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2007年11月 4日

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マリー・アントワネット

▼美しい映像と、せつない夫婦のかたち。でも、ソフィア・コッポラ作品としては・・・。

マリー・アントワネット (通常版)マリー・アントワネット (通常版)
キルスティン・ダンスト ジェイソン・シュワルツマン アーシア・アルジェント


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11月4日鑑賞。

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年10月29日

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ブラック・ダリア

▼ファイア&アイス、そして女性をめぐるセピア色の3つ巴の物語。

B000J6HYLSブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組
ジェイムズ・エルロイ
東宝 2007-05-18

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耳まで口が切り裂かれ、内蔵は抜かれ、腰で切断された全裸の女性。そんな猟奇的な殺人者をめぐって、ふたりのボクサー出身の刑事、ファイアことリー・ブランチャード(アーロン・エッカート)とアイスことバッキー・ブライカート(ジョシュ・ハートネット )、そしてファイアの妻であるケイ・レイク(スカーレット・ヨハンソン)をめぐる疑惑と真実の物語です。

監督はブライアン・デ・パルマ。といえば思い出したのが「アンタッチャブル」なのですが、セピア色を基調とした風景のなかで淡々と展開される物語、そして1940年代のジェントルマン的な映像は、映画らしい映画を観たなあという気分にさせてくれました。まあ、若干ありきたりと言ってしまえばそうなのですが、スタンダードな映画という気がします。

そもそも現実に起こったブラック・ダリア事件をもとに、ジェイムズ・エルロイの小説を映画化したもののようです。猟奇的な殺人が起こるシーンが若干ぼくにはわかりにくく、雑然としていた印象はありますが、一度ボクシングで手合わせしたエリートであるファイアと、ファイアの妻であるケイに惹かれているアイスの夏目漱石でいう「それから」的な関係に何か甘酸っぱいものも感じます。

この三人の関係は、事件や賄賂などを背景に、複雑に絡み合っている。作られた関係なのか、真実の愛情なのか、ミステリーでありながらそんな人間的なドラマをきちんと描いているところに好感が持てました。この部分がおざなりになってしまうと、ミステリーとはいえ単なる謎解きになっちゃいますよね。もちろんミステリーファンであれば、そんな直線的な推理の筋を楽しむのかもしれませんが、そうではないぼくはやはり、禁じられた恋に対する苦悩であるとか、正義と偽善の板ばさみによる平衡感覚であるとか、そんな部分に惹かれる。

映画内映画というか、ハリウッド女優を夢見ていたエリザベス・ショート(ミア・カーシュナー)のテスト撮影の映像も非常にせつないものがありました。彼女は黒い服を好んで着ていたので「ブラック・ダリア」と呼ばれていたのだけれど、結局、最後に出演できたのはポルノ映画であり、その映画を最後に殺されてしまう。テーマとなった女性ではあるのだけれど、ストーリー的には添えられた感じの存在で、けれどもそこには彼女なりの人生がある。夢をかなえようとしてハリウッドに出てきて、才能に恵まれずに男たちとの関係に溺れて、結局のところ、ぼろくずのように引き裂かれて死んでいく。かなしい(涙)。

ところで、どーでもいいことですが、スカーレット・ヨハンソンかわいいですね。ふっくらとした唇がおいしそう(笑)。映画のなかの彼女が素敵だと思ったのは、「ロスト・イン・トランスレーション」だったのですが。とはいえ、個人的な趣味を述べると、すーっと薄い唇も好みなんですけど。ああ、ハードボイルドの映画の感想の最後に、ほんとうにどうでもいいことを書いちゃった気がする(苦笑)。10月28日鑑賞。

■The Black Dahlia movie trailer

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年10月21日

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ドリームガールズ

▼音楽ビジネスと光と影、そして生き様を描いたミュージカル。

ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディションドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション
ジェイミー・フォックス ビヨンセ・ノウルズ エディ・マーフィ


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Perfumeというアイドルおよび中田ヤスタカさんについて先日考察してエントリーを書いたのですが、音楽性はもちろんそのビジュアル的な振り付けが面白いと思いました。さらに旧友からのコメントをいただいて、何かがもやもや~と心のなかに浮かんだ。うーん何か言い切れていない、そんな状態のまま放置していたのですが。

もやもやした気持ちのまま久し振りにレンタルビデオ屋さんに行って何気なくこのDVDを借りたところ、偶然とはいえ、あっ!とひらめきが生まれました。それはどういうことかというと、

