エイドリアン・ブロディ)は治療を終えて帰る途中、自動車のエンジンがかからずに立ち往生している母と娘の手伝いをしてあげます。そして、その娘に軍隊の鑑識票を渡す。ところがその後、ヒッチハイクして乗ったクルマで彼は事件に巻き込まれる。

犯罪者となった彼は精神に問題があるとして、精神病院に入れられます。そこでは、実験的な強制治療をされる。薬を注射されて拘束衣を着せられて引き出しのようなところに入れられるのですが、なんと彼はその引き出しによって1992年から2007年にタイムスリップしてしまう。まさに薬でトリップする。というよりも引き出しで時間旅行するという設定は、ドラ○もんでしょうか。閉所恐怖症というわけではないのですが、拘束着で手足を縛られて真っ暗な引き出しに入れられるのは嫌だな、と思いました(ふつうすぎる感想だ)。2007年の未来で偶然に出会った女性は、自動車のエンジンを直してあげたときの娘が成長したジャッキー(キーラ・ナイトレイ)で、ふたりは惹かれあっていく・・・。

暗く複雑なシーンが多くて若干どうかなとも思うのですが、未来に会いに行く、という設定がよいと思いました。現在に生きていると、現在の大切さがわからないものです。けれども未来に会いたいひとが待っていれば、いまここにある現在を大切に生きようとも思う。拘束着で縛られているような現実であっても夢をみることは自由であって、強く夢を信じつづけることで、夢も現実になるものです。1月20日観賞。

公式サイト
http://www.jacket-movie.jp/

*年間映画50本プロジェクト(4/50本)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

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21グラム

▼Cinema07-005:三つ巴の人生に、ハート(心臓)が痛む。

B000F4MPEK21グラム
ショーン・ペン ナオミ・ワッツ ベニチオ・デル・トロ
東北新社 2006-05-25

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心臓病を患う大学教授ポール(ショーン・ペン)とその妻(シャルロット・ゲンズブール)、幸せな家庭だったのに、突然の交通事故で幼い少女ふたりと夫を失うクリスティーナ(ナオミ・ワッツ)、そして何度も刑務所に入ったり出たりしながらもキリスト教を信じて改心しようと思いつつ、結局のところクリスティーナの子供と夫の事故の加害者となってしまうジャック(ベニチオ・デル・トロ)の、三つ巴の人生が描く物語です。

クリスティーナの夫はドナーとして、心臓をポールに提供します。ポールはドナーが誰かを突き止めて、彼女のことを思い、何かできないかと考える。そうして彼女に近づいていくのですが、彼が夫の心臓の持ち主であることを知ると、最初はクリスティーナは激怒する。下心があって近づいてきたからと思うからです。けれども落ち着いて話をして、ポールが「心が痛む」という話をすると、やがて強ばった表情がやわらいでいく。そうしてふたりは激しく愛し合う。そりゃそうですよね。夫の心臓なんだから、死後に残した妻に出会ったら痛むでしょう。心臓に意識があるのかどうか、ぼくにはわかりませんが、考えているのは脳だけではないのかもしれません。

21グラムとは、死後に体重が軽くなる量であって、それが魂の重さかもしれません。ハチドリ一匹や、硬貨5枚と喩えられていましたが、そんな軽いものが悩んだり喜んだりしていると思うと、なんだか儚さを感じます。偶然かもしれませんが、「人は何度人生を行き、何度死ぬのか」というメッセージが映画のなかにあったのですが、これは同時にDVDを借りてきた「ジャケット」においても繰り返された言葉でした。

この映画では、シャルロット・ゲンズブールがちょっとかわいそうでした。ポールの子供を欲しがるのだけれど、なかなかうまくいかない。一方で、事故でクリスティーナの家族三人を殺してしまうジャックは悪人ではあるのだけれど、やはり良心の呵責に悩んでいる。運命に翻弄されるそれぞれの姿が、せつないです。1月21日観賞。

*年間映画50本プロジェクト(5/50本)

