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2006年7月 3日
「今すぐ使える!コーチング」播摩早苗
▼book06-047:ポータブル・スキルを獲得するために。
今すぐ使える!コーチング (PHPビジネス新書) PHP研究所 2006-06 by G-Tools |
コーチングにしてもファシリテーションにしても、どこか眉唾なものを感じてしまうのは、ぼくの根っからの偏見のせいで、というのも体系的な理論になっていないところに疑問を抱いてしまうことに原因があるような気がします。心理学的な裏づけもなく、会話のパターンだけが掲載されているような本を読んでいると、途中で読み進める気が失せてしまう。もちろん著者は抽象論より具体的な会話の方がわかりやすいと考えたのかもしれませんが、逆効果です。
しかしながら、この本に関していえば、非常によくまとまっていると思いました。例として挙げている会話も、その意図がきちんと伝わります。理論の体系化については、まだなんとなくすっきりしないものもあるのですが、指摘されているスキルには頷けるところが多いし、最近のビジネスが抱えている課題についても深い洞察があると思いました。コーチングとは「受け入れる力」であり、批判や偏見を排除して、ただそのひとの言葉を「聞く」のではなくて「聴く」。さらにそのひとのなかに「答えがある」ことを信じて、持論へ誘導したり仮説を押し付けたりするものではないという考え方に、ものすごく大切なことを教えられた気がしました。
かつてマニュアルが重視された時代があり、就職活動(いまは就活と短縮するんでしょうか)のマニュアルが爆発的に売れたりもしましたが、現在ではマニュアル通りにやっても成功するとは限らない時代です。ある本を読んでいて深く共感したのですが、その会社ではナレッジマネジメントという名のもとに過去の企画書を共有しようとしたそうですが、企画書を使いまわすことによって逆に創造性がガクッと低下したらしい。創造性と効率化は、ときに相反するようです。
とはいえ、「いまここ」だけで通用するスキルではなく、会社という枠がなくなっても通用するスキルを求めているわけで、もっと究極のことを言ってしまえば、仕事にも子育てにも趣味にも使える方法論をぼくは模索している。それは企画書のフォーマットをリサイクルして使いまわすこととは異なっていて、方法論は同じだとしても常に考えつづけなければならず、まったく異なった正解をみつけるということです。そんな究極のポータブル・スキルを習得するためのヒントが、この本のなかにあったような気がしています。7月3日読了。
*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(47/100冊+39/100本)
投稿者 birdwing : 2006年7月 3日 00:00
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