アイドルの原型はモータウンの音楽にある

ということです。特長的な振り付けやコーラス、ダンサブルな音楽など、ヒットチャートを意識した音楽のビジネスモデルとアイドルの原型がそこにある。無理やりこじつけてしまえば、Perfumeのルーツもそこにある。

「ドリーム・ガールズ」は、ダイアナ・ロスとスプリームスの実話を下敷きに作られたミュージカルの映画版です。3人編成のスプリームス(かつてはシュープリームスと呼んでいたかと思うのですが、Wikipedia によると最近はこの呼び名らしい)は、その音楽といい、3人それぞれがリードを取る歌い方の編成といい、Perfumeに似ている気がする。

というか、テクノ+ハウス系の最先端の音楽というオブラートで包んでいるけれども、たぶん中田ヤスタカさんは、その原型にモータウンのスプリームスという文脈を置いているのではないか。Perfumeは21世紀のスプリームスだったりするかも。計算されつくしたプロデュースなので、きっとそんなことまで考えつくしたうえで、中田ヤスタカさんはコンセプトを構築しているに違いない。恐るべし、アイドルプロデューサー。凄いですね。うーむ、トレンドの作り方として参考になる。

以下、参考までに挿入曲のミュージックビデオをYouTubeから。歌い始める前にポーズを決めているシーンなど、まさに先日引用したComputer Cityそのままです。

■Dreamgirls Music Video

映画のストーリーは、割合単純なサクセスストーリーです。ピュアな気持ちでスタートしたはずの音楽なのですが、売れるための商品として、あるいは誰がトップ(メインボーカル)を取るかという力争いにおいて、あるいは恋愛やドラッグなどが絡んで脱落する人間がいたり、けれども復活する人間がいたりする。そんな人間模様がうまく描かれていました。

物語はステレオタイプなのですが、映画全体を通して音楽が流れています。いやーその迫力に圧倒されました。特に中盤以降、泣けた。

歌唱力はあるのに売るために美人のディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)をメインボーカルにしてトップから外されたエフィ(ジェニファー・ハドソン)は、遅刻したりモチベーションを喪失していくのですが、その限度がすぎてついにグループから追放されてしまう。結局、恋人であるカーティス・テイラー・ジュニア(ジェイミー・フォックス)とも別れてしまうのだけれど、そのシーンで「わたしは離れない」と歌うエフィのソウルフルな歌声には胸を打たれまくりです。

ちなみに、映画のなかのレインボーレコードが実際のモータウンレコードであり、ディーナはダイアナ・ロス、カーティスはモータウン・レコードの創設者であるベリー・ゴーディ・ジュニアをモデルにしているようです。

この映画を観ながら思いました。モータウンをはじめR&Bは要するに「演歌」であると。ソウルというと何か聴こえはいいのですが、どろどろとした怨念とか情念がその成分にある。というよりも怨念や情念がソウルそのものであるのかもしれません。なんとなくぼくはそんなどろどろな苦手な世界で、だから演歌は敬遠しがちだったのだけれど、その成分が人間の気持ちの深いところに根ざしていることは間違いなく、心を打つことも確かです。綺麗なものばかりではなく、闇やどろどろとしたものから生まれる音楽もある。

映画のなかでは、歌に時代を批判するメッセージを込めようとして曲を作るのですが、プロデューサーであるカーティスが「そんなものいらない」と苦々しく言い捨てるシーンがありました。音楽は時代性とは切り離して考えられないし、一方で、なまなましい個人の生き様とも切り離すことができない。両者をうまくつないだところにある音楽が、ひとの心を打つものです。しかしながら、そこに商業的な儲けが加わってくるとまた違ってくる。ピュアとか悪とかで片付けられる問題ではなく、そんな複合体のなかでカタチを変えていくのが音楽なのかもしれません。

音楽は商品であり、時代の反映であり、そして生き様である。表現であり、新しい何かであり、同時に古い伝統を内包している。そんなことを考えた映画でした。10月22日鑑賞。

■公式サイト
http://www.uipjapan.com/archive/dreamgirls/top.html

投稿者: birdwing 日時: 23:45 | | トラックバック (0)

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ディパーテッド

▼リメイクとして観なければ・・・。解釈の違いに疑問。

B000OYCKTQディパーテッド
ウィリアム・モナハン
ワーナー・ホーム・ビデオ 2007-06-08

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昨年までは年間100本の映画を観るのだ、と鼻息を荒くしていました。結局のところ毎週末にレンタルビデオショップに足繁く通い90本ぐらい観て挫折する、という一年間だったように記憶しています。

