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2008年5月24日

予測のつかない複雑で知的な。

午前中は晴れていましたが、夕方から雨が降り始めました。でも、最近は雨降りもぜんぜん憂鬱ではないですね。今日は午前中から夜までずっと昨日CDショップで買ってきたこのアルバムを朝から聴いていました。しあわせだ、なんだか。

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2 in 1
キリンジ
2 in 1
曲名リスト
1. 風を撃て
2. 野良の虹
3. 水色のアジサイの上
4. 茜色したあの空は
5. 冬のオルカ
6. 水とテクノクラート
7. 休日ダイヤ

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インディーズレーベルのせいか、Amazonで写真が表示されませんでした。なので自分で撮影。

実は試聴もせずに、これを持ってレジに直行です(苦笑)。まあ、このアルバムを買うためにお店に寄ったのだから当然なのですけれども。ちょこっとシューゲイザー系のコーナーを試聴して、おおこれは?というアーティストもいたのですが、次の機会にしました。一途でしょ。買おうと思ったら浮気しないのだ。というか財布のなかに、4000円しかなかったのだ(苦笑)。給料日なんだけど家に帰らないと、小遣い貰えないひとなので。

1曲目「風を撃て」から、まず音の肌触りにむむっと前のめりな気分です。ざらつき感(?)がいい。完成度はもちろん荒削りな感じがして、バンドらしさというか勢いのようなものを感じます。やはりベースを聴いてしまうのだけれど、ギターも気持ちいい。ディミニッシュのコードとか、サビの転調とか。

もちろん完成度(というかこの緻密な先の予測できない楽曲は、どういう発想をすればできるのでしょうか)も高いのだけれど、どこかローファイな雰囲気がある。不完全だったとしても何か魅力が感じられる曲が好きなぼくとしては、このサウンドはいいと思いました。デモテープっぽい感じもするし。

アルバム全体のなかでは、ぼくは2曲目「野良の虹」が好みですね。ベースラインが素敵だ。あと、ホーンセクションも気持ちいいです。ぱらっぱらっぱら、んぱっぱっぱっみたいなやつ。2分51秒あたり、エレピのマイナーコードにベースが絡むあたりもいい。切ない。

3曲目「水色のアジサイの上」のワルツもノスタルジックです。これはインストゥルメンタルで聴いたほうがよかった(個人的には)。4曲目「茜色したあの空は」は、ウェスタンっぽい曲で、若干こういうカントリー風の曲は苦手なのだけれど、最後の部分は音的に凝っていて楽しめました。「冬のオルカ」「水のテクノクラート」は、どこかスティーリー・ダンを想像しました。

そして7曲目、「休日ダイヤ」は音楽の完成度が高いですね。サビの部分のコード進行とか。しかし、このひとたちの歌詞、天才だな。至るところに虹が出てくるので、さては虹好きだな(にやり)と思ったのですが、「虹のようなものに体をあずけ」の儚さというか脆さや、「ようなもの」という不確かさな表現などに、文学的な婉曲性を感じました。それが複雑な進行に合っていて、よい。

このアルバムの後半は7曲のインストなのですが、これがまたそのまま聴ける。どうしてもアレンジなど、あれこれ考えながら聴いてしまうのだけれど、ボーカルが入っているときには気付かない発見などあったりして楽しい。あらためて解説を読み直すと、富田恵一さんのプロデュースによるところが大きいということも感じました。

えーと、ぼくは彼等の熱烈なファンではないので、詳細は語りません。というか、語れない。ただ、ライナーノーツの冒頭で岡村詩野さんが書いている次の言葉は、確かにそうだと思いました。

覚えづらい、展開が読めない、なのにどうしようもなくポップで、どうしようもなく甘い。リズムは複雑でアレンジは込み入っていて、言葉もそうそう簡単には共感を呼びそうなものではなく、要するにリスナーに媚びることは決してなく常に凛としている。でも、紛うことなくポップ・ミュージック。

さすが音楽ライターさんの形容です。その通りかもしれない。わかりにくい歌詞と複雑な音楽が組み合わさったキリンジの音楽は馴染みやすいとはいえないけれど、そこが結構、気持ちいい。音楽はキャッチーなメロディだけではないのだな、とちょっと思いました。

ということを書いてきて気付いたのは、ぼくは予測のできない複雑で知的なものを求めている、志向している、ということでした。音楽にしても然り、ブンガクはもちろん仕事関連のビジネス書も同様かもしれません。あるいは人間関係もそうかもしれない(笑)。すんなりと受け入れられてしまうものよりも、どこかごつごつとして取っ付きにくく、これってどうだ?という違和感や、パズルを解くようなよろこび、知的な戯れを好むようです。

