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2007年8月 4日

情という情報の記号化、構造化。

アタマが悪いので、どうすりゃアタマがよくなるんだ、ということに悩みつづけてきた(そしていまも悩みつづけつつある)のですが、いまさらながらですが、アタマがよくなるコツをひとつ掴んだ気がしています。どういうことかというと、

構造化すること

ではないかと思っています。ちょっと難しい言葉ですね。これだけではどういうことなのかわかりにくいかもしれません。あるいは当たり前だというべきか。

そこで、もう少し補足してみます。池谷裕二さんやアフォーダンス理論の佐々木正人さんの本を読んで重要だと思ったのは、人間はパターンによって世界を認識している、ということでした。以前にも書いたのですが、3つの点があるとその3つを結んで、そこにはない三角形を見出すような意識で、いちど三角形を結んでしまうと、次からはあらゆる3つの点が三角形にみえてしまう。

たとえばメールなどに使う顔文字。これは複雑な人間の感情をテキストで伝えるにあたって、パターン化したよい例でしょう。

(≧∇≦)とあれば、笑っている顔だな、と思う。ぼくはあまり顔文字を使わないひとなのですが、女性が使っているのをみるのは結構好きだったりします。かわいいですもんね。勝手なことですが、男性が使っているのをみると同性だからかもしれないのだけれども、気持ちわりい、と思ってしまう(苦笑)。でも、女性なら許せる。

この象徴的な顔文字では、右目の目尻に三本皺が寄っている、とか、ちょっと八重歯が唇からのぞいた、とか、そんなリアルな情報は削ぎ落とされていて、目と口の記号だけで笑いという感情を表現しています。顔文字の情報に個別の感情の情報を付加しようとすると、ものすごい情報量になってしまう。ところが記号の組み合わせから成る顔文字であれば、情報量は少なくて、かつ文章を補足する「情」としての情報を付加できる。

面白いことに、英文にも顔文字はあります。SmileyやEmoticons(Emotional icons:感情を表すアイコンの略)と呼ばれているらしい。

ただ、日本の文化と違うのは、90度左に傾けた顔になっていて、どちらかといえば目よりも口元を重視したものが多いということでしょうか。したがって、日本の顔文字は英語圏のひとには理解できないし、逆にあまり英文メールを使う経験のない日本人には英語圏の顔文字は理解できないものでしょう。文脈(コンテキスト)の違いが文化の違いになって、理解できない壁を作っている。

検索してみたところ、All Aboutの「メール英会話ヒント集[顔文字編]Vol.1 世界の"顔文字"大全集! 」に英文の顔文字が掲載されていました。このページを参考にグローバルな喜怒哀楽を表現してみると、次のような感じ。

喜 :-)
怒 >:-<
哀 :-<
楽 8->

うーむ。あんまり感情表現が豊かではないような気がする(苦笑)。

漢字という象形文字を使う文化があるせいか、ビジュアル的な記号表現は日本のほうが優れている気がします。日本のほうが顔文字による感情表現は豊かであるし、バリエーションも多い。あるいは、それだけ日本という閉鎖された国のなかでは、コミュニケーションにおいて他人の感情を損ねない配慮が重視されるからかもしれません。

考えてみると顔文字は、複雑な感情をシンプルに情報化する技術もしくは文化であり、この間引きした構造化のセンスによってアタマのよいひと、アタマの悪いひとが決まってくるのかもしれません。

糸井重里さんが池谷裕二さんとの対談である「海馬」という本で述べていたことですが、アタマのよいひとというのは、自分のことを理解してくれる、あるいは自分をよい気持ちにさせてくれるひとである、という観点がありました。ミもフタもない気がしつつ、そりゃそうだよなと思う。ある意味、顔文字を気持ちよく使うことができるひとは、感情という厄介な情報を右脳的にうまく処理できるアタマのよいひとかもしれない。

4255001545海馬/脳は疲れない ほぼ日ブックス (ほぼ日ブックス)
池谷 裕二
朝日出版社 2002-07-10

by G-Tools

顔文字という記号を中心に、視覚的・空間的な構造について考察しているのですが、時間的な構造もあると思います。構造化という観点については、CSSを学んでいるときにも重要性を感じたことです。継続してもう少し思考を深めてみたいので、このことについてはいずれまた。

投稿者 birdwing : 2007年8月 4日 23:26

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