« 聴き上手を進化させる。 | メイン | 引越しの顛末と来年の展望。 »

2008年12月 3日

ネットの質問箱。

難問にてきぱきと即答できるひとは賢いと思います。けれども、答えがわからない問いに見栄をはらないで「わからない」と答えられるひとは誠実です。そして、うーんと腕を組んで考え込んでしまうひとは人間らしい。

そんな風にぼくらの質問に対する姿勢はいろいろありますが、正解を答えることで人生が優位に展開できると約束されているわけではありません。だから不正解であってもまったく恥じる必要はない。不正解を選択したことで、逆に世界が開けることもあります。答えたくない質問から逃げるのもまた正解。

雑誌やラジオやテレビなどで人生相談というコーナーがよくありますが、谷川俊太郎さんの「谷川俊太郎 質問箱」を読んで、あらためて詩人の含蓄のある回答に感服しました。

どんな難問にも、すっとぼけたようで深い洞察のあるコメントをされています。なんとなくこころがほんわかする。そもそもBRUTUSに掲載されていた記事を読んで、あらためて糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」を訪問して知ったのですが、絵本風なので本として読むとビジュアルも楽しめます。

4902516144谷川俊太郎質問箱
江田ななえ
東京糸井重里事務所 2007-08-08

by G-Tools

学校の試験はユウウツでしたが、学生時代を遠く離れてあらためて振り返ってみると、人生は難問の連続といえそうです。

正解がない、あるいは正解が複数あって不正解のない世界のなかで、ぼくらは自分の正解を選んでいかなければなりません。さらに大人になると世間体を繕うこともあって、子供のように、なぜ?どうして?と素直に訊くことができなくなります。あとだしジャンケンではありませんが、答えず黙り込んでいて、正解がわかったところで「やっぱりそうだと思ったんだよねー」などと、したり顔で言うこともある。人生を重ねると少しばかり狡賢くもなります。

ネットの世界では、いまさら恥ずかしくて訊けないような質問を匿名で投稿すると、親切なひとがやはり匿名で答えてくれる、いわゆるQ&Aサイト(コミュニティ)が重宝されているようです。それほど新しい動きではないし、実はぼくはほとんど利用したことがないのだけれど、今年のはじめ頃にはアクセス数が増えているというニュースも聞きました。そこでQ&Aサイトをまとめてみます。


081203_okwave.jpg

■OKWave
http://okwave.jp/

まず、最大のサイトといえばOKWave(オウケイウェイヴ)でしょうか。11月19日に動画、音声、画像を使った「マルチメディアQ&Aサービス」を開始したばかりです。CNETの記事によると月間ユニークユーザー数4100万人、質問数類型1700万件だとか。


081203_oshietegoo.jpg
■教えて!goo
http://oshiete.goo.ne.jp/

OKWaveはいくつものサイトにOEMとして提供されていて、「教えて!goo」もそのひとつ。質問と回答のデータベースが連携しているらしい。登場したばかりのときは、地下鉄の駅など屋外広告で大きく告知されていて、目を引いた記憶があります。


081203_hatsugenkomachi.jpg
■発言小町
http://komachi.yomiuri.co.jp/

読売新聞の「発言小町」はなかなか楽しい。小町という名称のせいか、どこか女性向けの印象もあるのですが、朝日新聞が広告費の減少により100億円の赤字に転落した現在、新聞が生き残っていくとすれば、速報性を重視したニュースよりも世論を発展させたコミュニティのようなものではないか、と考えました。インターネットのほうが速報性に優れるわけで、いまや速報性を新聞には求めません。「発言小町」はQ&Aというより読み物として楽しめます。


081203_yahoochiebukuro.jpg
■Yahoo!知恵袋
http://chiebukuro.yahoo.co.jp/

ポータル系としてはYahoo!を挙げておきます。知恵袋といえば昔は、おじいさん、おばあさんでしたが、いまはネットによる集合的な知ということになりそうです。さびしい感じもしますが、ある意味強力です。進路や結婚など人生の転機で悩むとき、親や先生に相談せずに、ネットで人生を相談するようなことにもなりそうな気がしました。バイアスがかかってしまう親しい間柄よりも、少し距離があったほうが冷静に客観的にコメントできることもあります。専門家による回答もチェックしておきたいところ。

