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2015年9月21日

ブロガー卒業宣言。

150731_moon.jpg150812_pingpong.jpg150911_sora.jpg季節は秋ですね。といってもまだ日差しは強く、季節に乗り遅れちゃったツクツクボウシの声を聞くこともありますが。

それでも夜には虫の声が騒がしく、大気中の成分の0.35パーセントにキンモクセイの香りを嗅ぐようになりました。前回にブログを更新したのが4月なので、5か月ぶりの更新です。

かつてブログを更新しないと「大丈夫? 生きてる?」みたいなお気遣いをいただくことがありました。ぼくは生きています。問題なく、とはいえないかもしれませんが、とりあえず生きておりますのでご心配なく(苦笑)

そもそもぼくの生活は、ブログやSNSで成立しているわけではありません。世の中の多くの人間はブログなんて書かないものです。といっても、現在はSNSをやっているひとが多いので、ブログよりSNSで近況を伝え合う方が自然といえるでしょう。

ブログを書かなかった空白の期間に撮った写真から、蜜柑色の月、出窓で育てている100円ショップ観葉植物に仲間入りしたピンポンの木、そして秋の到来を感じさせるもこもこの羊雲の空を。

ところで秋といえば中秋の名月。

今年は、中秋の名月の翌日がスーパームーンとなっています。スーパームーンとは、月が最も地球に接近したときの満月あるいは新月で、月が最も大きく見える状態です。

月にちなんで、なのですが、新月から三十日月までの各状態や写真、あるいは月に関するさまざまな知識や読み物を集めた『月とこよみの本』が宝島社より9月18日に発行されました。


4800246660月とこよみの本
林 完次
宝島社 2015-09-18

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この本で、竹取物語と百人一首の超訳・現代語訳を10ページほど書かせていただきました。実は国文科卒業にも関わらず、ほとんど古文というものをしっかり読んだことがありませんでした。が、竹取物語の最後のすばらしさには感動しちゃいました。うわ、これってSF映画だよね?!みたいな。


150911_moon3.jpg


巻末にクレジットも入れていただいて、とても嬉しいです。装丁はもちろん写真やチャートも美しい素敵な本なので、中秋の名月&スーパームーンの鑑賞といっしょに、ぜひおすすめいたします!


150911_moon5.jpg


さて、ぼくは趣味でDTM(パソコンによる音楽制作)とアコースティックギターの弾き語りをやっていますが、自作曲の中でも月を取り上げた曲がいくつかあります。

その中でも「エンサイクロペディアの夜」という曲は「崩れていく波 月に照らされた/なぎさを歩くふたりの影」という歌詞ではじまります。

この曲を4月からリメイクしています。5月ぐらいには、既にバックトラック(打ち込みのカラオケみたいなもの)は、ほぼ完成していました。

ところが、ここでリードギター入れよう、なんか別の展開を入れてみよう、と考えて、あれこれ手を加えていたところ大がかりに。なんと9分14秒にも渡る大作となってしまいました。そんなわけで、いまだに完成しておりません(苦笑)

これは、はたして完成するのか? 世に出すことができるのか? と不安になってきたのでバックトラックをミックスダウンして、サビと中間部分を映像化してみました。

予告編・・・というか、こんな雰囲気の音楽も作っています、ということでYouTubeにアップした映像をご紹介します。



なお、原曲はsoundcloudにアップロードしていますので、興味のある方はこちらから聴いていただけると嬉しいです。


前置きはこれぐらいにして(ながっ。苦笑)、ぼくの中でブログやSNSに対する考え方が変わってきたので、そのことを書いています。


■■ブログの比重が下がってきた

ぼくがブログを書き始めたのは2004年。いまから10年ほど前です。

と自分で書いておきながら、うわー10年もブログやっているのかと(最近は更新してないけど)自分で驚きました。なんという暇人。

最初は、はてな(懐かしい)で毎日のようにせっせと更新していました。

はてなは非常に意識の高い人がブログを書かれていました。とてもハイブロウな雰囲気がありました。キーワードでリンクされるので、いろいろな方がぼくのブログを読んでいただいて楽しかった。

