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2008年1月27日

「とことんやれば必ずできる」原田永幸

▼Book08-003:計画力、自発力、育成力から考えるリーダーの資質。

4761262435とことんやれば必ずできる
かんき出版 2005-04-23

by G-Tools

派手な成功であるとか陽のあたる人生というものもありますが、ぼくが最近かっこいいなと思うのは、地道な努力を継続するひとです。他人の評価を原動力にするのではなく、自分で正しいと覚悟を決めたことについて、自律して挑戦しつづける。他力本願でもなく、無駄な批判に時間を費やすのでもなく、黙々と自分の道を究める。これがかっこいい。

同時にクールだけど熱いひとでしょうか。知的な頭のよさをもっていながら(決して高学歴であるとかMBAを取得しているとか、ということではない)、人間味に溢れている。ものすごい人脈があるというわけではなくてもいいのですが、会うとほっとする感じ。見た目は穏やかそうだけれども、あったかいひと。

というふたつの要素があれば、どんな業界からも求められるひとになるのではないか、と思いました。まさに現在マイクロソフトのCOOを勤められている樋口泰行さんであるとか、この「とことんやれば、必ずできる」という本の著者であるマクドナルドの原田永幸さんなどは、そんな理想的なリーダーだと思います。

この本は以下のような構成になっています。

第一章 短期間で成長するための自己投資術
第二章 まずは、とことんもがいてみる
第三章 「一度決めたこと」は最後まであきらめない
第四章 結果こそすべてだと考える
第五章 転機を味方につける人が勝つ

スケジューリングや結果を出すための行動術などは比較的クールに効率重視で書かれていますが、第二章ではご自身の幼い頃の体験なども書かれていて、ほろりとする。どういう話かというと、高校に入学したときに祖父に買ってもらった自転車を盗まれたのですが、警察で盗んだ少年と対面して、そいつを殴ろうとした原田さんを母親が止め、盗んだ気持ちを思いやりなさい、と叱責したとのこと。さらに、その少年に対して羊羹を差し出したそうです。

母親の教育があってこそ、原田さんの人徳もあるのだと思うのですが、そんなエピソードがあったかい。さらに、ブログにも引用しましたが、第一章では「最高齢のミュージシャンデビュー」をするために、ドラムの練習をしているとのこと。これ、いいなあ。ぼくも音楽が好きだというせいもあるけれども、経営者といっても雲の上のひとではなく、なんとなくおちゃめな(失礼ですよね)ところが感じられて、ものすごく共感を持ちました。

仕事を楽しみつつ、趣味にも全力投球する。こういうリーダーが増えると日本はもっと元気になるんじゃないでしょうか。年齢は関係ない気がして、60歳になってからピアノをきちんと習う、というようなことがあってもいい。リタイアという観念がなくても、午前中はちょこっと仕事をして、午後は好きなピアノを弾いたり読書をしたりして過ごして、ときどきは地域の学校で自分が得意なことを若いひとたちに教えたりもする。そして夕方には、ちびちびとお酒をたしなみ(あくまでも健康を損なわない程度に)、ぐっすり眠る。そんなシニアになりたいものです・・・。

と、関係ない自分の老後に夢を馳せてしまいましたが、ぼくは原田永幸さんの書かれたことを自分なりに再構成してみると、次の3点に注目すべきだと考えました。目次はまったく無視しています。あくまでもぼくの視点からの整理です。ちょっと樋口泰行さんの「変人力」の真似をしてみました(照)。

■1.計画力

「とことんやる」ためにはまず、何をとことんやるか、という企画段階が重要であり、その時点で企画の質を高めるべきであると原田さんは書かれています(P.148)。ここで重要なのは、仕事もしくは人生を俯瞰した全体思考でしょう。ここでも、まあいっかと安易に妥協するのではなくて考え抜く。「明快な答えが浮かぶまで考え続ける(P.92)」わけです。これがぼくが原田さんの書かれたことから第一に重要だと思った「計画力」です。

