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2007年10月11日

リアルな言葉を聞きたい。

自称フリーペーパーマニアなのですが、会社近くのコンビニで配布されていたR25がL25(女性向けのR25)に切り替えられてしまいました。OLさんが多いからでしょうか。

L25.gif

仕方ないのでL25を持ち帰っているのですが、表紙の色が可愛すぎる。内容はといえば、「わかるけどムカつく!男の一言徹底検証」などという特集がされていて、びくびくしながら読みました。うーびくびく(苦笑)。ひっじょーに居心地が悪いですなあ、こういう女性向けの記事を読むのは。でも、なるほどと思った。

具体的に引用すると冷や汗かきそうなのでやめますが、やさしいつもりで発した言葉が女性にとっては不甲斐なくとらえられてしまうことが多いようで、男は自信を持て! 立て!(いや無用に立たなくてもいいからまあお座りなさい)ということではないでしょうか。過剰に自信持ちすぎな男も困ると思うのだが。

一方で、トップの紺野まひるさんのインタビューを撮影しているカメラマンが大橋仁さんという方で、おお、この方はそういえばBRUTUSで宮沢賢治の詩を紹介していたひとではないか、と妙な符号があったりもしました。

そのBRUTUSの最新号の特集「言葉の力」については、以前にエントリーで触れたのですが、なかなか読みごたえがあります。筋力トレーニングするほどの元気はないけれども、脳の筋力、言葉力を鍛えたいぼくにとっては、最良の一冊といえますね。

言葉力というと詩とかコピーが重視されがちですが、BRUTUSの特集では、かなり広範囲に言葉をとらえていて、ビジネスや政治の場におけるカリスマのリーダーについて書かれている記事が面白いと思いました。

「一流のリーダーの言葉は詩である。」

というキャッチコピーもうまい、と思ったのですが、言葉はブンガクという日常と隔離された安全な場所で使われるだけでなく、リアルな社会に置いても影響力を持つものです。失言などで謝罪や地位を失うリーダーも多く、パブリックな場におけるモラルも求められているかもしれません。

このページで取り上げられている人物は、ジョン・F・ケネディ、キング牧師、チェ・ゲバラ、スティーブ・ジョブス。

ジョブスのプレゼンは有名ですが、芸術とまで言われているようで、何万人もがストリーミングで視聴している。リーダーについて「暗い夜を照らす松明のような存在」と書かれているのですが、闇夜のように先の見えない日本の社会においても、先陣を切る人間を批判するのではなく、自らが先陣を切って他のひとたちを導くようなリーダーが必要だと思います。

ジョン・F・ケネディの次の言葉も、あらためて響きました。

あなたの国があなたのために何をしてくれるかではなく、
あなたが国のために何ができるか、
それを問いたい。

国という言葉は、「会社」にも「家族」にも変えて使うことができそうです。

というように、書かれた言葉ではなく話された言葉に注目して、インタビューなどを探していたのですが、R25のサイトに過去のバックナンバーのインタビューが収録されていることを発見。このページ好きだったんですよね。俳優さんから文化人まで、ずらりとポートレートが並ぶインデックスのページもよいです。

どうしても小林武史さんのような音楽関係や、その隣りの岩井俊二さんや北野武さんのような映像系を読んでしまう。

R25_longinterview.JPG


えー、どうでもいいことですが、小林武史さんって一青窈さんと不倫してakkoさんと離婚しそうなんですか?したんですか?どーなんですか?し、知らなかった(芸能ネタ疎すぎるので)。MY LITTLE LOVERの「Man & Woman」の音作りに非常に衝撃を受けた記憶があり(そのあとの彼等の活動はよくわからん)、というのもボーカルのakkoさんが好みであったということもあるのですが(照)、自分の美しい奥さんをボーカルとしてプロデュースしている小林武史さんの姿勢に意味もなく眩暈を感じたものでした。小林武史さんは、岩井俊二さんの映画音楽を監修されていたりしますね。

YouTubeにあったので「Man & Woman」。ホーンのアレンジとか好みです。J-POPを引用して掲載するのはどうかと思うのですが、別に気取ったブログじゃないからいいや。

■My Little Lover - Man & Woman

知らなかったのですが、小林武史さんにはソロアルバムもあるらしい。しかし、あえてプロデューサーの道を選んだ背景には、サザンの桑田佳祐さんの次のひとことがあったようです。

ある日、桑田が言った。

「君はこれからもソロアルバムを出せるけど、あえて出さないっていう選択肢もある」。

このひと言で「昔から抱えていた何かに、ピリオドが打てた。自分はプロデューサーとして、ものを作る方が向いていると確信した」と小林は語る。

これは先日書いた、職業の「好きと相性」という問題と重なるかもしれません。

さらに、ぼくは拡大して連携してしまったのですが、いま(他の本があるのにまた購入して読み始めてしまった)村上春樹翻訳ライブラリーに収録されていたレイモンド・カーヴァーと編集者、そして彼の奥さんをめぐる問題を描いた短編にもつながる気がします。カーヴァーの小説は、編集者であるリッシュによって、ざくざく削除されて別物のような小説にされてしまったらしい。また、奥さんも小説家だったらしく、書きたいことを横取りされて夫婦の仲が冷えたとか。

創作をバックアップする縁の下の力持ち的な仕事も存在するもので、しかしながら、そうした裏方がオモテに出てしまうといろいろと支障も生じる。けれどもその力関係のなかに、封印された言葉があったりもします。

そんな言葉をぼくは読みたい。というわけで、経営者はもちろん職人さんだとか、いろんなひとのインタビュー記事にいま感心があったりします。

投稿者 birdwing : 2007年10月11日 23:49

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