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2005年3月25日
創造的であるために
春。ということで、日曜日に髪を茶色にしてみました。一年ぶりです。髪の色が軽くなるとちょっとだけ気分も軽くなる。ところが家に帰ると、2歳の息子にすーっと目をそらされました。しばらくは目を合わせてくれなかった。さすがに数時間後には普通に接してくれるようになったのですが、なかなか面白い反応でした。
そんな風に、新しいものに接したとき、僕等は目をそらしがちです。
どうしても今までのやり方や、慣れ親しんだものの方がよいと思ってしまう。
お決まりの日課、お決まりの通勤経路など、日々の生活では慣れ親しんだルーティンワークのなかに閉じこもりがちになります。ここまで、と線を引いたサークルから出てこなくなる。そうして、おや?と思うことがあっても、まあいっかと諦めてしまうし、そもそも疑問にさえ思わなくなる。面倒だからこれでいいじゃん、と。
でも、ある意味、破壊が必要なのかもしれません。
髪の色を変えるなどというのは、小市民的な変化に過ぎませんが、アタマのなかも一度壊してみる必要がある。これでいいのか?と疑ってみる。もっと他にやり方がないのか?と考えることは必要です。ブログもそうかもしれません。継続は力なり、といいます。確かに続けていくことは重要ではありますが、更新ばかりを意識して、あまり内容にまでこだわらなくなる。そんなときは、一度がしゃーんと壊してみることも必要でしょう。
とはいえ、なんでもかんでも壊せばいいってもんじゃありません。
何のために壊すのかというと、新しいものを創造するための破壊なわけです。破滅的に破壊しても意味がない。
そんなときに思い出すのはビートルズの話です。社会人バンドを趣味で楽しんでいた時期があり、仲間がよくこんな話をしてくれました。
ビートルズの登場は画期的であり、当時としては新しい音楽だったのだけれど、彼等がやっていたことは決してまったく新しいことではなかった。彼等は黒人のR&Bが大好きで、黒人っぽい音楽に憧れていた。ところが白人である彼等が黒人の音楽をやっても、どういうわけか黒人っぽくない。でも、その白人と黒人の組み合わせが、新しい音楽を生み出した、と。いまにして思えば、エレキギターを抱えながらネクタイにスーツ、という組み合わせも個性的です。
ジェームズ・W・ヤングも野口悠紀雄氏も言ってますが、創造的であることは組み合わせから生まれるのかもしれません。
そうして「引用」も、ひとつの組み合わせともいえます。
ブログで引用やトラックバックをするとき、誰か別のライターの言葉を引用しつつ、自分の考えを加えることで、新しいものを創造していく。僕の場合、解説的になってしまうのが、なかなかクリエイティブになれなくて苦しんでいる部分でもありますが、このスタンスに立てば、評論もかなりクリエイティブになります。
米ヤフーサイトにクリエイティブ・コモンズの専用検索サービスができたようです。
Yahooによると、この検索ツールは従来とは異なるライセンス契約を使用する数百万のウェブページを検索対象にしており、この検索機能で探し出せるコンテンツの大半は、営利目的以外の使用またはガイドラインに沿う用途であれば、無償でライセンス提供されるものだとYahooは述べている。
書かれたもの、作られたものは、作者の手を離れたときに、もう別の存在になってしまうのかもしれません。つまり「親離れ」をする。それが、「こいつはオレの息子だ。こいつ(作品)はオレのものだ」と主張することは、親(=作者)のエゴかもしれません。
「Yahooは常にコンピュータのアルゴリズムに人間の思考を加え、どちらか一方では成しえないことを生み出してきた。今回の新機能もその1つだ」とLessigは声明のなかで述べた。「Yahooは、著作権者が意図する自由をベースにしたコンテンツを簡単に見つけだせる方法をユーザーに提供することで、創作者らが合法的に他者の創作物を下敷きにして自らの作品をつくることを可能にする技術の利用と普及を進めている」(Lessig)
上記も、コンピュータ×人間の思考という組み合わせですね。
ただやたらめったら素材として引用して組み合わせても、クリエイティブなものにはならないと思います。なぜその素材(あるいは情報)を使うのか、使ってどこに向かおうとしているのか、という考え方が重要です。
その視点に立った上で、ほんとうに共感できるアーティストのコンテンツを使って、自分なりのコンテクスト(文脈)に流し込み、引用のなかに息吹いている振幅をさらに大きく増幅させることができれば、テキスト(=引用の織物)としての創造的な成果を出せるような気がします。
創造的でありたいものです。そして、自由に。
投稿者 birdwing : 2005年3月25日 00:00
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