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2011年10月30日

読書で心がけている5つの事柄。

最近、読書のペースが落ちています。読書の秋・・・というには季節はだいぶ寒くなりましたが、机に向かったり布団にもぐりこんだりしながら本のページをめくってみたい時期。なのに、いまひとつ本を読む気持ちになれません。どうしたものか。ツンドク本も積まれたまま途方に暮れています。

とはいえ読書欲には波があり、読みたい「読者」と読まれたい「本」の絶妙な出会いがあるとぼくはおもっています。ぴぴっと目が合うような出会いがなければ、無理に読まなくてもいいや、と。はっぱをかけて読書欲を煽ることもときには大切ですが、読みたくもないのに読んでも、せっかくの楽しい読書がつまらなく感じてしまいますよね。なので、無理して読まない。

読書のスピードも同様です。速読はすごいとおもうけれど、何のための速読なのか。次々と大量の本を読むための速読だとしたら、ちょっとさびしい。物語に夢中になっているうちにあっという間に読み終えてしまった、ということならよいとおもいますけれど、がつがつと貪るような読み方は、ぼくの場合、どこかで消化不良を起こす気がしています。

よく噛んで、味わって、飲み込んで読みたい。読む本によっては、超スロー・リーディングで何ヶ月もかけてもいいかもしれません。作品が内在するスピードに読者が読む速さをチューニングするようなこともあっていいでしょう。そのスピードは個々にカスタマイズされたものであっていい。

読書から離れた時期、逆に読書について考えてみようとおもいました。

こうやって読め、こう読むのが正しいというマニュアルを提示するわけではありません。読書は自由であっていいとおもうし、実用書や勉強の本など役に立つものばかりでなく、小説や詩など、実践的ではないけれど作品のなかでたゆとうことによって癒される本もあります。何かに役に立てようという打算が目的の読書はどこかあざとい気がしていて、結果として読後に役に立つことがあれば幸いだし、そもそも読書自体が愉しみなのだから実践的ではなくても構わない。

ぼくはどのように本を読んでいるのか。どういう読書が快なのか。考えてみたところ、次のような5つのポイントが浮かんできました。自分の読み方の整理とともに、読書をもっと愉しくするための提案として書きとめてみます。


■■読書で心がけている5つの事柄。


①作者をコンプリートする"垂直読み"のススメ。

さまざまな著者の本を広く浅く読むことによって、この作家は面白そうだ、この著者はひとくせある、のようにリサーチすることもできますが、こつん、と自分の核に触れるような作家に出会ったら、その作家の全作品をコンプリート(ぜんぶ読む)つもりで、作家にどっぷり浸かってみるのもいいでしょう。たとえば、「10月は村上春樹月間」とか、自分でキャンペーンにしてもいい。

ぼくはこれを「垂直読み」と呼んでいます。

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垂直読みのよいところは、作品と作品をつなぐ関連性を辿れることです。要するに、作家の思考の流れを追体験することができる。難しいことばでいうと、インターテクスチュアリティ(間テクスト性)というのかもしれませんが、もちろん別の作家の作品とのあいだにも関連性はあり、この「つながり」を読むのが読書の愉しみでもあります。学者ならともかく、ただの読者であれば、時代考証や作家の背景を無視した、ぶっとんだ解釈をしても構わないでしょう。また、しっかり時代考証などをしながら読むことも愉しいものです。

ぼくが垂直読みをした作家には、ブンガクでは村上春樹さん、川上弘美さん、田口ランディさん、重松清さん、P・オースター、哲学では中島義道さん、永井均さん、エッセイでは香山リカさん、黒川伊保子さん、小池龍之介さん、ビジネスではドラッカーなどがいます。これから垂直読みしたい作家は、夏目漱石。なにしろ、「漱石全集」買っちゃったもんね(汗)ライフワークとして、漱石にじっくりと浸る時間を創りたいとおもっています。


②冊数ではなく、何を得たかにこだわる。

「オレ年間300冊読むんだぜ」「へえ、スゴイね。で何が面白かった?」「う・・・(しどろもどろ)」のように、読んだ冊数を威張りたいがために乱読するひともいるかもしれません。しかし、読書は「量より質」にこだわりたい