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2007年1月14日

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ロスト・イン・トランスレーション

▼Cinema07‐003:懐かしくて切ないトーキョーの恋。

B0000YTR5Kロスト・イン・トランスレーション
ビル・マーレイ スカーレット・ヨハンソン ジョバンニ・リビシー
東北新社 2004-12-03

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いい映画だと思いました。笑いと切なさと懐かしさが入り混じって、ちょっと泣ける。舞台はトーキョーです(東京と書くよりも、カタカナのトーキョーが似合う)。映画俳優のボブ・ハリス(ビル・マーレイ)はサントリーのCM撮影のために、東京に来日している。一方で同じホテルには、カメラマンの夫に付き添って滞在しているシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)がいる。あまりに特異な日本という文化に戸惑い、結婚しているのだけれど相方との関係がうまくいっていなかったりして、ふたりとも孤独である。ホテルで眠れない時間を過ごしているうちに、ボブとシャーロットはバーで出会い、いろいろな話をするようになります。

とにかく、まず外国人が撮影する日本ってどうしてこうして美しくなるんだろう、という驚きが第一。それから外部から眺めると日本人ってこんな風に滑稽にみえるんだな、という実感が第二。このふたつが印象に残りました。ボブを起用したCM撮影では、時間がなくて、かりかり苛立ったCMのプロデューサーが、古い友人に出会うような表情で!などコンセプトを告げるのですが、通訳の担当者といえば、右から振り向いてください、のように彼の発言を一切無視して行動だけ伝えている(笑)。思わず笑ってしまったのだけど、笑えないものもありました。グローバルな仕事をするのであれば、英語によるコミュニケーションは必須ですね。

結婚に行き詰っている、と打ち明けるシャーロットを、ボブは励まします。きみは全然おかしくなんかない、というように。けれども、子供が生まれると結婚は複雑になる、というようなことをボブは話していて、この部分はなんとなく深く頷いてしまいました。お互いに既婚者で家族があるのですが、ボブとシャーロットは次第に惹かれていく。惹かれるのだけれど、年齢差はあるとはいえ、どちらかというと友達のように話をしてばかりいる。この淡さがよいです。ところが、ボブの方はバーのシンガーのおばさんと行きずりで寝ちゃったりして、それをまたシャーロットに発見されたりもする。いたたたたな場面で、若干ふたりの会話は気まずくもなるのですが、関係全体が壊れたりしない。大人のレンアイだなあ、という余裕を感じました。別れ際にボブはシャーロットに何か耳打ちします。あれは何を話したんだろう。気になります。

シャーロットを演じるスカーレット・ヨハンソンが美しくて、ホテルの部屋で下着でうろうろしていたり、仰向けにベッドに寝そべっていたりすると、なんだかどきどきしました。最近、高所恐怖症になって滑り台に登れなくなってしまった息子(次男)と同様、ぼくもあまり高いところは苦手なのですが、高い場所から風景を眺めることは好きだったりします。そんなわけで、ハイアットのホテルの窓辺に膝を抱えて、シャーロットがトーキョーの風景を眺めるシーンは気に入っています。

監督のソフィア・コッポラといえば「ヴァージン・スーサイズ」でデビューですね。こちらはまだ観ていないので、いずれ観たいと思っています。さらに音楽では小山田圭吾さんの推薦により、はっぴいえんどの「風をあつめて」が使われていたり、ジーザス&メリー・チェインが使われていたりなど注目しました。1月14日観賞。

公式サイト
http://www.lit-movie.com/index.html

*年間映画50本プロジェクト(3/50本)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年1月13日

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リバティーン

▼Cinema07-002:ぼろぼろな放蕩者の壮絶な人生。

B000IB11UYリバティーン
ジョニー・デップ サマンサ・モートン ジョン・マルコヴィッチ
アミューズソフトエンタテインメント 2006-11-24

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「物語が進むにつれてどんどん私を嫌いになる。・・・どうか私を好きにならないでおくれ。」というような独白からはじまる詩人であり貴族の壮絶な生涯の物語です。1660年代、王政復古のイギリスで、ロチェスター伯爵(ジョニー・デップ)は酒と女性の放蕩な生活を送っていました。知識人であって才能があるのだけれど、王政のような体制が大嫌いで、世のなかを斜に構えてみている。そんな彼は、芝居のなかにだけ喜びを見出して、ひとりの女性を愛人として愛するようにもなる。けれども、王からチャンスを与えられたのにもかかわらず、フランス大使を招いた大事な歓迎式の芝居で、とんでもないお下品な脚本を演じようとして王に追われる身になり、次第に荒廃していって・・・。

