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2006年9月 4日

「小さき者へ」重松清

▼book06-064:父親として痛い、研ぎ澄まされた物語としての現実。

4101349185小さき者へ (新潮文庫)
新潮社 2006-06

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重松清さんの小説は、痛い。特にぼくを含めて父親であるみなさんには痛すぎるのではないでしょうか。とある外部協力会社さんの社長さんと飲んだときに、「流星ワゴンは泣ける」という話で盛り上がってしまったのですが、とにかく父親の辛さや喜びや、そんな感情を凝縮して物語に詰め込んだような感じがします。そして、リストラ、鬱、いじめ、死、不登校、パートナーの不倫、人生における負けなど、できれば目をそらしていたい事実を、先鋭的なかたちでどうだ!とばかりに突きつけてくるような作品ばかりです。

これは、職業ライターとして下積みされた圧倒的な力量があるからこそ書けるのだと思うのですが、「小さき者へ」も冒頭の小説から泣けるストーリーで、これは電車のなかでは読めないなあという感じでした。娘が高校を退学するまでを描いた「団旗はためくもとに」も泣けた。ビートルズに出会った自分自身の少年時代を回想しながら、息子への手紙を書く「小さき者へ」も、通勤電車のなかでは読めない一品でした。連続で数冊読むと食傷気味なところもあるのですが、重松さんの作品としては、次はgadochanさんがおすすめしていた「その日のまえに」を読んでみたい。9月1日読了。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(64/100冊+52/100本)

投稿者 birdwing : 2006年9月 4日 00:00

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