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2008年8月 7日

ストリートビューを歩く。

歩くことが趣味です。ブログで何度か書いているのですが、いろいろなことを考えながら歩くことが多い。といっても、健康のためのウォーキングではないので、歩き方の薀蓄は何もありません。時折道草もしながら、ただぼけーっと歩いているだけです(ということを書きながら、今度ウォーキングについて調べてみようと思いついた)。何の役にも立たないけれど、わずかばかり健康に貢献しているはずであり、お金もかからないのでお手軽な趣味といえます。

さて、そんなウォーキングなぼくが5日のネットのニュースをみてすぐに反応して、思わず「グーグル凄い!」というメールを送ってしまったのが、グーグルマップのストリートビューでした。

ストリートビューは、地図上でクリックするとその場所の地上から見た写真が表示されます。表示されるだけではなく、マウスの操作でぐるりと360度見渡すことができる。さらに、道に沿って写真を見ることができる。パノラマ写真にする技術としては、AppleのQuickTimeに同様の技術があった気もするのですが、とにかく実際の街を通りに沿ってずんずん歩いていけることが凄い。楽しい。

グーグルは、まず海外でストリートビューのサービスを展開していたこと、人物の顔などをぼかす技術を開発したこと、偶然に掲載されてしまった自分の写真がプライバシー侵害だということで訴訟が起こっていることなどは知っていました。

しかし、知っていることと実際に体験することは雲泥の差がありますね。しかもこのストリートビューは、友達に教えたり、YouTubeと同様にコードを取得してブログに貼り付けることもできます。

ちなみに、かつて「無音の闇、騒音の闇。」というちょっと暗めなコンテンツを書いたことがあるのですが、そのときに取り上げた場所をストリートビューで表示すると次のようになります。


大きな地図で見る

従来からあった航空写真でみると、こんな感じ。


大きな地図で見る

いままで俯瞰する鳥の視点だけだったのですが、地面を歩く犬(実際にはグーグルカーという車でゆっくりと走行しながら撮影しているようですが)も獲得できるわけです。これは思わず「すげー!」と声が出ました。

たぶん活用方法としては次の3つがあるのではないでしょうか。

■1.訪問する予定のある場所をみる(事前体験)
どこかへ出かけるときには地図を確認するものですが、平面的な地図と実際の場所は食い違っていて迷うことも多いものです。しかし、ストリートビューを使えば、道順に沿って、事前にこれから行く場所への行き方を疑似体験することができます。

■2.行った場所をみる(事後体験)
たとえば初デートなどの場合(笑)、彼女と歩いても緊張して覚えていないことも多いのではないでしょうか。いっしょにウィンドウショッピングして歩いた道や散歩した街などを、追体験することができます。

■3.行きたい、行けない場所をみる(疑似体験)
なかなか旅行に行きたくても行けないものですが、ストリートビューを使えば時間や費用の制約なしに、さまざまな場所を「歩く」ことができます。特に山奥の細い道などを歩くのは、実際には余程時間がない限り難しいのですが、そんな体験までできる。

事前体験/事後体験(追体験)/疑似体験と分けてみたのですが、最後の疑似体験に関していえば、ある意味、これは“現実をロールプレイングゲームのように仮想化した”ともいえます。

ドラゴンクエストを筆頭とするRPGのように、リアルなストリートをずんずん街を歩いていける。そのうち誰かに出会う・・・なんてこともできるのでしょうか。セカンドライフという3DのCGにより仮想の都市を作ったり歩き回ることができるサービスもありましたが、現在はそれほど盛り上がっていないような印象があります。登場する時期が早すぎたのかもしれません。けれどもいずれは、2Dのサイトから、3D的な奥行きのあるインターフェースに変わっていくのではないでしょうか。もちろん、2Dのテキストによる資産なども残しながら。

ただ、この凄いサービスもすぐに問題が浮上しました。海外と同様、勝手に撮影した画像によってプライバシーの侵害であるとか、防犯のためによくないのではないか、ということです。J-CUSTニュースには路上で高校生のカップルがキスをしている場面なども引用されていて、ぼくは微笑ましいと思うのだけれど、本人にとっては恥ずかしいし、ネガティブな感情を増幅させるひともいるのかもしれません。