体制に反発するのはわかるけれど、外交的に重要な場面で下品は芝居を演じるのは、ほんとうに思考が幼いとしかいいようがないなあ、と思いました。それは芸術を取り違えていると思うし、落ちぶれた彼に対して友人から、きみには才能がなかった、と厳しい言葉を突きつけられるのですが、それも当然であると思いました。突拍子もないことをするのが芸術ではないですよね。ただ、そんな世間を知らない(ある意味)純粋さが詩人には必要なのかもしれません。

最後には片目は失明し、鼻は欠けて、肌はぼろぼろで歩くことさえままならないロチェスター伯爵なのですが、妻だけはしっかりと寄り添っている。このシーンで思い出したのは、ダン・ローズの「コンスエラ―七つの愛の狂気 」でした。あの物語では夫婦が逆なのですが、ほんとうに愛されているのだろうか、という疑問から、妻はどんどん醜くなっていく。ロチェスター伯爵が放蕩し、酒に溺れ、娼婦を買うのは、結局のところそれでも自分を愛してくれるひとがいるのか、という感情があったのでしょう。それを甘えととるか、芸術家の奔放さととるか、とらえかたは自由ですが、そういう人生もあります。

それにしてもジョニー・デップかっこいい。放蕩の果てに33歳で歩くこともできないほど落ちぶれた姿も演じているのですが、その壮絶さはすごい。大半はお下品きわまりない物語ではあるのですが、彼の涼しげな表情と、そのかっこよさと対比された後半の凄まじさが印象に残りました。1月13日観賞。

*年間映画50本プロジェクト(2/50本)

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2007年1月10日

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ロボッツ

▼Cinema07-001:アメリカらしい成功物語。でも、子供には難しいかも?

B000VRXILKロボッツ (特別編) (ベストヒット・セレクション)
ユアン・マクレガー, クリス・ウェッジ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2007-10-24

by G-Tools

息子と観る映画といえば、ポケモンか戦隊ものかウルトラマンなのですが、そうじゃない映画をいっしょに観たいものだと思っていました。では何がいいだろうと考えたときに、ロボッツなんていいんじゃないの?という話題が出ていたのですが、結局のところ映画館には行かなかった。久し振りにレンタル屋に行ってみたところ、DVDになったので借りてきました。 でも、これは子供にはわからないんじゃないだろうか。実際に息子(9歳)はDSはじめちゃうし。「え、これどういうこと?」と説明を求められるシーンが多く、しかも説明しにくい。もう少し単純で笑えるほうがいい。ひねりを効かせすぎです。それともアメリカの子供たちは、これを容易に理解するのだろうか。

物語は貧しい地区に住むコッパーボトム夫妻の子供として生まれたロドニーが、発明家をめざしてロボット・シティに上京する。けれども彼が憧れていたカリスマ的な発明家ビッグウェルド博士は失脚していて、古いパーツは生産中止、アップグレードで稼ぐのだ、という悪いやつが君臨している。彼の母親が悪の親玉でジャンクロボットを溶鉱炉で溶かして、新しいアップグレード製品を作っている。そんな彼等と力を合わせて戦うというストーリーです。

ロドニーの父親は、昔はミュージシャンになりたかったけれども夢を断念して皿洗いをしている。ロボットが成長するときにはパーツを組み替えていくのだけれど、貧しいので、ロドニーはお下がりのパーツしかもらえない。だから、ロドニーの父親は息子に、発明家になりたいという夢をかなえなさい、と彼を大都会へ送り出す。このシーンは親としては泣けるのだけど、子供はといえばDSに夢中でした。おいおーい、いまいいシーンなんだけど?という感じ。

結局のところ最後まできちんと観たのは、家族のなかでぼくだけという感じです。そういえば文系の道に進んでしまいましたが、少年の頃の自分は、発明家になりたかった。あの夢はどこへ行ってしまったのでしょう(遠い目)。ロドニーの父親が音楽を披露するのですが、ひどい音楽で、けれども「いやいや、これはジャズとファンクでジャンクだ」みたいな台詞が面白かったですね。1月7日鑑賞。

■公式サイト
http://www.foxjapan.com/movies/robots/

*年間映画50本プロジェクト(1/50本)

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