ぼくはアタマがいいわけじゃないけれど、複雑なものを受け入れる身体がある、といってもいいかもしれないですね。そう、どちらかというと身体性のようなもので、だからたぶん合わないひとにとっては、このような音楽の複雑性を気持ち悪いと感じるのではないだろうか。たとえばジャズにも、何かしらそんな雰囲気があります。耳が肥えていくとより複雑なものを求めるのかもしれないけれど、シンプルなビートに打たれる楽しみもあれば、複雑なコード進行やフレーズに脳内が熱くなる喜びもある。だから音楽は面白い。

このソングライティングをしている堀込高樹さんはどんなひとなのだ、何を聴いているのだ、とちょっと思ったのだけれど、ちょっと調べてみたら以下のようなページをみつけました。

■「雨の日に家で聴く曲」 selected by キリンジ(堀込高樹)
http://www.playlistmagazine.jp/list/radio/horigome_t/general060621.html

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うーむ、Harpers Bizarreとかソフトロックの大御所を聴いているかと思うと、Kraftwerkなどもリストアップされている。この許容力の広さが楽曲に表現されているんでしょうね。いろいろと聴いてみるかー、と元気が出る。

最後にアルバムの曲ではないのだけれど、YouTubeから。

投稿者 birdwing : 2008年5月24日 20:34

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2 Comments

ぽろり 2008-05-26T01:46

あっこれ買われたのですね!わー、これだけたくさん書いてくださると、キリンジファンとしてはうれしい限りですっ!!
リンスインシャンプーっておトクなようでいて品質が中途半端でもはや過去の遺物化している気もしますが、2in1は完全におトクです(?)。久々の当たりでした。と言っても初期の音源なのだけれど。

富田ラボ時代のキリンジは、お得意の「複雑で知的な」構成に加えて、後ろの音のアナログ感と完成度の高さが素敵です。特にリズム隊は、曲によっては渡辺等さんというスゴイひとがベースを弾いていたりするのですが、「野良の虹」のベースラインも彼が書いたのだと思います。最高ですよね!この音源では渡辺さんのベースが強調されすぎた感がありますが、「ペーパードライヴァーズミュージック」に入っている音源はもうちょっと録音が整っています。アレンジも細かく違う。
それから「休日ダイヤ」も大好きです。カントリー調の「茜色したあの空は」と合わせてちょっと保守的なニオイもしますけれども・・・この曲は初聴だったこともあり、私は一番好きです。

・・・ということを長々と、最後に貼られていた動画を見て感動して脊髄反射で書きました(笑)すみません。いい曲なんですよね、「Drifter」(涙)。たしかお兄さんが奥様にプロポーズする際に贈った曲とか。
軽やかにステップを踏むには厳しいときもあって、足がもつれてこけちゃったり、ある意味生傷が耐えないわたくしですが(苦笑。というか現実問題よく自宅の階段でこけるんですけど)、久し振りに聴いてなんだか元気が出ました。ありがとう。

あとは、ステップでこけちゃったときに「この僕の傍にいるだろう?」と手を差し伸べてくれる頼もしい殿方がいてくれたら、言うことなしなんですけどね(笑)・・・いえ、自分で起きますです、ハイ。。。

BirdWing 2008-05-26T02:23

ぽろりさん、感想ありがとうございます!そういえば、ぽろりさんはキリンジの大ファンでしたよね?そんなぽろりさんに感想を読んでいただくのは、ちょっと恥ずかしいものがあります。

CDに入っていた解説にはプロデューサーの富田さんのことも書かれていたのですが、まったく音楽事情に疎いぼくにはなんのことやらわかりませんでした。どうやらすごいひとらしい、ということはわかったのですが(苦笑)。ベーシストは渡辺等さんというのですか(ほんと無知で、すみません)。1曲目と2曲目のグルーヴにまいりました。素敵です。何気で「Drifter」のベースも好きなんですよね、ごりごりしていて。ついでに間奏のストリングスのアレンジもツボでした。

「ペーパードライヴァーズミュージック」も聴いてみようかな。「休日ダイヤ」は、サビがアタマのなかに残ります。それから「ささくれてる指で日中に手遊びをした二人なら」の表現に唸りました。これ、ブンガク的だと思いました。

あ、「Drifter」ってプロポーズの曲だったんですか(照)知らなかった。いろいろと聴いたのですが、エピフォンのセミアコのギターもかっこいいし、曲と映像にじーんときました。歌詞の硬派なところも気に入っています。しかし、この硬派な歌詞で奥さんをくどくとは。やるなあ、兄さん。

「ムーンリバーを渡るようなステップで」ってところ、いいですねえ。しかし、ぼくは「ムーンリバーを渡るような接吻で」と聴き間違えておりました(苦笑)。何を妄想しているんだか。わざわざ歌詞を掲載しているサイトで確認して赤面しちゃった。えーと、この曲はロジャ・二コに同タイトルの曲があったので、ずーっと気になっていた曲でした。

階段、気をつけてくださいね。といっても、駅でホームと電車の間にはまるドジなぼくが言えることではありませんが。

あ、虹を超えてしまった。早く寝なければ。ぽろりさんも、よい夢を。
おやすみなさい。

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