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2006年5月17日
「超バカの壁」養老孟司
▼book06-036:変わった視点が、考えを広げる。
超バカの壁 (新潮新書 (149)) 新潮社 2006-01-14 by G-Tools |
たぶんAmazonのレビューなどではぜったいに掲載されないような感覚的なひどい批評を書きましたが、ぼくはこの本に書かれている養老さんの視点には、斬新なものや、とても切れ味のいい何かを感じました。考え方には共感するし、支持したい部分もたくさんありました。
以前書いたことがありましたが、ぼくらの意識にできた太い道を「常識」と考えると、その本道から外れたものは「非常識(異端)」であり、マイノリティーであるからこそ何か居心地の悪さを感じる。排除したり、クレームをしようとするのは、それが「変わっている」からです。けれども、変わっていることを言語統制の下に排除するのではなく、変わっていてもいいんだ、と認めることができるのが、成熟した社会であるように思います。
テロはとても人間的な行為だということ、人間の身体は基本的に女性をベースに成り立っていて男性は特別なものだから極端な行動が多いこと(一方で女性は安定していること)、自分はただの人であることを認識して(特別な自分探しをするのではなく)目の前にある社会の穴を埋めることに専念しろということ、都会人がイライラするのは人間が多いからで人間が多いと匂いだけでイライラするということ(という意味では、オフィスはあまり人口密度を高めない方がいいかも)などなど、養老さんの考えにはひとつひとつ納得することが多くありました。
この養老さんの考えに腹を立てるひとがいるのもわかる気がします。なぜなら「変わっている」からです。しかし、養老さんも書いているように、頭にきたら読まなければいいだけのことで、わざわざ意見を戦わせることもないような気がします。こういう考え方もある、ということです。そして、一元論的な発想のもとに反対論の旗を揚げるのではなく、では自分はどう考えるか、のような合理的な方向へ思考を向わせたほうがいいのではないでしょうか。5月17日読了。
*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(36/100冊+30/100本)
投稿者 birdwing : 2006年5月17日 00:00
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