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2008年3月23日

[DTM作品] フライト・レコーダー

何度か書いているのですが、ブログでBirdWingという鳥らしきハンドルをつけたのは、雲の上から俯瞰できるような幅広い視野(あるいは思考)を獲得したいと願いを込めたからでした。しかしながらその実、泥にまみれて地上をとぼとぼと歩く犬のような生き方しかできないような気もします。

日々の生活に追われると、感性を磨いたり、わずかばかり芸術的な作品(文章や趣味のDTMなど)を結晶化させることが難しくなります。基本的にぼくはアーティストではないので、現実をしっかり生きることが大事だとは思うのですが、欲張りだったりもするので何か創造的なことをしたい。稼ごうとか有名になろうとはあまり思わないのですが(何も思わないとは言えない。ちょっとは野心もあったりする。笑)、まず第一に創作をしている時間が楽しいし、どんなに陳腐であったりささやかなものであったりしても、自分が生きてきた証のようなものを残しておきたいと思う。

と、若干自分に対する言及が多くなりましたが、思考の世界はともかく、現実において高みからの視野を獲得するには、高層ビルに昇ったり飛行機の機上から眺めるのがいいですね。あまり出張のない仕事に就いている自分は、仕事も含めて飛行機に乗る経験は稀なのですが、高層ビルから眺める風景は結構好きだったりします。

そもそもぼくは高所恐怖症気味なところがあったりするけれども、さすがにしっかりと窓で守られていれば高層ビルから眺める風景も怖くない。何を血迷ったか若い頃には山岳をやっていた時期もあるのですが、その当時、ロッククライミングはぜんぜん楽しめませんでした。うーむ、なんでそんなことやっていたんだろう。解せない。若気の至りでしょうか。

休日、パソコンに保存された写真をいろいろと整理していたところ、飛行機の機上からデジタルカメラで撮影した写真が出てきました。

080322_flight1.JPG

080322_flight2.JPG

空港で待機するときの落ち着かないけれど楽しい気持ち。離陸するときのGがかかる感覚。乱気流で揺れるときのささやかな不安。美しい雲海を眺めるときのどこか神聖な想い。目的地の上空を旋廻するときの懐かしいような、それでいて地上では感じられないわずかな非日常的な何か。

そんな感覚を曲にしてみたいと思いました。が、苦戦した(苦笑)。いろいろと躊躇する箇所はあるのですが、思い切って公開してみます。飛行を記録するという意味で「フライト・レコーダー」としました。正式にはFlight data recorderというらしい。この装置に記録されるのは高度などの味もそっけもないデータだと思うのですが、ぼくは飛行しているときの感情も含めて記録したい。


■Flight Recorder(2分43秒 3.73MB 192kbps)

曲・プログラミング:BirdWing


楽曲的には不満が多いです。ボツにしようかとさえ考えていました。きれいにまとまっているとは思うのですが(まだ詰めが甘い部分も多いと感じています)、既存の何かに絡めとられている印象もあります。ストレートに言ってしまえば、中田ヤスタカさん的な何かとか? 4つ打ちのリズムとぐりぐりしているベースなど。

中田ヤスタカさんでいうと飛行系の曲としては、Capsuleの「グライダー」を思い浮かべました。好きな曲です。なぜか英語の字幕付きの映像をYouTubeから。

■capsule-glider(EnglishSub)

このような好きな曲の影響を受けることもありますが(といっても今回の曲はあまり影響はないと思うのですが)、自分で自分の過去の曲のいくつかに影響を受けることもあります。過去に作った曲のフレームを壊すことができない。自分がライバルという感じですが、既存の曲作りの文法を超えていないところが納得できなかったりする。

とはいえ途中から、ちょっとラテンっぽいリズムになるのがおかしかったですね(笑)。個人的には、ラテンの音楽の文脈(コンテクスト)はなかったのですが、フルート+ブラスの音を組み合わせていたらラテン系のアレンジが浮上してきました。フライトだけに、リズムまで舞い上がった感じですかね(苦笑)。

冒頭のシンセのシーケンスは、バッハの平均律っぽい何かをめざしました。甘酸っぱくて少しソフトなエッセンスはPet Shop Boysあたりが近いでしょうか。というわけで、これは自分のなかでもわかりやすい曲のほうですが、現在とてもわかりにくい抽象的な曲に着手しています。こちらも苦戦中。

想いを音や言葉にするのは、ほんと難しいですね。

投稿者 birdwing : 2008年3月23日 20:05

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