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2007年10月 8日

a000068

オルゴールの調べ。

趣味のDTMで「portrait」という曲を作って昨日公開してみたのですが、あらためて聴きなおしてみると、かなりムリがあるなーということを感じました(苦笑)。

ただ、こういう曲もある、ということで手を入れないようにしようと思います。ブログと同じです。いつも名文ばかり書けるわけではありません。ときには目もあてられないような駄文を書くこともあるし、他人が読んだら何のことやらわからない個人的な趣向に走ることもある。それもまた肯定していきましょう。

しかしながら思ったのは、ちょっと装飾的な部分を加えすぎたり、ノイズなどを付加しすぎたので、当初考えていた方向性よりも変わってしまった気がする、ということでした。もともとはシンプルな繰り返しを考えていて、喩えるならばパッヘルベルのカノンのような感じにしたかった。

では、余計なリズムも取っ払って、シンプルなピアノの部分だけにしたらどうなるだろう、といろいろと試みていたのですが、オルゴールっぽくしたらどうだろうと考えたら、妙にはまりました。そんなわけで、簡単に公開してみます。

ネットで拾ってきた妙なFlashによる再生ツールを使っていますが、以下の白い棒の左側を押すと再生します(音量をコントロールできないのでご注意ください)。右端をクリックすると、ファイルをダウンロードできます。

■portrait_mb.mp3 (1分45秒 2.41MB 192kbps)




曲・プログラミング:BirdWing

最初にある箱を開けてネジを巻く音は、DTMマガジンに収録されていたフリー音源を使用しています。DTMマガジン、いろいろと活用させていただいています。

オルゴールの楽曲を作っていたら、にわかにオルゴールについての知的好奇心がそそられてしまったのですが、やはりこういうときはWikipedia。まずはオルゴールの項目で語源を確認。

日本語の「オルゴール」は、オランダ語のorgel(オルガン)に由来する。英語の表記は musical box または music box である。

なるほど。ソフトウェアシンセサイザーのプリセット名もmusic boxです。オルガンに由来するのが意外でした。オルガンっぽくないのですが、空気で振動させるか爪のようなもので金属を弾くか、という違いがあっても、同じルーツなんでしょうか。などと考えていたら「いわゆる自動演奏楽器全般をオルゴールと呼ぶ」場合もあると書かれています。となると、シンセの打ち込みで自動演奏させるシーケンサーもオルゴールの一種かもしれない。

分類としては、「シリンダー・オルゴール」と「ディスク・オルゴール」があるとのこと。どちらが古いかというとディスクの方であり、ナポレオン戦争の後にシリンダーに切り替わったようです。19世紀末には、ドイツからディスク・オルゴールの巻き返しがあったらしいのですが、やがてシリンダーとディスクともに畜音機の登場によって衰退していきます。しかし、ジュークボックスのような自動演奏装置もオルゴールと呼ばれたらしい。

音楽を身近に楽しみたい、何度も繰り返し聴きたいという願いが、オルゴールのような機械を生んだし、一方でiPodのようなオーディオプレイヤーを登場させたのかもしれません。ハードウェアは変化して、その機能も変わったとはいえ、人間の欲求には変化がないのかもしれないですね。

ちなみにオルゴールで思い出すのは、かつて小樽に訪れたときに足を運んだ「小樽オルゴール堂」ですが、Wikipediaには博物館も掲載されてみました。そのなかからトウキョウで行くことのできる場所をピックアップ。


■オルゴールの小さな博物館
http://www.musemuse.jp/Musemuse_home.htm
〒112-0015
東京都文京区目白台3‐25‐14
telephone 03-3941-0008 03-3945-8817
facsimile 03-3947-1025
休館日 / 日・月曜日 年末年始
○演奏会コース(定員50名)
料金 / 大人1,300円 小人600円 (小人:4才以上小学生以下)
○博物館コース(予約制)(1名から予約可 定員約12名)
料金 / 2000円 (博物館を楽しむグッズ&お茶付)
○館長コース(予約制)(4名以上10名以下)
料金 / 3,500円 (館長コースを楽しむグッズ&お茶付)
ショップ OPEN 10:30-18:00
※詳細は直接博物館にご確認ください。

予約制ですね、しかし入館料2000円は高い(泣)。なんとなくオルゴール好きな館長さんが趣味ではじめたような感じがします。この博物館のサイトにはオルゴールについての用語辞典から歴史までまとめられているページがあり、なかなか参考になります。