しかしながら机上でいくら案を練っていても、実行しなければやっていないのと同じ。そこで、「ゴールから逆算して何をするべきか考える(P.53)」という戦略的な思考とともに、「実行しながら検証してベストの結果を出す(P.44)」という思考と行動を並列処理する能力が必要です。

さらに、「1年かかることを三ヶ月で終わらせる(P.12)」というスピード重視の考え方や、「出来っこない締め切りを決める(P.144 )」というちょっと無理やりな目標管理も重要になります。

また、会社の仕事に流されないために「自分の時間をブロックする(P.18 )」や「仕事は必ず就業時間内に終わらせる(P.25)」といった視点も提示されています。後者はぼくには耳が痛い。大変だ、大変だ、と言いながら深夜残業や休日出勤までしているのですが、やり方を見直そうと思いました。企画のお仕事に就きながら、計画性がないのかもしれないなあ(苦笑)。

■2.自発力

先日読み終えた「カンブリア宮殿」にも書かれていたのですが、「変化は自ら創り出す(P.216)」という力が「自発力」。その起点としては、「自分が何を知らないのかを知る(P.126)」で原田さんがよく使われるという「We don't know what we don't know」という言葉を心に留めておこうと思いました。いつの間にか、知っているつもり(あるいは振り)をしていることが多いものです。けれども「何でも経験してやろう、吸収してやろう」という姿勢でありたい。

そして、トレンドや情報に流されない自己が大事です。「戦略は市場調査よりも、ひらめきで立てる(P.58)」は、調査データの分析などを仕事としているぼくには全面的に賛同できない部分もありますが、特に調査データでも、最近では定量的なデータよりも定性的なデータからインサイト(洞察)を見出すことのほうが重要になってきている気がします。このとき重要なのは、リサーチャーなりアナリスト(もしくはマーケッターだったりコンサルタント)の"直感"ではないか。でも直感があったとしても、自律した強さがないと意見を主張できないんですよね。

つまり、自分のしっかりとしたモノサシを持つこと、価値判断の基準を持つことがポイント。それがステップアップの決め手にもなります。またまた耳が痛いのは「健康管理ができない人は、仕事もできない(P.191)」という言葉。そうですよねー、ほんっとにそう思います。昨日、人間ドックから帰ってきたばかりですが、健康についてもきちんと留意しよう。仕事のできるひとになりたいので(苦笑)。

■3.育成力

リーダーの最終的な目的は、ひとを管理することではなく、次の世代の人材を育てることにあるのではないか、ということを痛感しました。そうでなければ企業も永続的に回転していなかくなる。年を取ってくると自分の居場所ばかり考えるようになるものだけれど、そういうシニアは結局のところ、企業の老廃物なのかもしれない(苦笑)。自分の利益だけ考えて会社に何も残さなければ、企業に貢献しているとはいえない。

「リーダーの最も重要な役割は人を育てること(P.90)」にも書かれていますが、確かに指示を出すことがリーダーの仕事であるとも思う。リーダーシップに定型がないというのもわかります。企業文化や企業の状態によって、もとめられるリーダーシップも違うでしょう。ベンチャー企業であれば、とにかくぐいぐい引っ張るタイプのカリスマ的な指導力が求められるかもしれない。

しかしやはりある程度年齢を経たときに思うのは、次の世代を育てる必要性でしょうね。「後継者作りが自分自身の発展につながる(P.219)」というのは、まさしくその通りで、それは仕事ではなくても子育てをしているときに感じます。子供に教えているつもりで、子供から教わっていることが多い。

・・・と、ついつい長文になってしまいましたが、日曜日の夜、原田永幸さんの言葉をひとつひとつ再読しながら、静かにいろいろなことを考えました。こういう時間、結構大切ではないかな、と思っています。こういうひとに自分もなりたいなあ。だいぶ年くっちゃいましたが、まだ間に合いますかね。優れたリーダーの言葉は、自分にとって最高の栄養となるようです。1月15日読了。

投稿者 birdwing : 2008年1月27日 23:51

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