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2006年5月16日

「クオリア入門―心が脳を感じるとき」茂木健一郎

▼book06-035:思考の本質をめざして。

4480089837クオリア入門―心が脳を感じるとき (ちくま学芸文庫)
筑摩書房 2006-03-09

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脳科学は1999年のチャーマーズの言葉を使うと「やさしい問題」「難しい問題」という幅広い問題を対象としているようですが、ぼくの関心があるのは、脳のどの部位でどんな機能があるかというホムンクルス的な機能論ではなく、「難しい問題」の方の、なぜ自分がここにいるのか、ここにいて考えることができる(意識が生じる)のはなぜか、他人や世界との関わりで自分が変化していくのはどういうことか、ということのようです。

したがって、脳科学の分野のなかでも、どちらかというと科学よりテツガク的、ブンガク的、あるいは言語学的な考察に興味があります。風景のなかで地と図をわけるような主体的な意識が生まれるのはなぜか、ミラー・ニューロンのようなものを通して他人の痛みを感じられるようになれるのか、ということが知りたい。だから、茂木健一郎さんの著作は、まさにぼくが疑問を感じていることにぴったりと合った「志向性」が感じられるものばかりです。さらに発展させると、アンドロイドは涙を流せるようになるのか、ということを考えたい。SFっぽいかもしれませんが、21世紀なので、そんなことを真剣に考えるひとが出てきてもいいのでは?

空想物語のようなことを考えて何になるのか、という思いが時々心をよぎりますが、ビジネスではないので、結果を追求するものではないでしょう。ぼくはプロの脳科学者でもありません。ごく普通のひとです。けれども学術的には稚拙であったとしても、「考えること」について考えることで、ぼくにとっては至福ともいえる楽しい時間を過ごすことができます。それに、この思考のエクササイズによって、いろんな考え方のパターンをストックできたような気がしました。無意識のうちに難題に対する処理のアプローチが多彩になった気もしています(その反動で頭痛もしているのですが)。時間があれば、以前に読んだ著作も再読して、それぞれのキーワードから自分の考えをまとめてみたいと思っています。とはいえ、老後の楽しみ、なのかもしれません。あまり欲張らずにいきましょう。

まだ読んだことのない茂木健一郎さんの著作もあり、とりあえず全部を読了してみたいと思っています。5月16日読了。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(35/100冊+30/100本)

投稿者 birdwing : 2006年5月16日 00:00

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