■パルテノン多摩マジックサウンドルーム
http://www.parthenon.or.jp/museum/magic1.html
〒206-0033
東京都多摩市落合2-35
042-375-1414
休室日 / 毎週月曜日(月曜が祝日の場合は火曜日)、施設点検日
開館時間 9:00~22:00
観覧料
高校生以上 個人¥200 団体[20名以上] ¥150
小・中学生 個人¥100 団体[20名以上] ¥50
※詳細は直接博物館にご確認ください。

何かのついでに立ち寄る感じでしょうか。インドア志向で腰の重い家族はぜったいに行かないような気がしていて、ぼくも能動的に行きたいとは思わないのですが、オルゴールの歴史自体に興味を感じました。

投稿者: birdwing 日時: 18:47 | | トラックバック (0)

2007年10月 7日

a000067

[DTM×掌編小説] ポートレート。

デジタルカメラとカメラ付き携帯電話の普及によって、ぼくらの生活には写真が身近になりました。デジタル環境の写真は印画紙にプリントアウトしなくても、画面で楽しむことができる手軽さがあります。現像に出さなくてもその場で確認できるので、とても便利です。

フォトジェニックなひとというのはいるもので、一般のひとなのに撮影するとモデルのようにかっこいい。ぼくはというと、写真がものすごく苦手です。で、その遺伝子を引き継いだせいか、うちの次男くんも写真が苦手。

ぼくの場合は匿名でブログを書いていますが写真は掲載していたりして、それってどうだろう?などと時々考えるのですが、ブロガーの方々のページをみていて思うのは、写真が掲載されていると想像に拍車がかかるということです。想像というよりも妄想なのかもしれませんが(苦笑)。

というわけで、肖像画を意味する「portrait」という曲を、土曜日の深夜から今日にかけて趣味のDTMで作ってみました。ブログで公開します。


■portrait(2分35秒 3.56MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing


そして、この曲を何度もチェックしながら、物語がアタマに浮かんできました。そこで掌編小説を書いてみました。portraitをBGMに読んでいただけると嬉しいです。ではどうぞ。


自作DTM×ブログ掌編小説シリーズ03
+++++++++++++++++++++
ポートレート
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作:BirdWing

あいつの訃報を聞いたのは、キンモクセイが香りはじめた秋のことだった。

学生の頃から写真を撮るために旅を繰り返していた彼だったが、いまニュージーランドにいるよ、おまえも部屋に閉じこもってないで世界へ出てこいよ、などという音沙汰がなくなったかと思ったら、病に倒れていたのだという。癌だった。わたしは遠い記憶を掘り起こしながら彼の自宅を訪ね、やつれて別人のように変わってしまった彼の妻に挨拶をした。かなしみに疲れていたが、美しいひとだった。

とても残念です・・・。そのあとに言葉が続かない。わたしは沈黙を噛みしめた。それがあいつの死の重みなのかもしれない。

それほど親しくしていたわけでない。けれども離れていたわけでもなかった。適当な距離を置いて、会ったり会わなかったりした仲だ。遺影のなかで、あいつはまぶしそうな目をして笑っていた。おまえもいずれここに来るんだぜ、そう言っているような、そうでもないような顔だ。

生前には、あのひとがよくしていただいて。
ひとまわりちいさくなったような彼の妻は、それだけ言って俯いた。

しばらくあいつとの思い出やとりとめのない話をしていたのだが、わずかに沈黙していた彼女は、あなたなら・・・いいかしら。そう言って、すっと真っ直ぐにわたしの方を見つめた。なんでしょう、わたしにできることであれば? 彼女の視線に戸惑いながらもそう言った。ちょっと来てくださらない。彼女は立ち上がって、わたしを導いた。

訪問したときには気付かなかったのだが、その住まいには地下室があった。
彼女に導かれるままに階段を降りる。冷たい空気は、まるで死者のぬくもりのようにわたしの周囲を包み込んだ。そうして暗い扉を開けて、彼女が電灯のスイッチを入れた。

途端に大勢の視線がわたしに向けられた。はっとした。それはすべて、彼が撮影したひとびとの笑顔だった。彼がこれを?わたしは彼女に訊いた。風景ばかりを撮っているんだと思ってた。そうなの、わたしにもあまり話さなかったのだけれど、あのひとは密かにたくさんのポートレートを撮っていたの。

