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2006年1月 6日

架空というリアル。

正月、田舎に帰ったときに、掃除をしていたらこんなものが出てきた、と、母から巻物のようなものを見せてもらいました。巻物は小学生の夏休みの日記らしく、障子紙でできていて、表側には絵が、裏側には文章が書いてある。絵を書くスペースは鉛筆で描かれていて、この部分は親が書いてあげたらしい。漢字の習得具合からみると、3年生から4年生ぐらいです。そして「弟が」と書かれているので、どうやらぼくが書いたものらしい。しかし、ぜんぜん記憶にありません。こんなもの作ったっけ?という感じです。

この記憶にはない夏休みというのが、あらためて読み直してみるとあまりにも充実した夏休みで、映画に行く、演劇を観にいく、海へ行く、プールへ行く、田舎で虫取りをするなどなど、非常に密度の高い夏休みを過ごしているようでした。父と母はほんとうに頑張ったなあ、という感じです。それに比べると、いま父としてのぼくは、手を抜いているかもしれない。とはいえ、教師だった父は夏休みが長かった、ということもあるかと思いますが。

この日記のなかで、演劇は「たつのこたろう」を観たらしいのですが、この龍の部分だけが、非常にリアルに描き込まれている。きっと子供ながらに印象に残ったのでしょう。で、この絵をみたときに、ああ、これはどうやらぼくが書いたらしい、ということに気づきました。というのも、最近はやめてしまったのですが、辰年には年賀状に手書きで龍を描いていた時期があります。その龍が、この日記の龍そのままでした。つまりあのとき見た龍のイメージが、そのまま何年後にも残っていたのだと思います。

ところで、昨日は疲れ果てているものの深夜にスティーブン・スピルバーグ監督の「宇宙戦争」を観てしまいました。実は古い映画のほうの宇宙戦争を少年の頃にテレビで観た記憶があり、あまりにも怖くてトラウマになっています。半月型の宇宙船に焼かれていく人間たちのシーンは、世界はぜったいになくならないし安全なものである、と思っていた自分の観念をがらがらと崩すものであり、世界の破滅におののいたものです。もうひとつ、グリフィンのようなものが出てくる映画(なんだったか覚えていません)も、かなり怖かった記憶があります。どうやら映画好きなうちの長男は、この宇宙戦争を観たがったのですが、ちょっとトラウマになるかなあ、と思ってみせなかった。ハリー・ポッターならみせてもいいよ、と言ったら、えーなんでハリー・ポッターなのさ、と気に入らないようでした。

この「宇宙戦争」は、映像の処理も含めて、ものすごくよかった。リアルでした。カミナリに乗って宇宙人がやってきたときに、なんだろうと人々が集まる。ふつうは怪獣や異星人があらわれると、きゃーとか逃げるシーンになりますよね。でも、ほんとうにそんなものが出現したら、まずは好奇心で見に行くと思う。群集のなかにクルマで突っ込んでしまい、オレもクルマに乗せろとパニックになるシーンもリアル。ビルに突っ込んだトライポッド(宇宙人のマシーン)も、うわーリアルだと思った。軍隊VS宇宙人の戦闘で、「見届けたいんだ」と父であるトム・クルーズの手を振り切るシーンにはなんだか泣けました。彼と息子がキャッチボールするんだけど、どうやら奥さんとは離婚しているようで、息子と娘とも離れて暮らしているらしく、息子から何か言われて苛立って強くボールを投げてガラスを割ってしまうシーンもよかったな。

映画は架空の世界ではあるけれど、ほんとうにのめりこんで観ることのできる映画は、もうひとつの人生を生かせてくれるような気がしています。今日は睡眠不足で辛いけど、なんだかすがすがしいものもある。願わくば、劇場で観たかった。今年はなるべく劇場にも足を運びたいものです。

投稿者 birdwing : 2006年1月 6日 00:00

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