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2007年4月16日

ゆっくり醸成する、そして夢。

年齢を重ねつつ、それでも若々しくありたいものです。失われていく若さにしがみつくのはかっこ悪い気がするのですが、落ち着いた穏やかな印象でありながら、いつまでも若い発想ができる紳士的なシニアに憧れます。若々しいダンディな感じというか。

自分に対する戒めなのですが、もう年だから...と言った時点で老け込む気がする。だからといって、いやいやまだ若いよーと否定するのも無理がある。年齢を年齢でそのまま受け止めつつ、それでも可能性を追求したり未来を向いているような人物がいい。身体も心も健康でタフであるのがいちばんですね。弱音を吐くな、でも自分を労われ、と。

知を醸成する

茂木健一郎さんの「天才論―ダ・ヴィンチに学ぶ「総合力」の秘訣」に書かれていて知ったのですが、カントが「純粋理性批判」を書いたのは57歳で、それまではまったくの無名だったとのこと。ドラッカーは90歳を超えてもまだ教鞭をとっていたようです。すごい。

ゆっくり知をあたためるのもいいかもしれませんね。焦らずに。こつこつと。

若い頃には手当たり次第、可能性を試した気がします。だから無駄なことも多かった。可能性を試すというよりも、可能性を浪費していた感じに近いものがありました。とにかくエネルギーが余剰な状態なので、熱さに任せて考えもしないで多方面に突っ走るわけです。いまでも走れないことはないのだけれどすぐに息が切れます。だから走る方向は選別したい。手当たり次第には、走れない。

最近、ぼくの意識で大きく変わったのは、万人に受けなくてもいいと思うようになったことでしょうか。とにかく大勢に受け入れられたいとか、友達100人目指すとか、アクセス数をめちゃめちゃ稼ぐとか、ごりごり儲けるとか、そういう方面の熱意がめっきり減りました。そちら方面はくたびれるからいいや、という感じ。

かといって欲がなくなったわけではありません。万人にモテなくても、大切なひと/ことには全力で想いを注ぎたい。アクセス数やアフィリエイトは無視していても、ブロガーとしてよりよい文章を書くためには全力で向かいたいと思っています。その気持ちは、むしろ以前よりも熱い(と思う)。

とにかく走れ、ということを先日ブログに書いたのですが、走る気持ち、走る力を大事にしながら、力を貯めることも重要かもしれません。走りたいから走るという無謀さが若さではあるのですが、大人の疾走とは、気持ちを貯めて(あるいはときには封印して)、ストイックな制御のもとに適切に力を使うことかもしれません。もっとも、手当たり次第には走れないから、自然と制御されてしまうともいえますが(苦笑)。

走りたいのに耐える時間というのは、気が狂いそうなぐらい辛く、さらに心身ともにこたえるものです。でも、この辛い時間を経て醸成されたものは、きっとものすごく貴重なものになる。・・・ひょっとするとならないかもしれないのですが、なると思っておくことにしましょう。

夢の効用

さて。Blonde Redheadのアルバムを購入してレビューに書いたとき、京都出身のボーカルであるカズ・マキノさんがゲンズブールファンであるということを知って、にわかにセルジュ・ゲンスブールのことを思い出しました。ゲンスブールもとにかく精力的なひとのようです(笑)。 作曲、作詞、歌手、映画監督、俳優となんでもこなして、50歳すぎてから30歳年下の女性と同棲していたりする(Wikipediaの解説)。

それほどゲンズブールを聴き込んでいないのですが、彼のベストCDを購入して楽曲の雰囲気にインスパイアされた(最終的に完成した曲を聴くと、どこが?という気もしますが。涙)自作DTM「生活に紛れたダイアモンド」を土曜日にハードディスクから発掘して公開してみました。10年以上放っておいたのだけれど、ゲンズブールに誘発されて突然にリメイクしたくなった曲です。10年の間で失われたものもあるけれど、逆に新しくなったもの、醸成されて良質になった何かもあるような気がします。

セルジュ・ゲンスブールの娘といえば、これも有名なシャルロット・ゲンズブールなのですが、ゴールデンウィークに彼女の映画が公開とのこと。タイトルは「恋愛睡眠のすすめ」。映像的にもよさそうなので、これは観たい。