目尻をゆるめた白髪の老人がいる。
生まれたばかりのちいさな微笑がある。
唇を歪ませたような笑いなのか苦痛なのかわからない表情がある。
空に向けて大きな口を開けた楽しそうな顔がある。

たくさんの笑顔が壁一面に貼り付けられていた。冷たい地下室の空気を忘れた。それは・・・そう、しあわせな風景だった。人間のぬくもりを感じさせるような。コラージュのように壁一面に貼られた写真は、わたしをとてもやさしい気持ちにさせてくれた。部屋全体を見渡した。なぜあいつはこの写真を世のなかに出さなかったんだろう。

この写真は?わたしは一枚の写真を指差した。

その写真だけは、笑顔のコラージュから少し離れるようにして貼られていた。若い凛とした顔つきをした美しい女性だった。

被写体として笑っていないのは、その女性だけだ。厳しい顔をして、ファインダーのこちら側を睨みつけるように強い視線を向けている。撮影する人間を責めるように、挑むように、きつい視線を投げかけていた。薄い唇を結んで、緊迫した面持ちをしていた。どこか寂しそうにもみえる。

知らないわ。彼女は、写真のほうを遠くを見つめるような目で見ながら言った。誰なのかしら。でも、あのひとにとっては大切なひとだったと思うの。

あのひとにも、わたしに話すことのできないひそかな恋でもあったのでしょう。
いまはもう、知ることもできないけれども。

彼女は少し言葉を含むようにして話した。真実を知っているのかもしれない、そんな気がした。わたしは、そういえば生前にあいつが何かを話したがっていたことを思い出した。聞いてほしいことがあるのだが・・・と言ったまま、あいつは言葉を止めて、いや、やめておこう、話してどうなることでもないし、と笑ったのだ。

あなたの写真がありませんね。わたしは話題を変えようと思って話した。そうなの、わたしの写真はすべて棺のなかに入れて焼いてもらいました。だから何も残っていません。それが遺言だったので。でもね、このひとを置いていってしまって。彼女は、ファインダーを睨みつけるような女性のポートレートの前に佇み、そのひとの顔の輪郭を細い指でなぞった。

あのひとが、寂しくなければいいんだけど。大切な写真を置き忘れたわ。

答えに迷ったのだが、勇気付けることにした。あなたの写真がたくさんあるから、大丈夫でしょう。あいつもしあわせものだ。たくさんのあなたの写真に囲まれて。彼女は、静かに微笑んで答えた。写真は写真でしょう? でも、わたしはここにいます。ひどいひとよね。いまとなっては浮気したでしょうと問いただすことも、怒ることもできないんだもの。困った置き土産だわ。

行きましょう。彼女は部屋から出た。わたしはもう少しだけ冷たい空気に浸っていたい気がした。

<了>

+++++


前回の自作DTM×ブログ掌編小説「ハーフムーン」は15歳のかけおちをテーマとして書いたのですが、今回は少しだけ大人の雰囲気で。曲自体もエンディングの部分は無理やりジャジーな雰囲気にしてみました。

まったく制作した音楽とは関係ないのですが、ポートレートと言って思い出すアルバムは、ビル・エヴァンスの「Portrait in Jazz」でしょうか。ぼくは「Waltz for Debby」のほうが好きなのですが。

B000000Y59Portrait in Jazz
Bill Evans
Original Jazz Classics 1991-07-01

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村上春樹さんも取り上げられている名盤です。ビル・エヴァンス(P)、スコット・ラファロ(B)、ポール・モチアン(Dr)というビル・エヴァンス・トリオの最高傑作ですが、社会人バンドでベースを担当していたぼくとしては、スコット・ラファロのメロディアスかつ奔放なベースに惹かれます。

と、村上春樹さんが出てきたところで掌編小説に戻るのですが、たぶん村上春樹さんのファンであれば想像もつくかと思いますが、地下室の電気がつく場面は、「1973年のピンボール」で探していたピンボールマシンに出会う場面のパク・・・じゃなくて、そのシーンへのオマージュ(リスペクト、敬意を払うこと)です。


1973年のピンボール (講談社文庫)1973年のピンボール (講談社文庫)
村上 春樹


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


一方で楽曲を作成するにあたって、アタマに描いていたアーティストはThe Zombiesでした。The Zombiesのピアノのイメージでしょうか。1968年に発表した「オデッセイ・アンド・オラクル」、こちらはソフトロックの名盤といえます。