アルファブロガーなどという言葉も海外から輸入されましたが、ブログを書いている人はまだ少数でした。アクセス数が月に10万以上ある方は、崇拝されていました。まあ、いまとなっては懐かしい話です。というか、変な盛り上がりだったなあ、とも感じます。

そんな風潮にのって、ぼくもブロガーやってみようということで、ブログを書き始めたのが起源です。とはいえ、さすがに10年も経って状況は変わりました。

もちろんいまでもブログを書かれている方はいらっしゃいますが、

1)ブログでお金を稼ぐひとが出てきた
2)企業がアクセスを稼ぐためのブログを量産しはじめた

ということが大きな変化だとおもいます。

後者はいわゆるコンテンツマーケティングと呼ばれるもので、クラウドソーシングなどを使って安価で記事を量産するようになりました。よい記事もありますが、クオリティが著しく低い記事も混在しています。

一方で、2004年当時からグリー(その頃はゲームが主体じゃなくてSNSだった!)、mixi、キヌガサなどのSNSはあったのですが、その後、ツイッターが出現して爆発的に盛り上がり、さらにフェイスブックの時代が来て、いまではLINEかな、という流れになっています。

そんな状況の中で、ぼくのブログに関する考え方も変わってきました。

従来は、仕事や生活などについて考察したことを書いてみたり、本・映画・音楽などの感想を記録する、みなさんに公開するメディアがブログだったわけですが、最近考えるのは「別にそれブログじゃなくていいじゃん」ということです。

現在は、主としてフェイスブックを使って、友達限定公開でこれまでブログに書いてきたような投稿を書いています。かなりの頻度で超・長文です(苦笑)。このブログなんて目じゃないぐらい長いこともある。

おいしい食べ物の写真や、わいわい仲間たちと飲んでいる写真が多いフェイスブックで、自分のテツガクを長々と書く自分はちょっと(というか、かなり)変だとおもう。ところが、そんな長文の投稿に長文で丁寧に意見をくださる方がいらっしゃって、ありがたいことです。

ぼくのフェイスブックは、いいね!の数も少ないし、コメントいただける方も限られています。しかし、コメントいただけるときはめっちゃ内容が濃い。ものすごい量のテキストで、とことん知恵を深掘りするような感じになっています。

ツイッターでも、文字数限定ですが本の感想を書いたり、考えたことを連投していたり、かつてのブログのような使い方をしています。結構気軽に投稿できるので便利です。

「備忘録」として、買った本や図書館で借りた本のメモを投稿することもあります。ツイログと連携して、あとで「あの本はいつ買ったっけかな?」と検索できるので、とてもいい。

こうして、ブログの更新頻度がどんどん減少していきました。

とはいえ、ぼくが日々発信している言葉は、これまでより確実に増えています。というのは、ライターとして仕事で月10万字以上の文章を書いているからです。


■■世界に向けてプライぺートを語らなくてもいいのでは?

かつて年間数万字のブログと写真を撮るという、カメライターとか名乗るとあるブロガーの方が、村上春樹さんのことを「売ることしか考えない作家だ」みたいな批判をツイートされていました。そこで「それ、ちょっと違うんじゃない?」と反論をつぶやいたことがありました。

するとぼくのブログを訪問して「書評の更新がないブロガーが何言ってるんだ。オレのセミナーで、おまえのような愚かなやつは事例として晒してやる」みたいなことを言われた。くだらないひとだな、と感じましたが。

そのひとはBLOGOSというメディアにブログを転載していたのですが、批判と愚痴ばかりで、読んでいて気分が悪くなるようなネガティブなことしか書いていない。

「そんなくだらない文章を何万字も書いている、あなたの人生のほうが大丈夫か? というか、つまんない言葉を何万字も吐いて威張ってるブロガーなんて、ろくなもんじゃないだろ」と、おもったんですが、まあ、いろんなひとがいるものです。