公式サイト
http://renaisuimin.com/

恋愛睡眠ってなんだろう? 睡眠中に恋愛するらしい。夢のなかであれば、時間も空間も制限はないですね。ちょっとうらやましい。この映画で、隣人のシャルロット・ゲンズブールに恋をしながら声をかけられないシャイな男性は、ガエル・ガルシア・ベルナルが演じているようですが、彼の出演の映画といえば、「モーターサイクル・ダイアリーズ」「バッド・エデュケーション」、そして今年になって「アモーレス・ぺロス」を観ていました。ラテン系で、ちょっとやんちゃな感じのかっこいい雰囲気がある俳優さんだと思います。

B000803C8Oモーターサイクル・ダイアリーズ 通常版
ホセ・リベラ
アミューズソフトエンタテインメント 2005-05-27

by G-Tools
B000BH4C42バッド・エデュケーション
ペドロ・アルモドバル, フェレ・マルチネス, ガエル・ガルシア・ベルナル
アミューズソフトエンタテインメント 2005-11-25

by G-Tools
B000N4RBUAアモーレス・ペロス スペシャル・コレクターズ・エディション
ガエル・ガルシア・ベルナル, エミリオ・エチュバリア, ゴヤ・トレド, アルバロ・ゲレロ, アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2007-02-23

by G-Tools

それにしても、春のせいなのか、深夜のDTM制作など夜更かしのせいなのか、眠くてたまらない毎日です。一瞬でも時間があれば眠りたい。というか気合が抜けると、アタマのなかは春霞です。

眠るとなれば熟睡がベストかとは思うのですが、夢をみることにも意味があるらしい。「欲望解剖」の本のなかでは、夢には過去の記憶を整理する機能がある、という茂木健一郎さんの解説がありました。「夢の中で記憶の編集が行われる」とのこと。

せわしない現実では、進行しつつある出来事を整理する時間がないのだけれど、夢のなかで記憶が編集され、現実が再構成されていくらしい。まるで、夜中にどこからか現われて靴を作ってくれる小人のようですが、夢のなかでリアルが再構成されつつ醸成されていると考えると眠るのも楽しい。醸成された夢を確かめる目覚めも気持ちがいい。

今宵も、よい夢を(あ、朝に読んだら意味ないですね、この挨拶は。でも起きていても、よい夢をみましょう。未来のために)。

投稿者 birdwing : 2007年4月16日 00:00

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2 Comments

koro1837 2007-04-17T11:32

「もう年だから」ってのは確かに老ける感じがしますね。言われたほうもリアクションに困ると思うので私も言わないようにしてます。(ひがみっぽく聞こえる気もするし)同時に無理に若作りもおかしいのであんまり気にしないように自然体でいたいです。紳士的なシニアっていいですね。
おばさんってなんか意地悪くて図々しい感じがするので、おばさんを通り越しておばあさんになりたいです。

birdwing_tn 2007-04-17T22:25

あっ、ぼくもおじさんより、おじいさんになりたいです。おひょいさん(藤村俊二さん)みたいなおじいさんが理想です。ちょっとかわいくて、それでいて洗練されている。紳士的なシニアの理想像は、おひょいさんでしょうか。
性別にかかわらず、年齢にふさわしいと同時に若々しい感じのひとがいるような気がします。女性であれば、そんな女性はいつまでも可愛いですね。しかしながら、その可愛さが意図的なものであると、あまりよろしくない。
これはぼくの趣味(苦笑)かもしれないのですが、完璧な大人の女性が、どうでもいいことで取り乱したり、ふと隙をみせたり、こけたり(比喩的な意味も含めて)しているところをみると、いいねえ(しみじみ)と思う。ただ、いわゆるオンナらしい女性(ときに悪女)というのは、意識しなくてもそういうことができちゃったりするものかもしれません。それが怖い(が、そこがよかったりするから困る)。
koroさんも書かれているように、自然体でいられるといいですね。ぼくもナチュラル(天然??)でいたいと思います。まあ、それはいたいと思ってなれるものでもないのですが。

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