B0001YFPKKオデッセイ・アンド・オラクル(紙ジャケット仕様)
ザ・ゾンビーズ
インペリアルレコード 2004-05-26

by G-Tools

でも、だとすればストリングスのアレンジは、もっとメロトロン風にすべきだと思うんですけどね。これはSONAR付属のTTS-1というソフトウェアシンセサイザーのOrchestraというプリセットをそのまま使っているのですが、たぶんフィルターをかけて加工すると近い音になるような気がします。

と、そんな風に週に1曲できてしまう昨今。心臓がずきずき痛いのですが、恋をしているのでしょうか(笑)。な、わけはないので、これは更年期障害ではないかと思ったりするのですが、空腹にビールを流し込んでしまったため、夕飯どきの現在、酔っ払いつつあります。ほのかにキンモクセイが香ったりして、とてもしあわせな気分なのですが、酩酊ブロガーになりそうだ(苦笑)。

投稿者: birdwing 日時: 18:27 | | トラックバック (0)

2007年9月23日

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[DTM作品] Crater(クレーター)

変わりやすい秋の気候ですが、暑さの厳しい晴れた日があるかと思うと今日はすっかり曇り空です。奥さんが子供たちを連れて出て行ってしまったので(といっても喧嘩したわけではなくて、急遽、親戚の家に遊びに行きました)、ぼくは家で留守番。ぼくも行こうか?と言ったのですが、いいわよ、とのこと。まあ奥さんのお気遣いと考えましょう。おかげさまで静かな部屋でひとり。のんびり羽を伸ばしました。

さあて久し振りに映画でも借りてこようか(そういえば最近、ぜんぜん観ていない)とも思ったのですが、ヘッドホンを被りやすい季節になったので創作モードに突入してしまい、昨晩からのめり込んでいる趣味のDTMに集中。気付いたら昼飯も食べずに夕方5時でした。やれやれ。

というわけで、先週に引き続き今週も曲を公開してみます。先週は「half moon」ということで半月の曲だったのですが、今回も月つながりで「Crater(クレーター)」です。以下、どうぞ。


■Crater(2分40秒 3.68MB 192kbps)


作曲・プログラミング:BirdWing


今回は男子力を発揮しようと思いました(そんなのあるのか?苦笑)。

実は、このところなんとなく気持ちが穏やかな日々が続いていて、ものすごく優しくて綺麗な曲を作ろうと思っていたのですが、「half moon」はどちらかといえば優しいメロディです。なので、今回はまったく逆のイメージに挑戦しようと考えました。美しい月の裏側というか、ダークサイドを音にしてみよう、と。

ちょっと破壊的なエッセンスを加えつつ、ハードな曲にしたかったですね。ぎゅわーんとストラトキャスターあたりを弾く感じ(弾いてないけど)。自分のキャラクター的に無理なのですが(苦笑)、思い浮かべた印象はナイン・インチ・ネイルズ(NIN)あたりでしょうか。あとは主にループの素材を使っているので、BECKっぽいアプローチともいえる。ついでにディレイかけまくったギターはドゥルッティ・コラムのような感じ。

B000OMD254Year Zero
Nine Inch Nails
Island 2007-04-16

by G-Tools
B000HIVO64The Information
Beck
Interscope 2006-10-03

by G-Tools
B000PIU05Crebellion
ドゥルッティ・コラム
インペリアルレコード 2007-06-27

by G-Tools

ドゥルッティ・コラムのこのCD購入していませんでした。そういえば、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーは「おれたちのCDを盗め」とか過激な発言が物議を醸しだしていましたっけ(記事はbounce.comより)。しかし、考えてみると、パンクロックやビジュアル系のミュージシャンというのは結構、健全な気もしていて、いちばん不健全なのはエレクトロニカ系のラップトップミュージシャンではないでしょうか(苦笑)。なんというかですね、思考が不健全な気がする・・・。トレント・レズナーはワルだけれど、とてもわかりやすいと思います。むしろ、何を考えているかわからないワルがエレクトロニカ系には多いような気がする。ちょびっとだけワルになりたいと、ぼくも憧れますけれども。

以前のエントリーで、ピアノロールという膨大な方眼紙にマウスでちくちく音をおきながら曲を作っている話を書いたのですが、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)を使った音楽の制作には、音のファイルをそのまま読み込んで、波形ごと編集していくという方法もあります。そして、MIDIのデータと音のデータを混在しながら編集できる。

