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2007年1月 9日

Her Space Holiday + Pcp/the telescope

▼Music07-003:マーク・ビアンキ作の絵本付き、彼らしい物語と音楽。

ザ・テレスコープ
ハー・スペース・ホリデイ+PCP
ザ・テレスコープ
曲名リスト
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by G-Tools

01. the telescope (theme song)
02. epic (days upon days)
03. sunday morning (where are you going?)
04. you have my heart (a new emotion)
05. golden (leaving you here with nothing)
06. atmosphere ( we drew a map together)
07. sad wireless (back to where he started)
08. candle (battered and broken)
09. save a place for me (just a feeling)
10. the telescope reading (of course)

Her Space Holidayの音楽は、なんだか遠い場所にいる友達のような感じがします。

マーク・ビアンキのひとりユニットなのですが、彼の人間性が感じられるというか、とってもあたたかい。気がつくとヘヴィ・ローテーションで聴いていたりしました。たぶんストリングスを多用したアレンジと、生楽器と打ち込みのハイブリッドなバランスがぼくの好みなのかもしれません。

ほんとうは別のアルバムを買おうとしていたのですが、ついついこちらを選んでしまいました。絵本付き、しかもマークの書いた物語ということに惹かれました。これは聴いてみたい、読んでみたいぞ、と。そして帰りの電車で絵本を読んでみようと封を切ってしまったのですが、うわ、英語だぞ(苦笑)、と。そりゃそうですね。マークが書いたわけなので。翻訳があったのでよかったのですが、これぐらいの英語にのけぞっていては情けない。英語の歌詞を読んで理解できるようにしたいものです。そうすると音楽がもっと楽しくなるような気がするので。

ちなみに絵本はこんな感じです。つや消し系の落ち着いた色彩で、大人のための絵本という感じ。表紙が結構厚めの紙になっていて、そういえば絵本の表紙ってごっつい紙が多くて、でもそれがいいんだよなあと思ったりもしました。

 

物語はひとりの男の子が主人公で、彼はずーっと部屋のなかでレコードを聴いたり本を読んだりしている。ある日、望遠鏡を覗くと、そこに誰かの夢や戦争や、世界のすべてがみえる。望遠鏡(テレスコープ)の向こう側にみえたことを書きとめたり曲に作ったりして彼は過ごすのだけれど、何かが足りない。そんなとき望遠鏡の向こう側に、ひとりの女の子の姿をみつけて・・・。

そんなファンタジーの世界をイメージする楽曲がインストを中心に10曲。おなじみのストリングスの音も使われていて、ブレイクビーツもあったりして楽しめます。Her Space Holidayの世界にどっぷりと浸かることができます。物語自体はそれほど趣向が凝らされたものではないのだけれど、ひとりでものを書いたり曲を作ったりしている存在が自分にオーヴァーラップするようで、じーんとするものがありました。

マーク・ビアンキの描いた物語のなかで、望遠鏡を通して世界を眺めていた男の子は、女の子と出会い、外の世界に気付く。ドアを開けてふたりで歩き出すのですが、やがて彼は彼女の手をほどいて、ひとりで行こうとする。でも、ひとりになってはじめて彼女の大切さがわかる。そしていちばん大切なものは外の世界にではなく、身近なところにあることに気付きます。不完全な自分だからこそ誰かの存在が必要なのかもしれません。そして、そんな存在と出会えることは、とてもしあわせなことです。さらに加えるならば、大切な存在だったと気付くことも。

インターネット、特にブログを通してさまざまなひとの考え方を知ることも、テレスコープで世界を眺めるようなものかもしれません。けれども、ここにもマークが描いたように、外の世界のことを教えてくれるひとがいる。望遠鏡を覗くのをやめてドアを開けて外に出てみよう、と思わせてくれる

雰囲気のあるイラストは、日本人(といってもカリフォルニアに16年間住んでいた帰国子女とのこと)イラストレーターPcp(北沢平祐)さんの作品だそうです。Her Space Holidayの音楽に視覚的な色彩を与えて、いいコラボレーションだと思います。 音楽のダウンロード販売が進展していますが、イラストレーターとのコラボレーションによる絵本付きCDなどは、新しい需要をひらくのではないでしょうか。ふつうのCDと違って若干お値段も高めなのですが、イラストがきれいだし、この絵本は持っていたい。動画にすればいいのになあと思っていたら、既にPVでCGによるアニメーションになっていました。このPVをみるだけでも、なんとなく優しい気持ちになれます。ちなみにYouTubeでみつけたのですが「Forever & A Day」のPVも絵本らしい感じ。

最近、ハードボイルドあるいは硬派でいこうと思っていたのですが、すっかり軟弱になってしまった。まあ無理せずに自然な自分でいきますか。1月6日観賞。

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テーマ曲および絵本の世界を3DCGで再現したPVです。

■the telescope (promo video)

歌詞のなかで、曲の最後の以下の部分が気に入りました。

Because we're just a dream Pumping through broken hearts We're ripped at the seams and were covered in scars But we will follow that map just like we planned And we will put down that"x" wherever you and I land

そして、曲全体で繰り返される次の言葉で終わります。

We won't look back

「ぼくたちは振り向かない」。地図にはまだ印の付けていない場所がたくさんあります。けれどもその場所に辿り着くには、遠くまで行かなくてもいいのかもしれません。生活という身近な場所で描かれる冒険もあります。

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■PCPさんのブログ発見!
http://blog.goo.ne.jp/paranoidcorp/


PCP1.jpg

ここにトラックバックさせていただこうとしたのですが、現在トラックバックは受け付けていません、とのこと。残念です。でも制作の裏話が読めてうれしい。ついでに、聴いている音楽が参考になります。重なるアーティストも多かったりして。Her Spase Holidayのウェブショップも、もうすぐ立ち上がるとか。

サイトも発見。
http://www.hypehopewonderland.com/top.html

PCP2.jpg

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■telescopeの公式サイト。メイキング写真集やマーク・ビアンキとのチャットインタビューもあって、ファンには楽しいコンテンツです。
http://www.hypehopewonderland.com/telescopeweb.html

*年間音楽50枚プロジェクト(3/50枚)

投稿者 birdwing : 2007年1月 9日 00:00

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