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2008年9月 9日

[DTM]朝が待ちきれない。

えーと、恥をかきましょう(苦笑)。日曜日に公開した久し振りの趣味のDTM曲「凍える痛み。」ですが、どうも暗くて気に入りません。感情の暗い部分に焦点を当てて作ったので暗い曲調は当然なのですが、ノイジーでダークな音楽はぼくがめざしているものなのか、と。闇があるからこそ光も輝くものですが、暗い部分ばかりみていたくない。自分のなかにある光を信じていたい。

というわけで、自分が作った曲で鬱屈とした気分を変えてくれる曲はないか、光に溢れている曲はないか、と探したところ、10年以上も前の自作曲に行き当たりました。

久し振りに聴いたのだけれど恥ずかしい。恥ずかしいけれど元気が出る。まだカセットテープで作っていた時代の遺産であり、ノイズリダクションを切ったまま音声ファイルにしたので、ヒスノイズ(しゃーっという音)がひどいのですが、えいやーと公開してしまいます。ボーカル入りです(若気の至りだ・・・)。歌詞も掲載しておきます。

■朝が待ちきれない。 (4分14秒 5.87MB 192kbps)

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朝が待ちきれない。  1995.8.26
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詩・曲・プログラミング・Vocal BirdWing

眠れない科学者たちが 祈りを捧げる夜
窓を開ければキンモクセイの懐かしく甘い香り

きみからの便りがぼくの心を癒してく
目が回りそうな毎日だけど何とかやっていける

遠ざかってく諍いや焦りのとき
近づいてくるきみの笑顔 そうさ

地球を転がして きみに会う朝を呼び起こそう
3万6000秒の長いときを超えて

確かめよう やり直そう 途切れたページの数々
朝が待ちきれない やりきれない夜を蹴とばしたい

ステップを踏んで駆けてく 迷える羊たち
バスルームの窓から差し込む明るい月の光

思い出す ラジオに耳を傾けた頃
夜明け近くに 聴いたメロディ そうさ

地球を転がして きみに会う朝を呼び起こそう
3万6000秒の長いときを超えて

確かめよう やり直そう 途切れたページの数々
朝が待ちきれない やりきれない夜を蹴とばしたい

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たぶんこの曲を作ったのは、小沢健二さんの「犬は吠えるがキャラバンは進む」などのアルバムが流行っていた頃だったと記憶しています。ネオアコ系(要するに渋谷系、でしょうか)のバンドだったので、打ち込みとはいえ、そちらの方面の音づくりになっている気がします。しかし、イントロはモータウンのスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズのつもりだったんですけどね(苦笑)。ぜんぜんわからないですね。

大学時代の先輩に声をかけられて加入したバンドですが、真摯に音楽に向き合うバンドで、ぼくにとってはスタジオで練習する時間はかけがえのないものでした。音楽だけでなく、人生に対する考え方もそのバンドの音作りのなかで学んだ気がします(というのは、大袈裟かもしれませんが)。

3人編成もしくは4人編成というミニマムなバンドだったのですが、日曜日に4時間スタジオに入って終わったあとには、スタジオと同じ4時間をミーティングに費やすという気合の入れようでした。おれたちの音楽はどこをめざすのか、いまどんな音楽が素敵なのか、こんなの聴いてるんだけどどう?ということを延々と語り合いました。理屈っぽいといえば理屈っぽい。でも、しあわせな時間でした。

そのミーティングのなかで自作曲をプレゼンテーションするのですが、なにしろリーダーである大学のゼミの先輩とそのお兄さんという強力なシンガーソングライターがふたりいて、そのふたりの楽曲に絶対に勝てない。おどおどとテープを持っていって聴いていただくと、けちょんけちょんにけなされることも多く、うまく取り上げてもらうことができたとしても、ドラムはこう叩いて、ギターはこう弾いてなどと指示などできるわけもないので、困惑するばかりでした。いまでこそ言えるのですが、好きでやっていたはずのバンド活動が真剣にストレスだった時期もありました。

しかし、どうしても自分の曲をアピールしたくて、夜を徹してひとりで黙々と曲を作ったものです。これはそのプレゼンに持っていったプリプロダクションのようなもので、当時はQY-20という玩具みたいなシーケンサーで打ち込んでいました。いま思うとその情熱を何か他のものにぶつけていたら・・・と、思ったりもします。でも、とにかく夢中でした。音楽を作っているとあっという間に時間がすぎて、気付くと空が明るくなっていた、ということが何度もありました。

ボツになる曲が多いなかで窮地に立たされていたこともあるのですが、起死回生をねらって、ふっと力が抜けた瞬間にできたのが「朝が待ちきれない」でした。

当時、ぼくが住んでいたアパートの周囲にはキンモクセイの樹が多く、秋にはものすごくいい匂いに包まれて目が覚めたものです。そのしあわせな気持ちを思い出しながら、喧嘩した彼女と仲直りをする朝について歌いたかった。眠れなくて辛いのだけれど、しあわせな辛さです。会いたい気持ちが、あらゆるネガティブな気持ちを払拭してしまう。過去はうっちゃって、とにかく彼女に会いたい・・・そんな歌詞の世界です。若いですなあ(笑)

レンアイにピュアな時期は遠く過ぎてしまい(遠い目)、何かと複雑な人生をいきていますが、できればこういう気持ちは失いたくないものです。別に誠実ぶろうとしているわけではないけれど、どんなに不器用だとはいえ、こういう風にしか生きられない、という生き方はある意味清々しいものではないでしょうか。変えられないし、変わらない。でも、それでいいのではないか。

若気の至りとはいえ、現在の曲作りにはない勢いと誠実さも感じます。10年前の自分にまさか元気付けられるとは思ってもみなかったのですが、音楽を作ること、記録しておくことはすごい。というわけで音楽に救われた気持ちのまま勢いでエントリーしてみました。あとで引っ込めてしまうかもしれないですね。

そういえばバンドで演奏したビデオもあったけなあ・・・。どこにしまったのか忘れましたが。

投稿者 birdwing : 2008年9月 9日 23:16

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