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2005年3月16日
棲み分け考
「CTIA Wireless 2005」の開催から、携帯電話に関するニュースが目に付きます。日本ではカメラ付き携帯電話は当たり前という印象がありますが、米国でも多機能携帯電話が本格的に普及しそうとのこと。
今年のCTIA Wirelessは、携帯電話業界にとって大きな分かれ目になるイベントになりそうだ。カメラ付き携帯電話が登場したことで、米国の消費者も自分の電話機からインターネットにアクセスし、撮影した画像を一般向けのウェブサイトで公開したり、特別に用意されたテレビ番組を観たり、友人の携帯電話に写真を送ったり、オフラインの印刷サービスに注文を出したりできることに気付いた。一方、通信事業者側でも、過去2年間に無線データ通信の売上が倍増したことを受け、この分野に対する関心を強めており、新たなデータサービスに進んで挑戦しようとしている。
このカメラ機能については、コダックのCEOが携帯電話に搭載されているカメラは、デジタルカメラと比較すると品質の面で劣る、ということを語っていました。
KodakのCEOであるDan Carpは米国時間14日、当地で開催中の「CTIA Wireless 2005」で基調講演を行い、「携帯電話のカメラを使って画像を撮ることは可能だ。しかし、写真として見た場合、これらは満足のいく品質ではない」と述べた。
カメラメーカーの立場からの見解なので、「携帯電話業界でここ2年間語られてきたサクセスストーリーに冷や水を浴びせる」発言というのは、そうだろうなという気がします。しかしここで重要なのは「写真として見た場合」ということ。どちらかといえば、個人的には携帯電話のカメラで撮影した画像は写真としては見ていない。メモに近い。そんなに長く保存しておかなくてもかまわないし、印刷する必要さえない。
Dan Carp氏は自社の調査結果から、以下のような部分を引用したようです。
ユーザーの約3分の2が、携帯電話で撮影した写真をコンピュータに滅多に転送しないと回答したほか、70%が撮影した写真を別の携帯電話ユーザーに送信したことが一度もないと回答した。
それはたぶん「必要がない」からでしょう。携帯電話の写真をパソコンに転送する必要はないし、携帯電話間で送信する必要もない。でも家族や友人に見せたりはしているかもしれない。自分で待ち受け画面にして楽しむことも多い。
従来の「カメラ」的な枠組みで考えていると、デジタルカメラVSカメラ付き携帯電話というハードウェアが競合する構図が見えますが、そうではないかもしれません。
ただ、さまざまな情報家電の進化のなかで、そのまま携帯電話のカメラ機能が変わらないとすると、Dan Carp氏が言うように「取るに足らないつまらない機能として扱われるようになってしまう」こともあるでしょう。
デジタルカメラに関しては、国内では京セラがデジタルカメラ事業から撤退する、という記事がありました。「KYOCERA」と「CONTAX」のブランドはかなり力があると思うのですが、ちょっと残念です。撤退後はどうするかというと、携帯電話向けの事業に方向転換とのこと。
同社は機器事業の収益改善を図るために光学精密機器事業の再編を行っている。デジタルカメラ事業は企業間の価格競争が激化したことから収益が悪化していた。今後はより採算性の高い携帯電話向け光学モジュール事業などに事業を集中させる考えだ。
もちろんカメラというハードウェアとしてはデジタルカメラとカメラ付き携帯電話は競合関係にあるとは思いますが、ユーザーの立場からすると、もっと別のものが競合になるような気もしています。
競合といえば、携帯電話で音楽を聴くことができるようになると、ミュージックプレイヤーとも競合する可能性があり得るのですが、そのことに対してアップルのフィリップ・W・シラー氏のコメントがありました。
■米アップルコンピュータ シニアバイスプレジデント フィリップ・W・シラー氏が来日――携帯電話とポータブルミュージックプレーヤーは競合しない
携帯電話とポータブルミュージックプレーヤーが競合し、多くの楽曲が携帯電話に入ったからといってポータブルデバイスが不要になるかというとそうではないだろう。
次の言葉は印象的です。
すべてのデバイスが終焉してしまうといったら、やがては冷蔵庫でトースターを作ることになってしまう(笑)。デバイスは、そのデバイスに必要な機能というのがあり、携帯電話も同じだ。
米国では、携帯着信音とゲーム収入、急上昇の予想という速報もありました。
投稿者 birdwing : 2005年3月16日 00:00
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