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2007年8月17日

Tracey Thorn / Out of the Woods

▼music07-042:なんかふつーになっちゃったなあ、という感じですが。

B000RG12ZEアウト・オブ・ザ・ウッズ
トレイシー・ソーン
インディーズ・メーカー 2007-07-18

by G-Tools


1. Here It Comes Again
2. A-Z
3. It's All True
4. Get Arond To It
5. Hands Up To The Ceiling
6. Easy
7. Falling Off A Log
8. Nowhere Near
9. Grand Canyon
10. By Piccadilly Station I Sat Down And Wept
11. Raise The Roof

トレイシー・ソーンといえば、ネオアコ時代にカリスマ的な人気があったエブリシング・バット・ザ・ガール(EBTH)の歌姫です。ベン・ワットのリバーブの余韻に溶けるギターの音色を背景に、その純朴な歌声が魅力的でした。ネオアコのバイブル系はひととおり聴いたつもりのぼくですが、ちょっとジャズっぽい雰囲気のあるファースト「EDEN」とともに、ベンワットのソロ「ノース・マリン・ドライブ」、彼女のソロ「遠い渚~ディスタント・ショア」は、アコースティックな気持ちになれる一枚だと思います(三枚だけど)。紙ジャケット仕様のCDが発売されているようですね。

生音志向のエブリシング・バット・ザ・ガールがドラムン・ベースに方向転換したときには驚きましたが、そもそもエレクトロニカ志向だったぼくには、その音も歓迎できました。ギターを置いて打ち込みに切り替えたとしても、ベン・ワットの作る曲には彼なりのノスタルジーや複雑さや、それでいてポップなメロディがあり、これはこれでよいのではないか。何よりもすっとぼくの耳には入ってきたものです。

そこで、「Out of the Woods」なのですが。これはなんと「遠い渚~ディスタント・ショア」から27年振りの彼女のソロ・アルバムだそうです。25年ですよ。25年もあれば生まれた子供がいいおじさん、おばさんへの入り口に差し掛かって、結婚なども考え始めているかもしれない。そんな短いようで遠い時間を経て作られたアルバムなのですが・・・。

確かに25年もあればいろんなことがあります。いろんなことがあるのだけれど、変わらずにいてほしい何かがある。一方で、変わってほしい何かもある。それが「Out of the Woods」では中途半端な気がしました。電子音を利用しているのだけれど、別に電子音ではなくてもいい気がします。EBTGと短縮形にバンド名を変えてリリースした「哀しみ色の街」 で受けたような衝撃はありません。洗練されたクラブ感覚もない。どこかいまいちな80年代ミュージックな感じ?

BGMのように聞き流してしまって、もう一度聞きたい気持ちにはなれませんでした。1曲目の「Here It Comes Again」のストリングス+グロッケンを使った曲は、なかなかいいなと思ったんですけどね。全曲、ストリングスバックのアルバムでもよかったんじゃないか。そんなよい年齢の重ね方をしてほしかったような気がしています。トレイシー・ソーンには。

ところが、次の2曲目「A-Z」の電子音のアレンジに入ると首を傾げてしまう。いいとこを詰め合わせても、逆に何をやりたいのかわからない感じでしょうか。4曲目「Get Arond To It」のベースラインやタイトなリズム、9曲目の「Grand Canyon」のシーケンスなどは好みではあるのですが、プロデュースに問題があるのか、アルバム全体を聴くと首を傾げてしまう。

やっぱりソロではなくて、エブリシング・バット・ザ・ガールで聴きたくなってしまいました。エブリシング・バット・ザ・ガールに似た何かではなく、ソロであればソロらしく、アコースティックなのかエレクトロニカ/ダンスなのか、思いっきり方向性を振ったほうがいいのでは。余計なお世話かもしれませんけれども、そんな突き抜けられない思いを抱えてしまうソロ・アルバムでした。

+++++

アルバム3曲目の「It's All True」をYouTubeから。うーむ、いまこのアレンジをやる意味って?年をとってしまったけれど、なんとなく80年代に執拗にこだわる若作りなおばさん的な感じがして困惑。

■Tracey Thorn - It's All True

*年間音楽50枚プロジェクト(42/50枚)

投稿者 birdwing : 2007年8月17日 23:46

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