« 街のあかり | メイン | コントローラーという楽器。 »
2008年2月11日
[DTM作品] Kakera(かけら)。
東京では先日も雪が降りました。今年は雪がよく降りますね。さすがに積もらないけれど、舗道の片隅にはいまでも雪が残っています。少しだけ汚れたカタマリのようなものになってしまったとはいえ、雪の痕跡があるのはいいものです。連休はいい天気なので、いずれは消えてしまうかと思いますが。
先日の人間ドックの結果が出ました。うーむ、はじめて再検査に(泣)。どんなにハードに仕事していても頑丈だから大丈夫だと思っていたのですが、どうやらここへきて不摂生や過酷な生活のツケがまわってきてしまったようです。
まだまだ気力は若いつもりでいるのですが、身体のあちこちは頑張らないと維持できないようになってきました。若いうちは放っておいてもメンテナンスができるものですが、一定の年齢を超えると努力しないと健康が維持できない。
自分を痛めつけるように夜更かししたり酒を飲んだりする生活なのだけれど、自業自得というか結局のところ自分に返ってくる。最近よく思うのは、自分のためというよりも誰かのために健康でいたい、健康でいなければ、ということです。子供たちが成人するまで、あと15年はあるわけだし。
と、そんなことをぼんやりと考えつつ、子供たちが夢中になっている絵本のことを思い浮かべました。宮西達也さんの絵本です。
ぼくにもそのあいをください (絵本の時間) 宮西 達也 ポプラ社 2006-10 by G-Tools |
そもそもウルトラマンが好きなので「おとうさんはウルトラマン」シリーズを手にしたことがこの作家の絵本を集め始めた始まりだったと思うのですが、この本は次男くんのお友達からいただいたものです。
恐竜のお話で、「ちからこそが、だいじなもの。つよいことがたいせつなんだ」というティラノサウルスが主人公です。彼はその哲学のもとに暴挙をふるう。けれどもやがて年老いて弱くなり、食べようとしたマシアカサウルスに逆に噛み付かれて傷を負う。そのときトリケラトプスの子供たちに助けてもらいます。
トリケラトプスの子供たちは彼がティラノサウルスだということがわからずに、一生懸命に看病するわけです。このとき、ティラノサウルスは強さがいちばん大事なものではないことを知る。そして、子供たちを襲ってきたギガノトサウルスからトリケラトプスを守って死んでしまう。
そのトリケラトプスの子供たちが大きくなって、子供ができたときに、やはりギガノトサウルスに襲われるのだけれど、トリケラトプスのおとーさんは戦わない。痛くても我慢してじっと耐える。
敵が去ってしまったあとで、パパは強いのにどうして戦わないの?と子供たちに訊かれて、こう答えます(映画では最後のシーンを書いてしまうのはネタバレでヒンシュクなのですが、絵本なのでいいでしょうか)。引用します。
「いいかい、ちからよりも
もっと もっと つよい もの、
たいせつな ものが あるんだ。
それは、あい。
おとうさんは、この きを
おった ほんとうに つよい
ひとから、その あいを
もらったんだ・・・・・・」
その きを じーっと
みつめていた こが
ぽつりと いいました。
「ぼくにも その あいを ください」
ううう。泣ける。でもきっと読んでいないと伝わらないかもしれないですね。ちょうど人間ドックの再検査の知らせなどをいただいたときでもあり、もう強くなくなりつつある自分には、ティラノサウルスの気持ちがよくわかる。
さらにですね、個人的に考えたことは、そんな風に自分がいつか消えてしまっても誰かの心に残るような文章や音楽を創ることができたらほんとうにしあわせだなあ、ということでした。いろいろと迷ったり失敗もしていますが、ぼくは最終的にはそんな境地に辿りつきたい。
これもまた別の話になるのですが(前にも書いた記憶があるのだけれど)、ぼくは細野不二彦さんのGU‐GUガンモという漫画の最終回を週刊誌で読んで不覚にも涙してしまったことがありました。
漫画の話で恐縮なのですが、どこか別の世界から来たガンモは、ある日、その場所へ戻らなければなくなってしまう。しかし、戻るためにはいっしょに暮らした主人公の少年の記憶を消さなければならない。いやだよう(泣)という感じで少年は抵抗するのだけれど、ふたりの思い出を全部消されてしまう。