冊数にこだわるのはブログでアクセス数にこだわることと同じように愚かです。ブログで100万ページビューや膨大なブックマークを記録したとしても、炎上や自分勝手な極論が理由では誇れるものではないように、数字だけを指標としたいわば"生き方"をぼくは推奨しません。仕事とは逆に、趣味の世界であれば結果よりプロセス(過程)に意義を求めたい。

「何を得たかにこだわる」ということは、自分なりのモノサシを持つということでもあります。100万部のベストセラーであっても、読んでみたところ自分にとって意味がなかったのであれば、その本は自分にとっては良書ではあり得ない。

たとえば、ナシーム・ニコラス・タレブの「ブラックスワン」はベストセラーであり、池田信夫さんも推薦されているのですが、ぼくにとっては2冊も購入する価値のある本ではありませんでした。

4478001251ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
ナシーム・ニコラス・タレブ 望月 衛
ダイヤモンド社 2009-06-19

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4478008884ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質
ナシーム・ニコラス・タレブ 望月 衛
ダイヤモンド社 2009-06-19

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翻訳もぶっきらぼうだし、大量の原稿を割きながら、ひとことでいって「黒い白鳥の出現に気をつけろ」しか言っていないとおもった。と、いうのは言いすぎかもしれませんが、ベストセラーという宣伝文句や分厚さ、価格にまどわされずに、自分にとって(あくまでも自分にとって。つまり主観でよいとおもいます)、何も得られなかった本は、この本から何も得られるものはなかった、と言ってしまってよいとおもうのです。

読んだ時間や小遣いを損した、という判断をするかどうかは自分次第ですが、何も得られなかったという感想を得られたことも、重要ではないでしょうか。すくなくとも全体に流されるよりも、個の感性を重視するという意味で、なぜ自分にとってこの本は何も得られなかったんだろう、ベストセラーなのに、という考察は意義があるようにおもわれます。みずからの感性を大事にしましょう。流行や一般大衆の空気にのまれて、感性をごまかしてしまうのではなくて。


③140文字以内のキャッチコピーを創りながら読む。

アウトプットが大事だといわれます。同感です。読書も書評とまでいかなくとも、感想を書く習慣をつけるだけで全然違うのではないでしょうか。

読書のアウトプットに最適なツールは、Twitterだとおもいます。

ブログに書くにはとにかく力量と技術が必要で、スタンドアローンのオフラインPC上に書き留めておくのは閉鎖的で発展性に欠けます。Twitterは140文字の制限がありますし、#(ハッシュタグ)を使って「#dokusyo」や「#books」などのタグを付けておくと、他の読者から「あ、その本読みました。面白いですよね」などの感想や共感を得ることができます。また「こっちの本も読んでみてください」というおススメも教えてもらえます。

読者という立場を一歩進めて、推薦者(影響者:インフルエンサー)になってみたらいかがでしょう。自分の好きな本をプロデュースするわけです。そのときに考案するのは、読了した作品のキャッチコピー。ライバルは出版社の帯のことば、あるいは新聞や雑誌の書評です。

そんなものタダで薦めてもお金にならないから無駄じゃん、とおもう方もいるかもしれません。確かに職業ライターではないのだから、ちゃりんちゃりんとお金が入ってくるわけではないのですが、ソーシャルメディアにおける貨幣は「共感」です。これは体験したひとではないとわかりにくいのですが、すこしでも「あ、それわかる」とか「そうそう!そんな感じ」という共感をいただくと、お金では得られないような満足が得られます。

ちなみにぼくも本の購入時、読書中、読了時にTwitterでつぶやくことにしています。優秀なキャッチコピーの例にはならないかもしれませんが、読書の感想ツイートの一例として、この半年間(5月~10月)に読んだ本の感想の抜粋を本の情報とともに掲載してみますね。

2011年05月05日(木)
木田元『反哲学入門』読了。良書。テープを起こしてお話された内容をまとめたそうだけれど、ソクラテスなどギリシア哲学からカント、ニーチェ、ハイデガーなど哲学を覆そうとしてきた"反哲学"の歩みが明瞭に読み取れる。哲学者の人物像もくっきり描かれている。 #books #dokusyo
4101320810反哲学入門 (新潮文庫)
木田 元
新潮社 2010-05-28