■何でも見れちゃう「ストリートビュー」 ドロボーの物色に「悪用の危険性」http://www.j-cast.com/2008/08/06024765.html

ちなみに、グーグルに削除申請をすれば、画像は削除していただけるようです。

もちろん問題はあると思うし、実際に自分とわかる人物がとんでもない場所で撮影されていたら(とんでもない場所ってどこだ。苦笑)、困惑したり頭にきたりするかもしれないのですが、とりあえずは、問題よりもすげー!という気持ちが強い。

画期的なイノベーションの多くは、便利さや楽しさの絶賛とともに批判を生んできました。自動車も便利さとともに公害や事故などの問題を生じさせ、テレビも娯楽としての行き過ぎた内容に眉を潜めるひとたちが登場し、インターネットやケータイサイトも殺人予告や誹謗中傷などの問題から疑問視されています。しかしながら、ぼくは二面性があるものにこそ、文化が大きく発展する種子があると考えています。それに健全すぎるものって、どこか不健全じゃないですか。

結局のところ、きっこさんのブログで書かれていた「ストリートビューはプライバシービュー」の次の気持ちに近いものがあります。安易だ・・・とは思いますが。

‥‥そんなワケで、ナンダカンダと疑問を呈してみたけど、せっかくの無料サービスなんだから、あたしもみんなとおんなじに、しばらくは楽しんでみようと思ってる。そして、まずは「芸能人探し」でもしてみようかと思ってる。すでに、某公園で犬の散歩をしてる某芸能人も発見しちゃったし、これからは、知ってる芸能人の自宅周辺を中心に、順番に覗いて行こうと思う今日この頃なのだ。

実際に、アイドルの撮影風景とか、交通事故の風景とか、そんなものもみつかっているようです。交通事故はどうかとは思うけれど、街を歩くことで面白いものも発見できる。かつては赤瀬川原平さんなどが「路上観察学会」などというものを結成されて、マンホールの蓋などストリートに存在する面白いものを発見して楽しんだり考察する動きもありました。既にあるのかもしれませんが、「グーグルストリート(路上)ビュー観察学会」のようなものもできそうです。

面白いものとしては、ストリートビューの撮影のために走っているグーグルカーをみつけたひともいるとか。

■北海道で目撃されたグーグルストリートビューカー
http://www.gizmodo.jp/2008/08/post_4110.html

さらにグーグルは途方もない時間をかけてこのサービスを構築しているようです。1つの都市をカバーするには3~4ヶ月かかっているとか。

■「ストリートビュー」のプライバシー問題、グーグルが方針説明
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/05/20489.html

そんなわけで無駄にグーグルマップを歩き回っていたところ、なんだか疲労が(苦笑)。バーチャルな世界にも疲労はあるんですね。というよりも、バーチャルな世界とはいえ、撮影された写真は現実なので、脳内では実際に歩いた身体と同様の疲れが生じるのかもしれません。とんでもない時代になってきました。

投稿者 birdwing : 2008年8月 7日 23:59

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2 Comments

胡瓜 2008-08-16T05:06

いや、確かにこれは「すげー」です。
やましい事に使おうと思えば使えるし
便利に使おうと思えばいくらでも便利に使えますもんね。
生かすも殺すも使う側・・・ですかね・・・。
事前体験、擬似体験でいえば、お引越しの予定が
ある人とかにはすごく便利かも。
後は、本当に方向音痴の人には非常にいいツールかもです。
そんな地図マニアなあたしは、疲れるどころか
夢中で夜明かしですw

BirdWing 2008-08-16T12:15

胡瓜さん、コメントありがとうございました。すごい時間に書かれていますね。夏休み中でしょうか。ぼくも夜更かし&ネットでついつい朝まで起きていてしまうのですが、体調など崩されないようにお気をつけください。

メディアにしても新しいブームにしても、ちょっとやましい何かがあったほうが活性化すると思います。ただ、それが犯罪に使われるのはどうかなと、心配になります。自分の家は確認したいけど、あまり他人にはみられたくないものです。それにしても、お引越しのニーズは気付きませんでした。きっと不動産屋さんなどでは、活用するところが多くなるでしょうね。携帯電話で使えるようになったら、もっとすごいと思うのですが。

胡瓜さん、地図マニアなんですか(笑)この地図は歩けるところがいいと思います。しかも、見ている世界は仮想世界ではなく現実世界なわけなので、とんでもないものが出てきちゃったなあ、という感じです。さらに、実はグーグルカーでのろのろ走りながら、ひとつひとつ撮影している伊能忠敬的な制作方法もすごいと思いました。

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