QY-20というおもちゃみたいなシーケンサーで打ち込みをはじめたぼくにとっては、これはもう画期的です。しかしながら、「できあがったループを使うような楽をすべきじゃない。打ち込みの醍醐味はオルゴール職人だっ」と意味のない意地を張っていたので、しばらくは素材を使った制作をしませんでした。ちまちまとマウスで音を置いていたわけです。ところが去年あたりから、音を編集する方法に変わってきたように思います。

ピアノロールによる入力はオルゴール風で、どこか絵画に喩えると点描画のような音の創り方=デジタルな制作なのですが、音の素材を編集する方法は、ちぎり絵といったところで、コラージュ風に音を切り貼りするので、なんとなくアナログです。どちらが優れているとはいえないのですが、両方ハイブリッドに使いこなすと面白いものができる。

ちなみに、音の切り貼りは以下のような画面になります。

DAWの画面

もじゃもじゃのゲジゲジみたいなやつが音のファイルで、これをコピーしたりカットして使う。右側の方が大きくなっているゲジゲジは、リバース(逆回転)させた音です。

曲の印象はクレーターなのですが、アラビアンナイトというか、月光の下で広がる異国の宴のような印象を思い浮かべました。月は美しいものではありますが、同時に狂気の象徴でもあります。満月の日に精神の均衡を崩すひとが多いからか、狼男のような伝説も生まれたとも言われます。

ちなみにWikipediaでクレーターについて調べてみました。命名したのはガリレオとのこと。

1609年にガリレオ・ガリレイは、月面を天体望遠鏡で観察し、多数の円形の凹地を確認した。この地形をギリシア語のコップ、椀を意味する語からクレーターと命名した。

なるほど。地球のクレーターの記述が面白いと思いました。

地球に落ちる隕石の大きさがそれほど大きくなくても巨大なクレーターができる。クレーター径は隕石の直径の約20倍と見積もられており、周囲5km、深さ170mの大きさのクレーターはクレーターとしてはかなりの大きさだが、それを作った隕石の大きさは直径約250mでしかない。地球上のクレーターは100個以上確認されているが、大部分は侵食で痕跡すら消えてしまっている。

隕石は破壊力があるんですね。でっかい地球も宇宙の脅威にさらされているわけだ。しかし、いちばん地球を苦しめているのは外部からの隕石ではなく、人間の環境汚染ではないかという気もするのですが。

投稿者: birdwing 日時: 17:52 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年9月18日

a000050

ハンゲツの作り方。

没頭すると周囲を忘れてしまう自分ですが、土曜日、久し振りにヘッドホンを被って趣味のDTMに集中していたところ、すーっと次のような付箋が。

070915_husen.JPG

奥さんからでした。あーはいはい。呼ばれてたんですね。ご飯ですね。そもそもぼくは集中するとご飯さえ忘れてしまいがちなのですが、付箋のおかげで現実世界に引き戻されました。そして、家族団欒でご飯を食べたのでした。けれども、お腹がいっぱいになって、ふと付箋を見ると・・・。

070915_husen2.jpg

キティちゃんが怒ってるっ!ううう、奥さんったら怒ってたのねっ!

9月といえども厳しい暑さが続いておりますが、それにも関わらず思わず背筋がすぅっと寒くなる一瞬でございました。こうした不満の積み重ねによって、人生の坂道に躓き、熟年の危機に向かって仲睦まじき夫婦もいっきに転がり堕ちていってしまうのでしょうか。ああ、せつない(涙)。趣味は大事ですが、没頭のしすぎに注意しましょう。

というせつない状況にも負けず、久し振りに集中して「half moon」というオリジナル曲を完成させて、掌編小説とともにブログで公開しました。ぼくはメイキングというか、その創作過程についてもブログで書いていこうと思っているのですが、今回のエントリーは掌編小説などを作ってしまったので、あまり過程については書けませんでした。そこで少しばかり制作の裏話を書いてみます。

まず、ぼくは貧乏ミュージシャンなので、基本的に高価なソフトウェアや音源などを持っていません。かろうじてDTMにお金をはたいたのがSONARというDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)でした。といっても、Studio Editionという中級向けのパッケージで、しかも最新ではなく現在もSONAR5という以前の世代のものを使っています。

