« ブログ+文書管理 | メイン | 過去と未来のあいだで »

2005年4月 7日

機能的な文章

何のために文章を書くのか。この問いは、ひとはどうして生きているのか、という根源的な問いに近いものです。少なくとも僕にとっては、ブログを続けることによって、書くことがすなわち思考することであり、生活であるようにも感じています。

はてなのブログのほかに、ココログの方で4人の書き手が投稿するブログを管理しているのですが、2月から毎月お題を出して書くという試みを始めました。これがなかなか面白い。それぞれの視点で書いた文章を読み、さらに影響されて別の文章を書く。書くことで自分の位置づけをはっきりできるし、考えが深まる。それぞれ、衣装作りに凝っていたり、絵を描いていたり、釣りをしていたり、志向するものはまったく違う(かつて大学がいっしょだったことだけが共通点)。コミュニティというのは共通の趣味があって成り立つものかもしれませんが、このように全然違う志向のひとたちが集うコミュニティというのも刺激になります。

4人のうちのひとりは、別に自分のブログを立ち上げたのですが、そのブログのなかで山田ズーニー氏の「伝わる・揺さぶる!文章を書く」を紹介していました。影響されて早速買ってきて、いま読んでいます。

4569617360伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)
PHP研究所 2001-11

by G-Tools

書く、という行為には、書き手と読み手を文章でつなぐコミュニケーションです。そして「伝わる」ということは、相手を動かすことが重要になる。アルファブロガーがインフルエンサーとして読み手に影響を与える、というのも、伝わってこそ可能になることです。伝わらない文章を書いていても、効果は望めない。

そして、誰を、どのように動かすかによって、書く行為もまったく違ってくる。

上記の本に書かれていましたが、受験の小論文は合格するという(採点するセンセイを説得して合格のハンコを押させる)目的から機能的でなければならない。ビジネス報告書は上司を安心させるためにある。企画書の場合には、これ面白そうだからやってみようか、とクライアントを期待させること(結果として仕事を受託して、提案する会社の側も儲かること)が大事です。小説の場合には感動というココロを動かすための機能が重要になる。この機能を勘違いしていると、文章は機能しない。

戦略的に文章を書く、つまり目的に到達することを意識して書くことが大事かもしれないなあと思いました。どんな分野においても、達人というのはツボを押さえていて、余計な部分を削ぎ落としている。最短距離で目的に到達するのが、達人の領域です。文章の達人というのも、そういうものかもしれません。

文体も機能によって変わります。このブログでは、意識的に「です」「である」調を混在させた崩れた文章を意識しているのですが、ビジネス報告書をこの文体で書いたら機能しないでしょう。

R25を読んでいたところ、憲法前文を俵万智さんや村上龍さんに書かせるプランがあるという記事がありました。サラダ記念日のような憲法前文は面白そうと思う反面、機能的にまったく違うからどうだろう、とも感じています。もちろん実際にお任せするとしたら、彼等も文章の達人なので、文芸と政治を横断して機能的な文章を創出するのではないか、と思うのですが。

投稿者 birdwing : 2005年4月 7日 00:00

« ブログ+文書管理 | メイン | 過去と未来のあいだで »


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://birdwing.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/776