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2011年05月07日(土)
光文社のカント『永遠平和のために/啓蒙とは何か』読了。政治哲学の本を読みたくて、BRUTUSには簡単でおススメと書評があったので読んでみたが苦戦。ただ本書の3分の1を占めている中山元さんの解説を読んで驚くほど理解できてしまった。すばらしい解説。 #books #dokusyo

4334751083永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫)
カント 中山 元
光文社 2006-09-07

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2011年05月19日(木)
岡本太郎『美の呪力』読了。石を積み重ねたエスキモーのイヌクシュクから綾とり・組紐まで。怒りや血や夜などさまざまな呪力に焦点をあてた岡本太郎によるキュレーション本。断定で書かれた言葉が熱い。空間・時間を自由に行きかった思考の混沌が、あまりにも芸術的。 #books #dokusyo

4101346224美の呪力 (新潮文庫)
岡本 太郎
新潮社 2004-02

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2011年05月25日(水)
外山滋比古『「読み」の整理学』読了。既知を読むアルファー読みと未知を読むベーター読みが提唱され、読書力の低下は古典など未知の文章を読むことが少なくなったからと警鐘を鳴らす。確かにそうかも。朗読少女というアプリもあったが音読で聞いて読む方法もある。 #books #dokusyo

448042380X「読み」の整理学 (ちくま文庫)
外山 滋比古
筑摩書房 2007-10

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2011年05月29日(日)
光文社文庫のニーチェ『ツァラトゥストラ(上)』読了。言葉の意味より「意志のダンス」のようなものを読んだ印象!ツァラトゥストラが空を飛んだり、ひきこもりたくなったり、タランチュラに噛まれるところで笑った!ニーチェの文章、びっくりマーク多すぎ! #books #dokusyo

4334752179ツァラトゥストラ〈上〉 (光文社古典新訳文庫)
フリードリヒ ニーチェ Friedrich Nietzsche
光文社 2010-11-11

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2011年06月04日(土)
外山滋比古『異本論』読了。本の「進化論」という印象。歴史のなかでさまざまな解釈が生まれ、異本が生まれる。しかし異本が収斂して古典となる。各章に重複した内容があり、この本自体も読者論のヴァリエーションになっている。解釈の多様性を認める立場に共感。 #books #dokusyo

448042749X異本論 (ちくま文庫)
外山 滋比古
筑摩書房 2010-07-07

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2011年06月13日(月)
光文社文庫ニーチェ『ツァラトゥストラ(下)』読了。劇作品風に仕立てられた狂気の文体。ツァラトゥストラが歩き回って、王様や研究者や醜い人間を自分の洞窟に集めるところが物語として読んで面白かった。しかし、正直なところさっぱりわからん。理解できん。 #books #dokusyo

4334752225ツァラトゥストラ〈下〉 (光文社古典新訳文庫)
フリードリヒ ニーチェ Friedrich Nietzsche
光文社 2011-01-12

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2011年06月18日(土)
ショウペンハウエル『読書について』読了。ただ文を短くするために改変された悪文や悪書を生み出すジャーナリズムを辛辣で鋭利な批判によって斬っていくが、十九世紀に書かれたものとはおもえないほど新鮮。読むこと、書くことの難しさをあらためて突きつけられる。 #books #dokusyo

4003363221読書について 他二篇 (岩波文庫)
ショウペンハウエル Arthur Schopenhauer
岩波書店 1983-07

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2011年06月22日(水)
見城徹『編集者という病い』読了。感動した。角川時代や幻冬舎設立の話など同じ成功談(要するに自慢話)が繰り返されるのだが、何度でも聞いていたくなる。本書にも書かれているが、見城徹という編集者の生きざまは誰にも真似できない。凄いひとだとおもった。 #books #dokusyo

4087464180編集者という病い (集英社文庫)
見城 徹
集英社 2009-03-19

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2011年07月01日(金)
仁木英之『僕僕先生』読了。杏のいい香りが立ち昇るファンタジー。唐時代の中国、少女の姿をした仙人とぐうたら息子の王弁が旅に出て、さまざまなひとびとや仙人たちと出会う。ふんわり癒し系の物語でほっこりあったかい。10代の頃にモーソーしながら読みたかった。 #books #dokusyo