そしてSONARにソフトウェアのシンセサイザー(VSTi)を登録して使っているのですが、これもまた無料のソフトウェアシンセサイザーをネットで拾ってきて使っています。しかしながら、驚くことに無料といってもかなり使えるものが多い。今回の曲ではPad系の音が重要になっているのですが、利用したのはまずSUPERWAVE P8でした。インターフェースはこんな感じ。結構、いかついのですが、ヴィンテージ・シンセっぽくていいですね。好みです。

superwavep8

■SUPERWAVE P8(英語)
http://home2.btconnect.com/christopherg/main.htm

イントロのふわーっとした音はSUPERWAVE P8に深いリバーブをかけています。その背後でしゃかしゃかしゃかしゃか聴こえたり、ぴんこぴこぴん・・・という音が鳴っているのがCrystal。こちらも無料のソフトウェアシンセサイザーですが、知るひとぞ知る定番だと思います。ちなみに、インターフェースはこれです。

crystal

■Crystal(英語)
http://www.greenoak.com/crystal/index.html

Crystalによる、次のようなふたつの音を組み合わせています。音だけ取り出してひとつにしてみました。

ちなみにこれもまたネットで拾ってきたおかしなmp3プレーヤーですが、のっぺりとした棒の左の部分を押すと再生されます。音の大きさは変えられないので、ご注意ください。また、右端を押すとファイルをダウンロードできます。ただ、こういうシンプルなFlashも重宝しますね、ときには。




さらに中盤から出てくるピアノも無料のシンセで(考えてみるとタダばっかし)、mdaPianoというフリーソフト音源です。

■mdaPiano(英語)
http://www.pluginspot.com/English/frames.html

なんとなくピアニストっぽいフレーズではあるのですが、ピアノをどのように弾いているかというと、実は弾いていません(笑)。マウスを使って方眼紙のような画面に音を置いていく。ピアノロールといいますが、こういう画面です。

piano_roll

左端に鍵盤が縦になっていますが、縦軸の上が高音、下が低音です。横軸は右に向けて曲の時間軸になっていて、この膨大なマトリックス、というか方眼紙に音を置いていく。再生すると、右の方へこの方眼紙が流れていくので、さながらちょっとしたオルゴールという感じでもあります。

ちなみに上記画面を再生すると、次のようになります。




というようなカタチで、どちらかというと音楽というよりも絵画的な感覚で曲を作っていきます。

この「half moon」のピアノを作っていてあとから気付いたのは、低音部分はなんとなくベートーベンのピアノソナタ14番(月光)の影響を受けているかもしれないな、と思ったことでした。ぜんぜん似ていませんけどねー。そういえばよく学校にいませんでしたか? 音楽室で月光をピアノで弾いちゃうようなやつ。でも、ちょっとかっこよかったからぼくも弾けるようになりたかったですね。結局、弾けませんでしたが(怒)。

そんな月光ライクな低音部分を作りつつ、構造的に、低音部分に対して16音符分ずらしながら高音の音を「置いていく」ということを考えていたような気がします。つまり、音的にどうだというよりも、空間・平面的な幾何学的な配置として作っていった感じです。

まだまだ語りたい気がするのですが、ぼくはそんな風にしてDTMで音楽を作っています。音楽制作というよりも、どこか知的な遊びに近い部分があって、ナマの楽器を弾くのとはまた違った楽しさがある。楽器が弾けなくても、作品を自分で作りたい、表現したいという欲求を満たしてくれます。

音と知的に戯れたいひとに、DTMはおススメです。といってもなかなか入り口がみつからないかと思うので、初歩の初歩についても書いてみたいと思います(いつか)。

投稿者: birdwing 日時: 06:25 | | トラックバック (0)

2007年9月15日

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[DTM×掌編小説] ハーフムーン。

パソコンによる音楽づくり、いわゆるDTM(デスクトップ・ミュージック)がぼくの趣味です。しかも、鍵盤楽器を使わずにVAIOノートでマウスを使って曲を作ります。その作品の一部は、トップページのJukeBoxで聴けるようにしてあります。よければ聴いてくださいね。

3年ほど前からネットで趣味で作った音楽を公開しているのですが、最初はmuzieというサイトで配信していました。その後、ブログで記事といっしょに配信するようになって今日に至ります。日記を書くように曲を作る、というコンセプトのもとに毎週感じた音から楽曲にしてみたこともあります。

理想としては音楽+映像、音楽+小説のようなハイブリッドというかマルチな創作活動をやってみたいと思っています。欲張りなので(笑)。「rewind」という曲を作ったときには再会というテーマで掌編小説を書いたりもしました。