そのほかには、以下のようなサイトがあります。と、いうことも実はQ&Aサイトが教えてくれました。

■livedoor ナレッジ http://knowledge.livedoor.com/

■答えてネット http://www.kotaete-net.net/

■知識plus http://plus.hangame.co.jp/

■ひとびと・net http://www.hitobito.net/

■楽天 みんなで解決!Q&A  http://qanda.rakuten.co.jp/

■調べ学習のポータルサイト ナビポ http://navipo.jp/index.php

ああ、忘れてはいけないですね、こちらもQ&Aサイトとしては老舗といえます。ブックマークにつけたコメントのお行儀の悪さから、ぼくはあまりはてな村のひとたちに質問したい気持ちにはなれないのだけれど、それでもコメントしたがるひとが多いから質問によっては親切に教えてくれることでしょう。

■人力検索はてな http://q.hatena.ne.jp/

あらためてQ&Aを読んでみると、知っているひとはいるものだな、と思いました。特にPCの使い方などについては、詳細に答えてくれるひとが多い。

Q&Aサイトではないのですが、ぼくもネットに救われた経験があります。サーバーのデータベースエラーでブログが表示されなくなってしまって、そのときにネットで検索したところ、同じようなトラブルを解決したブログを発見。わずか数時間で自力で復旧できました。ヘルプデスクにメールを投げていたのですが、土曜日だったこともあって返答は月曜日でした。

どうしてよいのかわからずに立ち往生して、ネットの海を彷徨ったところ、どこの誰だかわからないひとから懇切丁寧に教えていただいた。そのひとは別に教えようと思ったわけではなく、トラブルを解決してほっとして、なんとなくブログに顛末を綴っただけだと思います。けれども、その何気ない記録がぼくを救ってくれた。ありがたいことです。

ネットはなんでも教えてくれます。でも、甘えてばかりではいけない。バトンを渡すように、学んだことをネットの海に返してあげることが大切ではないでしょうか。さらに、ほんとうに大事なことは、面倒でも試行錯誤や失敗を繰り返して、自分で学ぶことなのかもしれません。

投稿者 birdwing : 2008年12月 3日 23:55

« 聴き上手を進化させる。 | メイン | 引越しの顛末と来年の展望。 »


2 Comments

かおるん 2008-12-15T17:21

こんにちは。谷川さんの質問箱は、私もネットで見ていました。悩んでいる人は眉間にシワがよっているものですが、谷川さんの言葉のやわらかさに、まずちょとそのシワがゆるむんじゃないかと思いますよね。ガチガチになっていては悩みは決してなくならず、少し問題から離れてゆるっと力を抜くことが、結果的には悩みを解決する近道なのじゃないでしょうか。

すこし前に仕事で調べ物をしているうちに、教えて!gooの家族相談のコーナーに行き当たったのですが、そこで語られる人の悩みのすごさに驚いてしまいました。もちろんネットなので本当か嘘かわからないですが、どんなに天才の作家でも、あれだけの悩みのバリエーションというものは作り出せないと思います。また、カウンセラーなどには決して出せないような名回答も多く、ふつうの人の非凡なることに感心しました。ネットだからと軽くみることはできませんよね。


BirdWing 2008-12-16T22:45

こんばんは、かおるんさん。ワタクシゴトではありますが、年末、ただでさえ忙しいところに引越し(ブログではなくてリアルな家の引越し)を詰め込んだので、現在とんでもないことになっています。コメントにお返事しながら18個のダンボールに包囲され中です(苦笑)。そんなわけで書きたいテーマは次々とあるのですがエントリが滞ってしまいました。古いエントリになってしまいましたが、コメントありがとうございました。

確かに谷川俊太郎さんの回答には「ゆるみ」ますね。なんというか、悩んでいたことを二十億光年の彼方にぽーんと放り出してしまうようなあざやかさがあって、ああ、どうでもいいや、という気持ちになります。

けれども思考を放棄するのではなくて、前向きなどうでもよさです。四畳半の部屋で膝をかかえていたところ、ばたばたばたと周囲の壁がなくなって、だだっ広い場所に置き去りにされたような、そんな感じでしょうか。おお、こんなところで何をしているのでしょうか、わたくしは(困惑)という気持ちになる。その広々とした解放感がいい。いま、枕元に置いてあるのですが、ちまちまと深刻になりがちな夜に読むと、すーっと落ち着いて眠ることができます。リラクゼーション効果のある一冊です。

かおるんさんが書いているように、悩みを相談するひとであれ、回答者であれ、ふつうのひとの非凡さは凄いものがありますね。小説を読むより面白い(と、いっては失礼ですが)。ネットのQ&Aサイトは悩みの百科全書のような状態になっていて、日々更新されていきます。テクノロジーによって作られた冷たいはずのネットだけれど、ぼくはたとえテキスト中心であっても、ひとびとのつながり=コミュニティにあたたかさを感じました。せちがらい世のなか、リアルでもこんな風に支え合うことができれば最高なんですけどね。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://birdwing.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/1022