4101374317僕僕先生 (新潮文庫)
仁木 英之
新潮社 2009-03-28

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2011年07月02日(土)
仁木英之『薄妃の恋』読了。僕僕先生シリーズ第2弾。連作短編で新しいキャラクターも登場。是枝裕和監督に「空気人形」という映画があったけれど、薄妃ってアレだなとおもった。難問に答える王弁は仙人的な強さがある。少女な仙人とのいちゃいちゃぶりも楽しい。 #books #dokusyo

4101374325薄妃の恋―僕僕先生 (新潮文庫)
仁木 英之
新潮社 2010-08-28

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2011年07月04日(月)
仁木英之『胡蝶の失くし物』読了。僕僕先生シリーズ第3弾。暗殺集団「胡蝶房」から先生たちに刺客が送られる。けれども敵のあしらい方が先生らしい。薄妃の恋の行方は切なかったな(涙)。現在のところ文庫化されているのはこの本まで。しかし続きが気になる。 #books #dokusyo

4101374333胡蝶の失くし物―僕僕先生 (新潮文庫)
仁木 英之
新潮社 2011-05-28

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2011年07月15日(金)
『エックハルト説教集』読了。教会の雰囲気がする文章。抽象的で(非常に)わかりにくいのだけれど翻訳にも問題があるんじゃないかとおもった。「貧しさ」ということばは貧富の意味で使われているのではない気がする。異端として排除されたようだが仏教的でもある。 #books #dokusyo

4003381610エックハルト説教集 (岩波文庫)
エックハルト 田島 照久
岩波書店 1990-06-18

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2011年08月16日(火)
川上弘美『パスタマシーンの幽霊』読了。料理の匂いのような、ほんわかした物語を集めた短編集。どこにもいそうで、それでいて作品のなかで独自の魅力を香らせている人物たちが、いとおしい。不思議なことも辛いことも楽しいことも、まあいっかという気持ちになる。 #books #dokusyo

4838721005パスタマシーンの幽霊
川上 弘美
マガジンハウス 2010-04-22

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2011年09月22日(木)
藻谷浩介『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』読了。人口の波のデータに注目し、生産年齢人口の減少が経済にもたらす課題を解く。非常に面白かった。高齢富裕層から若者への所得移転にも頷ける。問題は施行の難しさではないかとおもう。大枠の構想は納得した。 #books #dokusyo

4047102334デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
藻谷 浩介
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-06-10

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2011年10月23日(日)
小池龍之介『平常心のレッスン』読了。主にビジネスマンに的を絞って書かれている。メタ認知に近いと述べられているが、執着心を捨てて現在のありのままの自分を観察し、受け容れることは簡単なようで難しい。この著者の本は読むたびに和む。楽になる。 #books #dokusyo

4022734183平常心のレッスン (朝日新書)
小池龍之介
朝日新聞出版 2011-10-13

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2011年10月28日(金)
桑原晃弥『スティーブ・ジョブズ名語録』読了。読み始めたばかりにはふつうの言葉ばかりだな、とおもったが、読み終えるとジョブズの個性と才能がみえてきた。彼はアップルがほんとうに好きだったんだな。だからこそ妥協しない。 #books #dokusyo #stevejobs #apple

4569675204スティーブ・ジョブズ名語録 (PHP文庫)
桑原 晃弥
PHP研究所 2010-08-02

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以上はすべてTwitter上の実際のぼくのつぶやきです。読書日記をまとめた(トゥギャッた)だけですが、あらためて時系列で並べると自分の関心の波も感じられます。自分なりのキュレーションともいえます。

このなかで、ショウペンハウエルや仁木英之さんは、Twitterでフォローしているさきこさんの影響でした。外山滋比古さんや川上弘美さんは、やはりTwitteでフォローしている風詩さんの影響です。誰よりもソーシャルメディアに影響されやすいのは、このぼくかもしれません(苦笑)


