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2008年8月 5日
「勝間和代のインディペンデントな生き方実践ガイド」勝間和代
▼book:自立したい女性のバイブルあるいは入門書。
勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド (ディスカヴァー携書 22) 勝間 和代 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-03-01 by G-Tools |
勝間和代さんといえば、ひととき書店で平積みにされている写真付きの本が多く、雑誌などにも取り上げられていてよく拝見しました。時代の勢いに乗っている印象があり、気にはなっていたのですが、読んでいなかった著者のひとりです。
「勝間和代のインディペンデントな生き方実践ガイド」は勝間さんの原点ともいえる一冊とのこと。女性に向けて書かれています。いい女になるために知っておいたほうがよい生き方のガイドという内容です。
自立した女性を「インディ」と呼び、逆に男性や社会に依存した女性を「ウェンディ(ピーターパンの夢見がちな妖精)」に喩え、いままであまり語られてこなかったインディになる方法について、非常にわかりやすく解説されています。コラムを挟みつつ、ポイントを箇条書きにまとめて、さらに参考図書なども掲載。若干高めなのですが(1000円)、お得な感じがする。
女性向けの本であるのに、なぜ男性のぼくが?という疑問を自分でも感じたのですが、ひとつには、ぼくは自分にはない視点を獲得することで、思考を拡げたいという知的欲求があります。外国の文化でも構わないし、子供の発想でもよいのですが、カマタリつつある脳をやわらかくしたい。デザイナーの考え方も参考になることが多く、感性や直感にすぐれた女性の思考も同様です。思考をほぐしてくれる何かを摂取したい。
また、Lifestyle Innovationとブログのタイトルに掲げているだけに、情報化を含めたライフスタイルについて考えていきたいとあらためて思っています。しかも、あまり術にこだわりすぎるのではなく、生き方のテツガクであるとか、思考系のテーマに関心があります。
そういう意味で購入した本ですが、ささっと読めて、しかもいろいろと考えるところが多くありました。また、生き方を押し付けるのではなく、(あまり多くは語られていないのですが)ご自身の離婚経験にも触れながら、インディな生き方のデメリット、ウェンディで生きる選択もある、という柔軟な姿勢に共感を持ちました。
アタマのいいひとの多くは、まとめる力があると思います。要約力がある。というのは、エレベーターテスト(エレベーターに乗っている時間で社長にプレゼンする)のようなことにも言えると思うのですが、ポイントをきちんと指摘できる。勝間さんの本でも各章のポイントが箇条書きにされていて、その部分だけを読んでもかなり参考になります。
というわけで、この本に書かれているポイントを抜粋、まとめてみました。
■インディの条件
1)年収600万円以上を稼げること
2)自慢できるパートナーがいること
3)年をとるほど、すてきになっていくこと
■ウェンディになりがちな理由
1)家、学校、職場でインディになる方法を教えてくれるひとがいなかった
2)具体的に目標になるインディがいなかった
3)インディにならなくてもいいように甘やかされてきた
3-1.何かに依存して現実から目を背ける「甘え」
3-2.責任や決断を避ける「甘え」
■インディになるための法則
1)じょうぶな心
1-1.自分の想いで環境を作る
a.言い訳をやめる
b.なぜ自分ばかりが損をするのか、という気持ちを捨てる
c.目標を持つ
1-2.周りと調和する
a.こざっぱりとした服装・髪型と笑顔を忘れない
b.「アサーティブ」に振る舞う
1-3.すべてをゼロイチで考えない
1-4.がんばりすぎない
2)学び続ける力
2-1.メンターとコミュニティラーニング
2-2.仕事の場の外で学び続ける
・英語
・読書
・「ながら学習」
・「わらしべ長者理論」
2-3.お金をコントロールする力
■インディにとっていい男の条件
1)年収1千万円以上を余裕を持って稼げる男であること
2)インディの価値を認められる男であること
3)インディと一緒に、年齢とともに成長していく男であること
■インディになるための6つの約束
「じょうぶな心」のために
約束1:愚痴を言わない
約束2:笑う 笑う 笑う
約束3:姿勢を整える
「学び続ける力」のために
約束4:手帳を持ち歩く
約束5:本やCDを持ち歩く
約束6:ブログを開く
ポイントをざっと追うだけでも頷ける観点が多いと思います。たぶん問題意識の持ち方によっては、さっぱり意味がわからないかもしれないのですが、ぼくはものすごくよくわかった。もちろん個人的な視点からみると、これだけではちょっと・・・という印象もあります。たぶんこれは基礎的な生活習慣のようなもので、その先に進むともう少し必要なスキルがある。もしかすると勝間さんの他の本で書かれているのかもしれませんね。
余談になりますが、本筋とは別にいくつか関心のある内容も書かれていました。抜粋してみると、たとえば「身体全体で記憶する」ということ(P.74)。
まだ科学的には完全に検証されていない仮説の段階のものですが、記憶は脳ではなく、身体全体で行われている、という学説が出てきているのです。
この学説が出てきた背景には、最近、臓器移植が盛んになってきたということがあります。臓器移植によって、元の持ち主の記憶や好み、嗜好が移植を受けた人に移る、ということが複数回、観察されるようになってきたのです。
これは面白いですね。例えば、指先で記憶する、舌で記憶するということがあるかもしれない。そして、その記憶が潜在的に思考や行動に反映される。すなわち、美しいものに触れ、すばらしい味を体験したひとには、その蓄積された体験をベースに身体自体が再構築されていく感じでしょうか。
それから、姿勢を整えることの重要性を説かれたところで引用されている「メラビアンの法則」です(P.183)。
これは、1971年にメラビアンという人が行った実験で、
55%=Visual(視覚情報:見た目・表情・しぐさ・視線)
38%=Vocal(聴覚情報:声の質・速さ・大きさ・口調)
7%=Verbal(言語情報:言葉そのものの意味)
で、人は影響を受けやすい、というものです。
つまり、どんなにいいことを言っていても、見た目が変だったら信じてもらえない。視覚情報は重要であるということです。こうした知識をさらりと書けるのは、勝間さんの普段からの「学び続ける力」がベースにあるからでしょう。
女性の視点から、いい男の見分け方も書かれています。いい男の条件については抜粋しましたが、なかなか鋭い。いい女が気をつけなければならないのは「オレ様系」と「依存してくる男」だそうです。えーと、引用すると痛いので、詳細は触れないでおきます(苦笑)。
この本を読んでいて感じたのは、先日読み終えた阪本啓一さんの「ゆるみ力」に重なる部分がある、ということでした。頑張りすぎずに、けれどもきちんと自分の目標を定め、他人と比較せず、人生を楽しむ。漠然としていますが、おふたりの共通点を括ると、そんなしなやかな生き方がみえてきそうです。
投稿者 birdwing : 2008年8月 5日 23:59
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