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2006年8月12日
イニシャル ~岩井俊二初期作品集~
▽cinema06-051:短編の文法、展開のうまさ。
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岩井俊二監督がまだ監督としてデビューする前の作品集。4巻の構成なのですが、3巻目を借りてきてしまいました。2つの作品が入っていて、いずれも面白かった。
ひとつめの「夏至」は、暑い4畳半の部屋のなかで胡瓜を食ったり、うつぼ(?)のような水槽の魚に餌を上げたりする女性の一日の話で、畳の上にタライを持ってきて行水したり、胡瓜の食べすぎでお腹を壊したり、殺人事件のような記事ばかり新聞から切り抜いてスクラップしていたり、かなりアブナイ。けれども、胡瓜の食べる音を強調したり、汗をかいた肌を大きく映したりする映像が妙にエロティックで、窒息しそうな感じ、官能的な何かが伝わってきます。最後の場面で、ああそういうことか!という展開になっているのがうまい。
ふたつめの「オムレツ」は、小学生の男の子と女の子が喫茶店でパフェを食べているシーンからはじまるのだけど、実はこのふたりは幼いカップルというわけではなく、離婚した父(男の子)と母(女の子)というそれぞれ離れ離れになった姉と弟で、男の子の口から、離婚後もうじうじと奥さんのことを思い出しては泣く父親(高田純次さん)のエピソードが語られる。オムレツを作ろう、ということで作りはじめるのだけど、どうしても奥さんが作ったオムレツの味にならなくて悩む、そして・・・という物語なのだけど、大人よりも子供の方がずっとしっかりとした考え方をしていて、ひょっとしたらこれが現代の親子像なのかなとも思いました。ちょっと泣けた。
いずれにしても映像はもちろん、短編のなかでテンポよく物語を展開したり、意外性で惹きつけるような手法には、どこか荒削りではありながらもあらためて岩井監督の才能を感じさせるものでした。って、なんだか締めの言葉が、ふつうのレビューすぎるんですけどね。8月12日鑑賞。
*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(57/100冊+51/100本)
投稿者 birdwing : 2006年8月12日 00:00
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