9月から10月といえば月が美しい季節ですが、そんな「月」が今回のテーマです。7日間連続で働いたハードな仕事にくたびれてダウンしながら、それでも好きなことに没頭すると癒されるものです。作っている途中で、ああやっぱり音楽っていいなーと思いました。

久し振りの自作曲後悔・・・じゃなくて公開となります。さらに短い曲ですが、その曲を聴きながらアタマの中に浮かんできた物語があり、それを掌編小説にもしてみました。というわけでお恥ずかしいのですが、[DTM×掌編小説] として発表してみます。

まずは掌編小説から。


自作DTM×ブログ掌編小説シリーズ02
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ハーフムーン
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作:BirdWing

ぼくらは肩を寄せ合い、公園の隅っこにあるベンチでハンバーガーとポテトを分け合いながら食べていた。街灯の向こう、覆いかぶさるようにして深い木々が繁っている。そのあいだから月がみえる。半月だ。レモンをスライスしたような月を眺めながら、ぼくは彼女にキスをした。バーンズとポテトフライの匂いに紛れて、甘ったるい彼女のくちびるの味がした。

月がみえるね。なんとなく間合いがとれなくてぼくは呟く。そうね。彼女はちいさな声で同意して、ぼくの胸に鼻のあたまを押し付ける。あのう、臭わないかな、お風呂入ってなくて。ぼくは真剣に心配をした。へいきよ、わたしだってくさいもん。彼女が言ってくすくす笑う。つられてぼくも笑った。

ホテルに泊まるお金がなくなって、昨日はひと晩中ファーストフードで過ごした。冬じゃなくてよかった。そう思う。凍えてしまわないだけでもまだましだ。ふたりでいるとあたたかいのだけれど、そのぬくもりも冬の厳しさには勝てないだろう。秋はまだこれから。残暑の厳しい日が続いている。けれどもいずれ冬はやってくる。冬になった頃、ぼくらはどうしている?

15歳というのは面倒くさい年齢だとぼくは思う。子供ではないのだけれど、大人には遠い。というか、ぜんぜん子供だったりする。スカートからまっすぐに伸びた彼女の脚がまぶしくて、ぼくは月の方角へ目をそらした。ぼくらはお互いによくわからないまま抱き合った。それが愛し合う行為なのかどうかもわからずに身体を重ねた。その結果としてもたらされた彼女の変化を、彼女の両親に気付かれた。そうしてぼくらは逃げている。逃げ場所なんてないのだけれど、とりあえずはふたりの両親から、大人たちから逃げている。

咳をする彼女の身体の揺れがぼくに伝わる。大丈夫?うん、へいき。彼女はくちびるの端をすっと横に広げて笑みをつくった。でも、やっぱり疲れているのがわかる。彼女は裕福な家庭に生まれて、何ひとつ苦労なく育ってきたひとなのだ。ヴァイオリンを習っていて、年に2回は海外へ旅行する家に生まれた大切なひとり娘なのだ。ごめんね。ぼくは意味もなく謝ってしまう。どうして?なぜ謝るの?彼女がぼくをみつめるのがわかる。いや、そのう・・・。ぼくは理由をうまく言えない。あたしは後悔していないよ。きみを好きになってよかったよ?

ぼくは泣きそうになった。

だから話をそらした。月ってさ、地球の影で満ち欠けするでしょう?月がいちばん明るくなるときってさ、地球と太陽の位置が重なっていないときなんだよね、きっと。ぴったりと地球と太陽と月の位置が一緒になるとき、皆既月食っていうんだっけ、月はみえなくなる。でも、それって別にたいしたことじゃないよね。なんていうか、空が曇っていれば月なんか見えないことがあるし。あれ? 何を話そうとしてたんだっけ。よくわからなくなっちゃった。

気が付くと、ぼくはぼろぼろ涙を流していた。ばかねえ。彼女が苦笑しながら、ぼくにハンカチを差し出した。鼻をかもうとしていると、いつの間にか近づいていた制服の大人がぼくらに声をかけようとしているところだった。静かな声で制服のひとは言った。ちょっと、きみたち・・・。

ハンカチを投げ捨てて、ベンチから立ち上がる。逃げろ。囁いて彼女の手を引いた。あ、ちょっと待ちなさい。あわてて追いかけようとする声を後ろに聞いて、ぼくは逃げる。大人たちから逃げなければならない。でも、逃げている大人たちに近づいているのではないか。