今年も下方修正した目標があったのですが、ブログの引越しやら何やらで忘却(苦笑)。とはいえ、放っておくと映画を観たい気持ちがぽつぽつと湧きあがってくるもので(このあたりの表現で、ふつふつと、ではないところに注意。それほどじゃないんですよね。ぽつぽつ。ぽそぽそ、というか)、久し振りに映画を借りにいったのですが、店頭に並ぶ作品はすっかり様変わりしていて困惑。

リハビリもかねて最初からあんまり重いのはいかがなものかと思い、よくわからないのですがレオナルド・ディカプリオとマット・デイモンがジャケットに並んでいる本作品を借りてきました。

ふんふん、マフィアに潜入する警察官の話ね、と思いながら観ていたのですが、途中から、まてよ?これどこかで観たことがある気がする・・・という一抹の不安が。映画を観ない時間が長かったからそんなデジャ・ヴ的な気持ちになるんだろうと思っていたのですが、途中で、これはもしや・・・とインターネットで調べてみたところ、なあんだと納得しました。

「インファナル・アフェア」という香港映画のリメイクなんですね。最初から調べて借りなさい、という感じですけれども。苦笑。

トニー・レオンが好きで観ていたのですが(続編と続々編はいまひとつだった気がする)、うーん、「インファナル・アフェア」をリメイクした「ディパーテッド」、どうでしょうこれは。マーティン・スコセッシ監督であり、レオナルド・ディカプリオは非常に暗い表情でよいし、マット・デイモンも体調悪くて小心ものの警察官を演じていて、申し分ない感じがする。第79回アカデミー賞監督賞・作品賞だそうです。けれども正直なところ、「インファナル・アフェア」を観てしまったぼくには、なんとなく物足りなさを感じました。

やっぱりこれはですね、バター臭いアメリカ映画というよりも、アジア系のごちゃごちゃした雰囲気と、行き場のない「業」のようなものを感じさせる雰囲気のほうが合っているのではないでしょうか。監督や配役が悪いわけでなく、文化という背景の違いだと思う。

あくまでもぼくの感じた印象ですが、内向的で何考えているかわからないが任務としてやることはきちんと遂行する、表情には出ないけれども忍耐強いトニー・レオンのようなアジア系の人間が演じたほうが、映画の深みが出せるような気がしました。こいつは永遠に苦しみにじっと耐えちゃうんだろうな、という切なさが伝わってくる。レオナルド・ディカプリオの場合には、潜入警察の辛さを薬に逃げて、途中でやめちゃいそうな気がした(すみません、勝手な印象です)。

精神科医とのやりとりも、なんとなく違う。いっしょにベッドに入っちゃったらダメでしょう(苦笑)。トニー・レオンが演じているほうでは、ストイックだけれども、ほんわりと愛情の漂うような関係があり、それがよかったのに(と、観ていない方には何のことやらわかりませんね)。潜入警察としての偽りの自分に疲れながらも、その女医の部屋を訪れるとなんとなく安らかに眠れてしまう。ハードボイルドな男が羽を休める場所としてのカウンセリングルームの設定がよかったんですけどね、レオナルド・ディカプリオの場合には、彼女をなじったり薬を貪り飲んだり神経質すぎる。脚本の解釈の違いなのかもしれませんが、これは違う気がするなあ。欧米的ではあるけれども。

そんなわけで、アジアの作品を米国でリメイクするのはどんなものだろうという疑問を感じています。したがって、「イル・マーレ」も手に取りながらどうしようかと迷っています・・・。10月20日鑑賞。

投稿者: birdwing 日時: 23:17 | | トラックバック (0)

2007年8月 5日

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劇場版ポケットモンスター ディアルガVSパルキアVSダークライ

▼cinema:10年目のポケモンに驚いたり、首を傾げたり。

劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール「ディアルガVSパルキアVSダークライ」劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール「ディアルガVSパルキアVSダークライ」
松本梨香; 大谷育江 湯山邦彦


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ポケットモンスターは10周年だとか。うちの息子(長男くん)がちょうど10歳なので、彼が生まれたときに最初のポケモンが放映されたということになります。といっても、幼稚園までの彼は、最初は電車、その次は戦隊ものや仮面ライダーに夢中でした。ポケモンのカードやソフトビニールの人形を集めはじめたのは、小学校に入ってからだったような気がします。

