« 「決断力」羽生善治 | メイン | 生活知のテクノロジー。 »

2006年2月 2日

「すごい上司 なぜ人は言われたこともできないのか 部下が自ら動き出す心理学」松下信武ほか

▼book06-012:ぼくのなかの上司のために。

4833450194すごい上司 なぜ人は言われたこともできないのか 部下が自ら動き出す心理学 (PRESIDENT BOOKS)
プレジデント社 2006-01-20

by G-Tools

仕事に対してのネガティブな気持ち、不満というのはどうしてもあるものです。あっていいと思うし、それが原動力になることもある。ぼくはそんな不満な自分も自分であると認めたいと思っています。しかしながら、その不満との付き合い方というのは考えなければなりません。

ということをずっと考えつづけてぼくが辿りついたのは、自分のなかに「上司である自分」と「部下である自分」のふたりのキャラクターを置いてみよう、ということでした。言い換えると「大人である自分」と「少年である自分」を共存させるということでもあります。つまり、部下であり子供っぽい自分は言いたい放題で思いついたままに不満をぶちまける。けれども一方で上司であり大人な自分は、あるときは甘ったるい自分を叱りとばし、またあるときは彼が(といっても自分なのですが)モチベーションを高められるように評価してあげたりご褒美をあげたりもする。ひとり上手な状態なのかもしれませんが、少年的な自分も大事にしながら彼を封じ込めるのではなく意識的にプロデュースしつつ、上司的な自分が分別をもってぼくの人格全体を統制する、そんなことができないかと考えました。

前置きが長くなりましたが、そんなわけで「(自分のなかに仮想化して存在させる)上司として何を考えるべきか」ということを研究するために、この本を購入しました。心理学の見地からいろいろなノウハウが書かれていますが、人間は感情のある生き物であり、ビジネスも感情面の管理がいちばん重要なのだな、ということを実感しました。

具体的には、モチベーションを最大にする「確率2分の1の法則」など、参考になるTIPSがいくつもあります。この法則は、10回のうち2回成功する困難な場合より、あるいは10回のうち8回成功する簡単な場合より、成功と失敗が50対50の確率のときにいちばんモチベーションがあがるということです。やるかやらないか、ということかもしれません。また「創造的退行」ということも書かれていて、大きく成長するためには挫折したり失敗したり停滞する時期があるとのこと。逃避したくなる場面があるのですが、それが次の成長のためには大事だそうです。特に二律背反の課題に取り組むときに創造的退行は生じるようで、たとえば、小型だけれど強力なエンジンなどの開発に取り組む場合だそうです。クオリティの高い企画書を早く書き上げる、などもそうかもしれません。確かにそういう課題は逃げたくなるけれども、自分を成長させてくれます。

多重人格ではないのですが、ぼくのなかに上司としての自分像をつくることによって、なんとなく自分の感情をマネジメントできそうな気がしました。上司は大変だ。2月2日読了。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(12/100冊+11/100本)

投稿者 birdwing : 2006年2月 2日 00:00

« 「決断力」羽生善治 | メイン | 生活知のテクノロジー。 »


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://birdwing.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/1118