ちなみにぼくはその後、会社運営として「BOOKS NEXT」という本好きと文章を書くことが好きなひとのためのサイトを立ち上げました。お恥ずかしいことにまだうまく運営できていないのですが、長期的に取り組んで書評を書きためていきたいと考えています。数じゃなくてね、ほんとうにいいな! とおもった本を推薦していきたい。

地方に移住されて、サラリーマン生活に消耗している東京のひとたちをあざけ笑って煽り、自分のブログに誘導してアクセス稼いでいるカリスマブロガーさんもいらっしゃいますね。それも違うんじゃないか、と。ブログを書く姿勢の品性自体に問題がある。

僭越ですが、ぼくの見解としては「まだブログなんかで消耗してるの?」と感じます。

インターネットは世界に向けて開かれているのですが、何も全世界に向けてプライベートな生活を開示する必要ないじゃん、という当たり前といえば当たり前の常識を最近感じるようになりました。

ブログが盛り上がっていた頃には、「あからさまに自分を開示するのがブログのよさ」でした。実際に個人の生活や見解が非常によく読まれる時期がありました。ところが、冷静になって考えると「いや、別に世界に向けて自分を開示しなくてもいいでしょ」と。

現在ぼくは、これまでブログに書いていたようなプライベートな話は、全部フェイスブックで友達限定で書くようにしています。特定の人だけが読めるように。それでも「この話はあえて書く必要があるのか?」と疑問を感じることがあります。

そもそもぼくの原点は「文章を書くのが好きだ」ということでした。

独立してライターの仕事をはじめたところ、月に10万字以上を書くようになって、もうそれだけでしあわせなんです。というのは、ブログと違ってお金をいただける。にも関わらず、フェイスブックに無駄に超・長文の投稿をしちゃうのですが、気分転換も「文章を書くこと」という偏愛ぶりです。

ブログで「何をしたかったのか?」ということをあらためて考えると、ぼくは「文章を書きたかった」。セルフブランディングしたかったわけでも、一攫千金を狙いたかったわけでもない。温泉掘りたいとか、せどりみたいに中古の楽器を購入して転売するようなことがしたかったわけではありません。

好きな文章を書いてお金をいただけるのであれば、それほどのしあわせはない、と。

いまぼくはブログを書いている時代とは比べ物にならないぐらい文章を書いていますが、めちゃめちゃしあわせです。ほんと、寝食忘れて書いてしまうことがある。

でも、やっぱりブログも好きですけどね、どーでもいいことを長文で書けるのがブログのよさだとおもいます。このエントリみたいに。


■■文章の地平を拡げる、自分の枠を超える

えーと、ちょっと恥ずかしいのですが、乙女系ラノベ(ライトノベル)というジャンルの電子書籍を2本、6月と8月に書きました。それぞれ10万字の原稿です。

通常の仕事では、IT関連のシステム導入事例とか、就職活動に関する指南の記事などを書いています。ライトノベルの執筆は異色といえば異色の仕事といえます。

乙女系ライトノベルって聞くと、なんとなくファンタジックな印象がありますよね。でも、ずばり言ってしまうと女性向け官能小説です。早い話が「エロ小説」です。

たぶん、お行儀のいいライターさんは「エロ小説書いたら、ライター終わってるだろう」と眉をしかめるとおもいます。また、自分自身も引き受けるにあたって、若干の躊躇はありました。こんなん書いていいの? みたいな。

しかしながら、そんなためらいよりも、書いたことのない領域を書いてみたい!という好奇心およびチャレンジ精神が強かった。なによりぼくはエッチなので(笑)。徹底的にエロを追求しようじゃないか! という気持ちが勝っていました。

「かない蒼」というペンネームで書いています。このペンネームは「エロ小説なんだけれど、これで小説家になる夢が"かないそう?"」という意味で付けました(笑)