それにしても10年とは(遠い目)。はやいものだなあ。

そんな10年目の劇場版ポケットモンスターを家族で観に行ってきました。びっくりしたのは、入場者プレゼントとして映画に出てくるダークライというポケモンをDSのゲーム内にインストールしてもらえるのですが(インストールって言わないか)、なんと劇場内で無線通信をしてゲットできた、ということです。つまり劇場全体が無線LANの環境になっているわけですね。

うーむ、すごいことになっているな、と思いました。どこかにプレゼント用の端末が設置されていて、順番待ちをして端末の前でキャラクターを入れてもらえるのかと思ったら、それぞれの席についてみんなDSを操作している。あーきたきた、なんてことを言ってる。

この子たちの未来はどうなるのだろうと予測もつかない気持ちになりました。ついでに家に帰ってから、DSでもらったダークライをWiiのゲームに移したところ、3Dで動きはじめたのにもおじさんはびっくりでしたけれども。当たり前なのでしょうか?これも。どういうからくりですか、これは。

映画の内容といえば、ディアルガとパルキアという出会うはずのない伝説ポケモンが出会ってしまったばっかりに、喧嘩をはじめます。そのとばっちりを受けてサトシたちが訪れた街が崩壊し、異次元のなかへ消滅しそうになるのですが・・・さらに、3世代という時を超えてその街に棲みついている悪夢をみさせるダークライというポケモンがいるのですが、こいつは敵なのか味方なのか、というお話。

ちなみに長男と映画を観に行くと困惑するのは、映画の間に何度もトイレに行くことです(苦笑)。どうやら映画を観ると緊張する性格らしく、これが幼稚園の頃から変わらない困った癖で、そのたびにぼくも立ち上がって軽くダッシュでトイレへと向かう。さすがに彼も最近では気をつけるようになって、なるべくジュースを飲まないようにしているようですが、昨日も2回もトイレに行くはめになりました(泣)。まったくもう、3歳のときから、ぜんぜん変わってないなーきみは。

しかも2回目にトイレに行ったときは、たぶんこの映画のクライマックスシーンで(あえて内容には触れませんが)、見逃したぼくは泣くタイミングを失ってしまった(号泣)。いや、別にポケモン観て泣かなくてもいいんですけど、やっぱりクライマックスのシーンは観たいじゃないですか。でも、ぼくと長男くんは、そのシーンでトイレに行ってました。がーん。

そんなわけで感動的なシーンをまるごと見逃したぼくは、「なぜ、ディアルガとパルキアが闘わなければならないのか、その意味がさっぱりわからん。とばっちり受ける街とかサトシは迷惑じゃないか(怒)」という、どうでもいい疑問というか、すっきりしない思いと食べ残したポップコーンを抱えて劇場を出たのでした。

若干、厳しいことを言ってしまうと、脚本的にはいまひとつな気がしました。ディアルガとパルキアの戦闘シーンが多すぎ。映像も大事だと思うのですが、やはり物語がきちんとしていてほしい。ストーリーとしては、ぼくはルカリオが出ていた作品のほうが泣けたかな。同じようにポケモンと人間の友情、というテーマだとは思うのだけれど。

とはいえ、映像はすごいです。棟のまわりをぐるりとカメラがパンして、下から空を見上げると青空に雲が・・・のようなシーンがあったのだけれど、美しかった。CGワークがかっこいい。映像表現についてはよくわかりませんが、ああいう風景の表現方法は結構ぼくの好みです。これもまた、こんなCGをふつうに見せられてしまった子供たちは、リアルな風景に感動しなくなるのではないか、などと不安を感じたりもしたのですが。

いちばん泣けるシーンはどうやら見逃しましたが、実はですね、それでも涙もろい父はひそかに涙こぼれちゃっていたのだ。隣りに座っていた息子は、おしっこを我慢してひょこひょこもぞもぞしていたので(わかりやすいやつ)、気付かなかったと思うのだけれども。まあよかったよ、ポケモン観て泣いている父に気付かれなくて。

それにしても、劇場に入ると頻尿になって、尿を我慢できないその性格(というか癖?)。彼女とデートする年頃までには治しておいたほうがいいと父は思った。あるいは彼女と映画デートのときには、かっこつけてビールとか頼まないことだな。きみは母親に似て、お酒が弱そうだし。

と、なんとなく頼りない長男くんに、そんな余計なアドバイスを考えつつ帰ったのでした。彼と話をしていたのですが、今度はトランスフォーマー観たいな、と。

公式サイト
http://www.pokemon-movie.jp/

YouTubeから予告編。

■Pokemon The Movie 10: Dialga VS Palkia VS Darkrai


投稿者: birdwing 日時: 21:55 | | コメント (4) | トラックバック (0)