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2005年11月16日

かたいイシ。

ぼくは1年に1度、救急車のお世話になります。自慢できることではないのですが、どうやら尿管結石らしい。らしい、というのはたいてい救急車で運び込まれて、4時間ほどすると痛みが治まってしまう。お医者さんとしても、あーちいさな石だったんですね、きっと救急車で運ばれている間に落ちちゃったんでしょう、みたいな診断をされていたからです。ところが、つい先日、やはり救急車で運ばれたところ、結石じゃないな、とのこと。CTスキャンまで撮影して、確かに左側の腎臓の上あたりに石はあるのだけれど(それも困るのだが)、その石でこれほど痛くなることはないだろう、とのこと。じゃあ何が原因?というのが、不安ではあるのですが。人間、生きていると、いろんなところに支障が出てくるものです。

人間のなかで石ができるのは、とても不思議な現象です。しかし、石ができるといえば、真珠貝だって石を作るわけであり、おおー地球の仲間たち、同じだね、という感じ。生き物にはどこか共通した機能があるのかもしれません。しかし、きっと真珠貝はこんなに痛くないだろうと思う。ぼくの場合、まずは腰骨の上あたりの背中が、どーんと痛くなって、もう立っているのも辛くなる。次にだいたいみぞおちのあたりも苦しくなってくる。最近はたいてい、石がきたっ、というのがわかるようになったので、まず予感があったところで会社を早退させていただくのだけれど、電車の中では油汗ぽたぽた状態であり、我慢しきれなくなって途中下車して、駅から救急車を呼んでもらったことも既に2回あります。人も集まってきたりして恥ずかしいんだけれど、それどころではありません。

仕事関連の知人にも、いままさに大物の石を育んでいる状態だそうで、ぼくよりもひどく入院までされている。大学病院に行ったところ、おおーっ大物だねーとすごく喜ばれたそうですが、喜ばれてもいかがなものか、と思ったそうです(そりゃそうだ)。はやく生まれてくれるといいですね。

石が石を呼ぶ、というか、あーオレも結石の経験がある、ということで、いま関係者の間でちょっとした石ブームです。結石もちが集って「尿管ストーンズ」結成、という話もあるのですが、この「尿管(にょーかん)」という語感がなんとも脱力するものがあり、もうちょっとかっこよくならないか、などと思う。治療には、破砕機などというものもあるようで、こちらは超音波などで石を砕く。手術も麻酔もいらないし1時間ほどで完了するらしく、尿管ストーンズ(仮)の憧れの的です。破砕機はどの病院にあるか、と、宝物を探すような感覚で夢の機械を探しています。

結石といえば、行定勲監督に「Seventh Anniversary」という映画があります。これは失恋したあとには必ず結石で苦しむ女の子の主人公が、7番目の失恋で苦しんだ末に出てきた石を「Seventh Anniversary」と名づけて大切にしていたのですが、この石のおかげで運気が変わってくる。ある機会から雑誌で紹介されたところ、結石ブームを呼ぶ。石をゆずってくれ、というひとも出てくる。彼女は次々と石を生産して、カリスマ結石もちになっていく。そうして、わたしも石を作るわ、というひとが増えていく、というようなお話です。

実際に結石をもっている人間としては、なんともとほほ(苦笑)な笑えないストーリーなのですがやはり結石もちとしては無視できない作品でもあり、かなり前に観たことがあります。しかしながら、借金のために特大の石を作ろうとする女性の話では、もう痛みがびしばし伝わってきて、観ちゃいられなかった。思わずDVDを早送りしちゃったものです。あれは経験したひとにとっては、しんどい映像です。いま思い出しても背中がうずく。

結石もちの9割は男性、ということも聞いたことがありますが、あの映画では女性が主人公というところに意味があるのではないでしょうか。やはりどうしても出産のイメージと重ねてしまう。しかしながら、知人によると出産の痛みは痛みではない、とのこと。たしかに新しい生命である子供を産むのと、石を体外に出すのでは、まったく違うものだと思います。やはり女性は偉大です。

なぜ石ができるのか、という理由には、不摂生やストレスもあると思います。頑張るぞ!というかたい意思をもつことは大事ですが、あまりにも几帳面に頑張りすぎると、かたいイシができる。ほどほどに力を抜きつつ、やわらかく生きてみたい。背中のうずきを感じつつ、そんなことを考えてみました。いてて(いまびみょうに結石中)。

+++++

■あまりおすすめできないかも、なのですが。結石がテーマの映画です。

行定勲 Hert Wraming Collection Seventh Anniversary行定勲 Hert Wraming Collection Seventh Anniversary
小山田サユリ 柏原収史 津田寛治


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投稿者 birdwing : 2005年11月16日 00:00

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