« 「海のふた」よしもとばなな | メイン | Jam Films 2 »

2006年8月19日

「「関係の空気」 「場の空気」」冷泉彰彦

▼book06-059:日本語2.0、それは社会のために。

4061498444「関係の空気」 「場の空気」 (講談社現代新書)
講談社 2006-06-21

by G-Tools

日本語のもつ「空気」に着目し、1対1の場合には「関係の空気」、1対多の場合には「場の空気」が支配し、その空気に抗うことができないところに日本の「窒息感」があるとします。殺人やテロなどの社会的な問題を日本語の問題とする視点に切れ味のよさを感じました。そして、冷泉さんにそれができるのは、アメリカという社会から日本を眺めているという、内部でありながら外部というスタンスが重要であるように思いました。だからといって徹底的に日本の文化を批判するのではなく、欧米人からの指摘に対して擁護もしている。

とはいえ、あらためて冷泉さんが描写する企業などのシーンを読んでいると、正しいか正しくないかではなく、空気が支配する日本の文化はちょっとおかしいのではないか、という思いを強めました。子育てと総合職を両立させようとすると、賞与査定の評価が下がるという女性に対する「空気」も、残業や休日出勤をして自虐的にやたらと忙しいことを「善」とする空気も、どこかやっぱりおかしい。

では、どうするか、ということについて、冷泉さんの言葉を借りると「対等」な日本語を取り戻すことが重要である、という指摘は納得できることでした。対等というのは下のものがタメ口をきくのではなく、きちんとした「です・ます」調による尊敬語を使うということです。そして美しい日本語に帰るという幻想をやめて、新しい日本語の在り方を探すことが重要だと思いました。それは、日本語2.0といえるものかもしれなくて、日本語の未来を構想することで、言いたいことも言えない社会の窒息感や、略語などの暗号で分からないひとを排除する格差社会の進展や、そんな社会をよくすることができるのかもしれない、と考えました。非常に示唆に富んだ一冊なので、山本七平さんの「「空気」の研究」も読みつつ、またブログで考察してみたいと思っています。8月14日読了。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(59/100冊+52/100本)

投稿者 birdwing : 2006年8月19日 00:00

« 「海のふた」よしもとばなな | メイン | Jam Films 2 »


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://birdwing.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/1201