1作目は『かりそめの王妃~背徳の物語に捉われて~』という物語を書きました。AmazonのKindleで電子書籍として発行されています。


B0142J8TX4「かりそめの王妃」~背徳の物語に捉われて~ (アンジェラ文庫)
かない蒼 おもおもも
スタジオプラスコ 2015-08-27

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本好きな詩織というOLさんにある日、不思議な本が送られてきます。本を開いた途端にその本で描かれている淫靡な王宮の物語に入り込んでしまうというファンタジーです。まあ、大人版ネバーエンディングストーリーみたいな感じでしょうか。

参考にしたのは、ELジェイムズの『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』です。


4150413150フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ (上) (ハヤカワ文庫NV) (ハヤカワ文庫 NV シ 28-1)
E L ジェイムズ 池田 真紀子
早川書房 2015-01-09

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エロ小説書くにあたって事前の勉強として、編集者さんから勧められて、次の2冊の本も読みました、官能小説の辞典は笑っちゃいましたね。


4344983343女流官能小説の書き方 (幻冬舎新書)
藍川 京
幻冬舎 2014-01-30

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4480422331官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫)
永田 守弘
筑摩書房 2006-10

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「仕事として」書いたので、プロットの作成はもちろん、スケジュールも綿密に立てました。1日最低5,000字書くなどの目標値を設定して、Excelのシートを使って管理しました。こんな感じ。


schedule_150710.png

毎日進捗を管理して、どの程度制作が遅れているかなどをチェックしつつ書きました。要するに「プロダクト」あるいは「コンテンツ」として「小説を書く」ことを徹底的にシステマティックにやったわけです。

最初の仕事だったので、残念なことに誤字が非常に多くて、クオリティは満足できていません。版元さんに修正していただけるといいのですが。

第2作目は『七色の蜜月』といいます。こちらは現在、ロマンスブックカフェで公開されています。いずれAmazonのKindle版も発行されるかとおもいます。


幼馴染みのことが忘れられない広告代理店に勤めるOL絵莉菜が、政略結婚を仕組まれてイケメンの青年実業家と幼馴染みとの想いで揺れ動く、という物語です。2作目はプロット自体は支給されていたのですが、設計し直さなければならない部分があって苦心しました。

これらを書いている時期、ほんとどっぷりと日々エロに染まってアタマの中はピンク状態でした。ただ、その反動で平岡正篤氏の本を読み始め、孟子や荀子などの思想に惹かれました。そんなエロと東洋思想で、精神のバランスを取っていたような気がします。

書いてよかったのは「どうすれば女性は喜ぶのか、女性にとって快楽とは何か」を徹底的に考えたので、書き終わった後、女性に対する考え方がまったく変わりました。

昔から「あなたは女性の気持ちが分からない」と言われ続けてきた自分なので、やっと人並みに女性を理解できるようになったレベルかもしれません。そのきっかけがエロ小説執筆というのも、いかがなものかとはおもいますが。


■■ブロガー卒業宣言

そんなわけで、ぼくはブロガーを辞めようとおもいます。

多くのブロガーがアクセス稼ぐために必死になって、自分のセミナーの宣伝とか、煽り記事とか、企業や個人や世の中を批判して貶めることによって自分の満足を得るような記事を書いていますが、そういうのがくだらなくなっちゃったんですよね。

ぼくは「文章を書く」ことが好きで、文章を書くことによって対価をいただける喜びを知ってしまった。となると、ブログを書いているよりそっちの方がいいです。

とはいえ、ブロガーを卒業してもブログは書き続けます。

たぶん更新頻度はぐっと少なくなるとおもいますが「自分の思考のまとめサイト」としてブログを活用していきたいと考えています。

更新頻度は少なくなったとしても、より濃厚および長文なブログになっていく気がします。ひょっとすると10万字のブログエントリなんてものもあるかも(笑)。電子書籍にしちゃった方がいいかもしれません。

いやー、久し振りに長文ブログを書きました。気持ちいいな。2時間ぐらいで書いたのですが何文字書いたんだろう。後で調べてみよう。

投稿者 birdwing 日時: 07:40 | | トラックバック

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