« 折り紙ヒコーキを作ろう(1) | メイン | ムラ、ムラ、ムッシュー。 »

2007年9月18日

ハンゲツの作り方。

没頭すると周囲を忘れてしまう自分ですが、土曜日、久し振りにヘッドホンを被って趣味のDTMに集中していたところ、すーっと次のような付箋が。

070915_husen.JPG

奥さんからでした。あーはいはい。呼ばれてたんですね。ご飯ですね。そもそもぼくは集中するとご飯さえ忘れてしまいがちなのですが、付箋のおかげで現実世界に引き戻されました。そして、家族団欒でご飯を食べたのでした。けれども、お腹がいっぱいになって、ふと付箋を見ると・・・。

070915_husen2.jpg

キティちゃんが怒ってるっ!ううう、奥さんったら怒ってたのねっ!

9月といえども厳しい暑さが続いておりますが、それにも関わらず思わず背筋がすぅっと寒くなる一瞬でございました。こうした不満の積み重ねによって、人生の坂道に躓き、熟年の危機に向かって仲睦まじき夫婦もいっきに転がり堕ちていってしまうのでしょうか。ああ、せつない(涙)。趣味は大事ですが、没頭のしすぎに注意しましょう。

というせつない状況にも負けず、久し振りに集中して「half moon」というオリジナル曲を完成させて、掌編小説とともにブログで公開しました。ぼくはメイキングというか、その創作過程についてもブログで書いていこうと思っているのですが、今回のエントリーは掌編小説などを作ってしまったので、あまり過程については書けませんでした。そこで少しばかり制作の裏話を書いてみます。

まず、ぼくは貧乏ミュージシャンなので、基本的に高価なソフトウェアや音源などを持っていません。かろうじてDTMにお金をはたいたのがSONARというDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)でした。といっても、Studio Editionという中級向けのパッケージで、しかも最新ではなく現在もSONAR5という以前の世代のものを使っています。

そしてSONARにソフトウェアのシンセサイザー(VSTi)を登録して使っているのですが、これもまた無料のソフトウェアシンセサイザーをネットで拾ってきて使っています。しかしながら、驚くことに無料といってもかなり使えるものが多い。今回の曲ではPad系の音が重要になっているのですが、利用したのはまずSUPERWAVE P8でした。インターフェースはこんな感じ。結構、いかついのですが、ヴィンテージ・シンセっぽくていいですね。好みです。

superwavep8

■SUPERWAVE P8(英語)
http://home2.btconnect.com/christopherg/main.htm

イントロのふわーっとした音はSUPERWAVE P8に深いリバーブをかけています。その背後でしゃかしゃかしゃかしゃか聴こえたり、ぴんこぴこぴん・・・という音が鳴っているのがCrystal。こちらも無料のソフトウェアシンセサイザーですが、知るひとぞ知る定番だと思います。ちなみに、インターフェースはこれです。

crystal

■Crystal(英語)
http://www.greenoak.com/crystal/index.html

Crystalによる、次のようなふたつの音を組み合わせています。音だけ取り出してひとつにしてみました。

ちなみにこれもまたネットで拾ってきたおかしなmp3プレーヤーですが、のっぺりとした棒の左の部分を押すと再生されます。音の大きさは変えられないので、ご注意ください。また、右端を押すとファイルをダウンロードできます。ただ、こういうシンプルなFlashも重宝しますね、ときには。




さらに中盤から出てくるピアノも無料のシンセで(考えてみるとタダばっかし)、mdaPianoというフリーソフト音源です。

■mdaPiano(英語)
http://www.pluginspot.com/English/frames.html

なんとなくピアニストっぽいフレーズではあるのですが、ピアノをどのように弾いているかというと、実は弾いていません(笑)。マウスを使って方眼紙のような画面に音を置いていく。ピアノロールといいますが、こういう画面です。

piano_roll

左端に鍵盤が縦になっていますが、縦軸の上が高音、下が低音です。横軸は右に向けて曲の時間軸になっていて、この膨大なマトリックス、というか方眼紙に音を置いていく。再生すると、右の方へこの方眼紙が流れていくので、さながらちょっとしたオルゴールという感じでもあります。

ちなみに上記画面を再生すると、次のようになります。




というようなカタチで、どちらかというと音楽というよりも絵画的な感覚で曲を作っていきます。

この「half moon」のピアノを作っていてあとから気付いたのは、低音部分はなんとなくベートーベンのピアノソナタ14番(月光)の影響を受けているかもしれないな、と思ったことでした。ぜんぜん似ていませんけどねー。そういえばよく学校にいませんでしたか? 音楽室で月光をピアノで弾いちゃうようなやつ。でも、ちょっとかっこよかったからぼくも弾けるようになりたかったですね。結局、弾けませんでしたが(怒)。

そんな月光ライクな低音部分を作りつつ、構造的に、低音部分に対して16音符分ずらしながら高音の音を「置いていく」ということを考えていたような気がします。つまり、音的にどうだというよりも、空間・平面的な幾何学的な配置として作っていった感じです。

まだまだ語りたい気がするのですが、ぼくはそんな風にしてDTMで音楽を作っています。音楽制作というよりも、どこか知的な遊びに近い部分があって、ナマの楽器を弾くのとはまた違った楽しさがある。楽器が弾けなくても、作品を自分で作りたい、表現したいという欲求を満たしてくれます。

音と知的に戯れたいひとに、DTMはおススメです。といってもなかなか入り口がみつからないかと思うので、初歩の初歩についても書いてみたいと思います(いつか)。

投稿者 birdwing : 2007年9月18日 06:25

« 折り紙ヒコーキを作ろう(1) | メイン | ムラ、ムラ、ムッシュー。 »


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://birdwing.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/50