④五感で読む(手触り、音読、視覚など)。

Kindle Fireも登場し、欧米では熱い電子書籍市場。しかし、日本ではどうも苦戦している印象が否めません。電子書籍vs紙の本のような安直な二項対立で考えたくありませんが、電子書籍のポータビリティに期待しつつ、古きよき紙の本のよさも次世代に伝えたいところ。

紙の本には電子書籍にない良さがたくさんあります。たとえば表紙の装丁。活字の印刷された匂い。紙の手触り。本棚に収まらないので厄介なのですが、変型の本などはカタチも愉しむことができます。

最近ちょっといいな、とおもった装丁は、村上春樹さんの「雑文集」でした。

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表紙に半透明なビニールのカバーが付いていて、グレーっぽい茶色でタイトルが書かれている。そしてビニールを透かして、安西水丸さんと和田誠さんのカラーのイラストがみえる、という体裁です。変型で楽しいのは寄藤文平さんの「元素生活」ですかね。化学の本らしくないイラストが、ぱらぱらめくっていて面白い。

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音読する愉しみもあります。日本と比較して自動車通勤の多い米国などでは、オーディオブックが売れているという記事を読んだ覚えがあります。また、日本では「朗読少女」というアプリが人気を集めています。黙読するだけでなく、気に入った文章は音読することによって、身体で読むこともできるとおもいます。音読は場所を選びますし、ちょっと恥ずかしいですけどね。

このように本を身体で読む、五感を総動員して読むことによって、読書に拡がりを与えることができるのではないか、とおもうのです。


⑤マッピングで縦横無尽に。

垂直読みという、ひたすら作家をコンプリートしていく読み方を挙げましたが、作家への理解が深まるメリットがある一方で、正直なところ飽きちゃいます。他の本への浮気心がふつふつと沸いてくるのは仕方がないもの。本ならば浮気OK。そこで自分の読書の領域を広げるために、マッピングして読んだことのない分野を探してみては。要するに自分の読書傾向を可視化(見える化)するわけです。たとえば、こんな感じ。

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この場合は縦軸に文系/理系、横軸に文庫(安い)/単行本(高い)という設定をして4つの象限に分けています。比較的読んでいるのが、文系/文庫もしくは単行本。ちょっと手が出せないのが理系/単行本です。そういえば、リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」も読もう読もうと言っておきながら、結局購入していないなあ。そんなことに気付く。

縦軸と横軸は、女性作家/男性作家(真ん中はおかま作家?)、古典文学/現代文学など、いろいろ設定できます。チャートをながめながら、自分の苦手な分野、盲点、ニッチな領域がわかるとおもいます。その領域をあえて避けることも可能ですが、読書家たるもの、挑戦してみてはいかがでしょうか。

+++++

つらつらと書き連ねてきましたが、読書の心得というより、読書をもっと愉しむための拡張方法という内容になりました。実のところ書きたかったのは、方法論はいいから読書をもっと愉しもうよ、もっと愉しめる読書があるよ、ということです。

ちなみに現在読書中の本は次の2冊です。

4048703005明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法 (アスキー新書)
佐藤尚之
アスキー・メディアワークス 2011-10-11

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4004313333日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)
原 研哉
岩波書店 2011-10-21

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コミュニケーションとデザインの本。積まれたままですが、うずうずと読みたい気持ちが高まってきました。機が熟してきたのでしょう。そして、買いたいなとおもっているのは次の本。

4062171260スティーブ・ジョブズ I
ウォルター・アイザックソン 井口 耕二
講談社 2011-10-25

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4062171279スティーブ・ジョブズ II
ウォルター・アイザックソン 井口 耕二
講談社 2011-11-02

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アップルの偉大な経営者であり、アーティストともいえるスティーブ・ジョブズの伝記。亡くなられたのが残念です。MacFan、MacPeople×MACPOWERの追悼号を2冊購入しましたが、彼自身の人生を詳細に知りたくなりました。いわば垂直読みです。ほんとうなら原書で読むことができればいいんですけれどね。

読書を客観的に対象化して、自分の方法論をみつめているうちに、また読書の世界に戻りたくなってきました。この行きつ戻りつの往復運動が、読書を活性化するのかもしれません。

いやー、読書ってほんとうにいいですね。

投稿者 birdwing 日時: 09:05 | | トラックバック

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