吐き気がした。彼女がつんのめって転んだ。お腹をおさえている彼女がいとおしい。いつまでもいっしょにいたい。いっそのことふたりで老人になりたい。いられるのだろうか。いられるのなら。なれるのだろうか。なれるのなら。でも無理なのかもしれないと弱気になる。ぼくはきみにふさわしくない。ぼくはきみを不幸にしている。確実に。好きになることで確実に。

ぼくは15歳を嫌悪した。

<了>

++++++++++

というわけで、久し振りのオリジナルDTMの楽曲です。今回は曲が先にできて、曲を聴きながら小説を考えてみました。掌編小説「ハーフムーン」のBGMとしてお聴きください。

■half moon(2分35秒 3.57MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing

掌編小説のほうは川上弘美さんっぽいテイストを試みたつもりなのですが、ちょっとありがちな話でしょうか(苦笑)。物語の創作力が鈍っているのかもしれない。小説を書く趣味もあったのですが、最近、ブログばっかりに入れ込んでいるので、いまひとつかもしれません。

ムーンというタイトルで思い出す小説はといえば、ポール・オースターの「ムーン・パレス」。オースターの小説にも行き場のないやるせなさがあると思います。というか、ムーンというと、どうしてもセーラームーンのようなイメージが付きまとって困惑なのですが。うーむ、タイトル再考か?

4102451048ムーン・パレス (新潮文庫)
ポール・オースター
新潮社 1997-09

by G-Tools

女性ボーカルが入っていますが、これはLotusloungeのSheepさんの声です。ネットコラボでご協力いただき「AME-FURU」という曲を作ったのですが、そのボーカルをサンプリングして切り貼りして使わせていただきました。一度いただいた音声ファイルはどこまでも利用するという(苦笑)、エコロジーな創作活動です。歌詞というよりも言葉の断片という印象になってしまいましたが、やはり素敵な声です(しみじみ)。という意味では、この曲はAME-FURUの新しいリミックスともいえますね。

音楽的には、最近よく聴いているドイツのエレクトロニカ・ユニット、ウルリッヒ・シュナウス(Ulrich Schnauss)の影響が大きいでしょうか。ドリーム・シューゲイザー的なリバーブの残響音に溶け込むようなノイジーなギターの感じを出したいと思いました。えーと、弾いてませんが(苦笑)。ネットを彷徨って拾ってきたフリーのギター音源を加工しています。半分の月に照らされる闇を、大人たちから逃げる主人公の少年。そんな感じでしょうか。

この2枚はかなりヘヴィ・ローテーションなアルバムです。

B0001VON60Far Away Trains Passing By
Ulrich Schnauss
City Centre Offices

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GoodbyeGoodbye
Ulrich Schnauss


Amazonで詳しく見る
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「ハーフムーン」の曲を思いついた契機は、金曜日の夜、送別会後に会社に戻ったら別のひとに誘われて終電まで飲んでしまい、へべれけになって3駅乗り過ごしてタクシーで帰ったことでした。夜の住宅街を酔っ払ってふらふら歩いていたところ、なんとなく破滅的な気分の向こう側にインスピレーションがわいてきました。ほぼ記憶がなく(苦笑)、自動操縦で気が付いたら家にいたのですが、たまにはそんな生活もしてみるものです。

とはいえ土曜日。一日中、気持ち悪かった。気持ち悪いなかで一気に曲を作り上げることができたのは儲けものでしたが、飲みすぎに注意しましょう。

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■9月16日追記

やはり小説というと縦書きじゃないか、ということが頭にあり、そういえばCSSの本で縦書きのサンプルをみた気がしました。

そこでネットで調べて作ってみたのが以下のページです。IEの5.5以上ではないとうまく表示されないようです。Mac環境のテストはしていませんがすみません、見ることができないかもしれません。とりあえず味もそっけもないページですが、縦書きの実験ということで。

縦書きを使うのは日本が中心であり、縦書きに表示することが必要かどうかという問題もありますが、やはり小説などに親しんでいるものとしては縦書きがいいなあと思うこともあります。いずれは標準化されるのかもしれないし、逆に縦書きの文章が廃れていくのかもしれません。

画面キャプチャーをクリックすると別ウィンドウで開きます。

縦書きテスト

投稿者: birdwing 日時: 23:49 | | トラックバック (0)