けれども、ある日、コーヒーを飲んでいたら理由もなく少年は、ぼろぼろ泣いてしまうんですよね。彼には理由がわからない。でも、実はガンモはコーヒーが好きだった。コーヒーによって、ガンモと過ごした日々の何かが蘇って彼は泣いてしまった。もちろん思い出(記憶)自体は戻らないのですけれど。
と、いうわけで、相変わらず前置き長すぎです(苦笑)。
別エントリーにしようかとも思ったのですが、そんな現在の気持ちも含めて久し振りに作ったDTM作品を公開します。タイトルは「Kakera(かけら)」としました。2008年の2月9日の心象風景の「かけら」を音にした、という感じでしょうか。過去を再生できるコーヒーのような曲であってほしいのですが、どうでしょう。単なる音の断片(かけら)でしかなかったりして。
■Kakera (kakera.mp3 2分34秒 3.54MB 192kbps)
曲・プログラミング:BirdWing
ぼくは日記を書くように音楽を創りたいと思っています。わかりにくいと思うのですが、ぼくが個人的に感じている、ある時間の風景、あるいは感情を音に変換、もしくは翻訳して作品にしたいということです。
だからぼくが趣味で創るDTM作品のほとんどは、ものすごくプライベートなものです。ある意味、ブログ的といえるかもしれない。したがって聴いているひとによっては、完成度が低いなあ、よくわからないよこれ、同じコードの繰り返しでつまらない、という感想があるかもしれないけれど、(まず)ぼくにとって意味があるものであればいいと思っています。そして未完成でもすぐに発表することが大事です。というのは、そのときの気分はすぐに消えてしまうものなので。
たぶん商業的なミュージシャンであったら、それではダメだと思いますね。多くのひとに永遠に伝わるものでなければいけない。でも、ぼくはそもそも商業的にやっているわけじゃないのでいいか、と。
では、別にブログで公開しなくてもいいのでは?という考え方もありますが、もしかすると非常に稀なのだけれど、ぼくの感覚に共鳴して、ぼくが感じていた何かを再生いただけるような誰かがいるかもしれない。そんな偶然のために公開しています。そうそう、銀河系の彼方に向けて、地球からのメッセージを格納したロケットを飛ばすようなものですかね。そんなプロジェクトがありましたっけ。
考えてみるとオリジナルのDTM作品を公開するのは久し振りでした。実は、自分の心象風景に近づけなかったのでボツにしようと思っていたのですが、辿り着けなかったボツ作品も含めてこれから公開していこうと思います。
ところでDTM的には、今回はギターの音としてReal Guitarを使っています。アコギ持っているのに弾いていません(苦笑)。打ち込みで音を創っています。さらに、ドラムはメインにフリーのVSTiであるDrumatic3を使いました。コシのあるいい音しています。プリセット音をそのまま使ったのだけれど、音をいじるともう少しいろんな音ができそうです。
こちらはReal Guitarのインターフェース。バージョンアップしたのでオンラインでアップデートしたのですが、PCのスペック不足なのか使えない(泣)。なので古いバージョンのものを使っています。ギターのフレットを模した画面が気に入っています。入力した音に合わせてフレットの位置にその音が表示されて、じゃらーんというコードも弾けるんですよね。なかなかのスグレモノです。
製品サイトはこちら。
Drumatic3のインターフェースはこれ。重厚な感じがします。音とばっちり合っていて、グラフのような操作パネルもかっこいい。
ダウンロードサイトはこちら。
最近はDTM関連の情報収集もしていませんが、またいろいろとDTM関連の情報も集めてブログで紹介していきたいですね。
投稿者 birdwing : 2008年2月11日 11:43
« 街のあかり | メイン | コントローラーという楽器。 »
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://birdwing.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/876