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2006年12月28日
「ウェブ人間論」 梅田望夫
▼book06-091:技術と人間の進化、けれども言葉に踊らされないこと。
ウェブ人間論 (新潮新書) 新潮社 2006-12-14 by G-Tools |
日常の生活のなかで忘れてしまっているのですが、2006年は21世紀です。空を飛ぶクルマもなければ、ウェットスーツに身を包むようなファッションもないけれど、現在は紛れもなく21世紀であり、日々の繰り返しで生きているぼくらにはゆるやかに変化しつつある現実に馴染んでしまっているけれど、もし過去の人間がタイムスリップして現在に訪れたら、結構、驚くことが満載ではないでしょうか。当たり前のように使っている携帯電話も、インターネットも、ここ数年間で一気に普及した新しい技術といえます。
その技術の変化は、ぼくらの生活や思考形式を変えていくだろうということは間違いなく、ではどのように変わるのか、あるいはどのように変わっていけばよいのか、と考えることは非常に意義のあることだと思います。意義があるし、だいいち楽しい。たいていそうした新しい変化には抵抗を示すひとがいるもので、また批判的な意見も多くなる。テレビが登場したときにも、ゲームが登場したときにも、そうだったと思います。ただ、「ダメなものは、タメになる テレビやゲームは頭を良くしている」という本にも書かれていたように、悪しきものが人間の知的な思考を高めるものになっていることもある(かもしれない)。
何度かブログのほうで「ウェブ人間論」について考察を重ねたので多くは書きませんが、この「ウェブ人間論」は技術者ではなく、コンサルタントである梅田望夫さん×作家である平野啓一郎さんという異色の取り合わせでネット社会の在り方を語る本として、非常に興味深く読みました。そして、本に書かれたことを超えて、ブログでさまざまな議論であったり解釈が展開していくことが、21世紀的な(まあWeb2.0的といってもいいのかもしれませんが)知の在り方のように思います。
ただ、あまりにも全面的に共感するのはどうかと思いました。ブログで成長できる、という言葉は魅力的ですが、一方でブログでダークサイドに陥ることもある。成長という気持ちのいい言葉を妄信して、成長しなければ、成長しなければ、成長しなければ・・・と脅迫されたかのように自己啓発に励むのもどうかと思う。ドラッカー風にいうと、持続的な成長、絶えざる革新は重要であり、これからさらに変化していく情報化社会ではその資質がないと厳しいとは思うのですが、梅田さんや平野さんはこう言っているけれど、ぼくはこう考える、という自分で思考することが第一に重要なのではないか。それが大量の情報の海を泳ぎきるためには必要不可欠な体力(知力)、あるいは条件かもしれません。12月19日読了。
*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(91/100冊+81/100本)
投稿者 birdwing : 2006年12月28日 00:00
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