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2008年9月 7日

[DTM作品]凍える痛み。

夕方、外出して帰ってくるときに大粒の雨が降り出したのですが、部屋に入るとものすごいカミナリと大雨になりました。どんがらがらがら、どしゃどしゃどしゃどしゃーのような感じ。夕立といえば夏の風物詩ではありますが、東京都内の最近の天候はやはりおかしい。風物だなあ・・・とのんびりかまえていられないものがあります。地球の悲鳴が痛々しい。

今週はブログに書きたいテーマがたくさんあったのですが、なんとなく気分が乗らずに断念しました。ちなみに以下のようなことを書きたいと思っていました。もしかすると遡って書くかもしれませんが、メモしておきます。

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■二コラ・テスラつながり。
「シガレッツ」という映画で知ったのですが、ニコラ・テスラはエジソンと並ぶ発明家だそうです。偉大なサイエンティストの名を冠したテスラモータースについて先日はエントリで触れてみたのですが、気になると情報を目にしやすくなるもので、東京IT新聞という業界誌の9月2日号を読んでいたところ、インテルがニコラ・テスラの考えていた無線による電気供給システムを開発しているという記事がありました。シロウトの感覚では、無線で電気を供給されるとおっかなくて仕方ないのですが、コンセントがいらなくなるということでしょうか。感電しそうで怖いのですが、便利だろうなあとは思います。ブログ(英語)では、ワイヤレス電源システムのビデオを観ることができます。なんとコイルから供給されて電気が点いてる。うーむ。

■クロームの衝撃。
突如として発表されたグーグルのブラウザ「Chrome」。もはや各方面でセンセーショナルを引き起こしていますが、ぼくも使ってみて圧倒されました。凄い。まずデザインが美しい。そしてシンプルです。さらに、新しく採用したレンダリングエンジンのV8の威力のためか表示が速い。タブウィンドウでありながら、ドラッグするとウィンドウを分離できる機能も素敵ですが、シークレットウィンドウというクッキーや履歴を残さない特別なウィンドウも用意されていて、その解説のユーモアにグーグルの知性を感じました。ストリートビューでは賛否両論を巻き起こしていますが、やはりグーグルという企業のインテリジェンスには参りました。さて、コメディアンとビル・ゲイツ氏の対談によるCMを投下してVista販促とイメージ向上の巻き返しを狙っているマイクロソフト。ブラウザの面でどのように反撃するのか気になります。

■コンピュータは恋をするか。
黒川伊保子さんの「恋するコンピュータ」を読了。最初の著書らしく、他の本と比べると若干甘ったるいかなという印象を受けました。息子さんの胎内の記憶の話があったり、子供の成長とシステムの開発を同じようにみつめる視線が微笑ましく、科学者でありながら人間の感情という非常に曖昧な領域に思いを馳せる黒川さんの熱意に打たれました。

「青い風が吹いた」という言葉が想起するイメージにこだわる思考も科学とブンガクを横断する試みとして興味深く読みました。また、コンピュータが感情を持つためには、呼吸することが大事という発想が新鮮でした。ぼくらは文節で思考していて、その身体的な一区切りが思考にも影響を与えている。思考と身体、そして言葉は切り離せないものなのかもしれません。

448042458X恋するコンピュータ (ちくま文庫 く 23-1)
黒川 伊保子
筑摩書房 2008-08-06

by G-Tools

■ダウンロード購入初体験。
お恥ずかしいことに、いままでiTunesのダウンロードで曲を購入したことが一度もありませんでした(照)。しかし、某家電量販店のポイントが溜まったのでiTunes Cardを購入。ついにダウンロードで曲を購入してしまいました。記念すべきダウンロード購入の1曲目は、LotusLoungeの「Atem」です。150円なり。LotusLoungeは、夫婦で活動されているインディーズユニットですが、音作りの緻密さが参考になります。

ダウンロードしながら音楽の価値について少しだけ考察したのですが、ぼくは最近大物アーティストが展開するプロモーションのための無料配布がベストだとは考えていません。アーティストが自分の思いや能力を全力で注入した作品は、しかるべきお金をリスナーからいただいて当然だと思います。買っていただくという意識が緊張感を生み出すものであり、作品のレベルを高めることになるのではないでしょうか。だから胸を張って堂々と売っていいと思っています。たとえインディーズであろうとも、まったくの趣味の音楽であったとしても。

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ということを書こうかどうしようか迷いつつ、なんとなく夏バテのせいか気分が乗らなくてブログを書くのは断念して、結局のところ土曜日と日曜日にかけて久し振りに夕鶴状態で自室のPCに向かい、趣味のDTMの曲を作ってしまいました。新しい曲のタイトルは「凍える痛み。」としてみました。

残暑の厳しい東京では凍えるというよりも蒸し暑くて仕方がないのですが、突然のゲリラ豪雨に打たれて、びしょぬれのまま仕事をしていたら、クーラーの利いたオフィスで寒くてかなわなかった。なんとなく惨めな気持ちになりました(苦笑)。そんなせつない気持ちを音にしてみたので、ちょっと暗めで、投げやりな曲になっています。

というのは冗談ですが(笑)、焼けるような痛みもありますが、冷たくエッジの尖った刃物で心を切り裂かれるような痛みもあるものです。涙を流すかなしみというよりも、乾いた心を静かに塞いだまま空を仰ぐようなやるせなさを曲にしてみたいと考えていました。ひりひりと心が擦れるような感覚でしょうか。ブログで公開します。こんな音になりました。


■凍える痛み。 (3分10秒  4.34MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing


今回の曲で、直接影響を受けたのはコールドプレイだと思います(タイトルの「凍える」も影響あり)。金曜日に会社の帰りに、タワーレコーズに行って久し振りに試聴三昧をしたのですが、再度コールドプレイの新しいアルバムを聴きなおして、なんとなく惹かれるものがありました。ちなみに、そのほかに気になったのは9月に来日するEpic45の再発アルバムと、ステレオラブの新譜でした。小遣いを貯めているので買いませんでしたが、かなり長時間、試聴機を陣取って聴いていた気がします。あやうく全曲聴いてしまうところだった・・・。

B0018CZQVC美しき生命 【通常盤】
コールドプレイ
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) 2008-06-18

by G-Tools

作り方としては、同じピアノのフレーズを繰り返しただけの、非常にミニマルな作り方です。そのフレーズに、さまざまな音を加えたり、フレーズ自体を切り貼りして構成しています。今回は、久し振りにフリーのVSTiを利用しまくりました。冒頭の、フルートのような音はtapewarm。テープをセットして音を再現したサンプラーのはしりであるメロトロンのような音がでます。つづいてシャープなリズムの音は、中近東のパーカッション音源であるTakim。さらに、ストリングスとベースは、多用させていただいているSUPERWAVE P8です。

残暑も落ち着いてきて、やっとヘッドホンを被っているのが苦にならなくなりました。ぼくにとって趣味のDTMはブログを書くことと同じような表現手法なので、そのときどきに感じたことを音にしていきたいと思っています。もちろん作品=現実の自分ではなくて、そこには必ず表現者としての距離感もあります。しかしながら、冷たいPCのなかで生まれる音たちに、少しでも感情のあたたかさや心を打つ何かを込められるようになりたいものです。

今回の曲では、あえて凍えるような痛みを表現しましたが、できればあたたかい気持ちについても表現できるといいですね。

投稿者 birdwing : 2008年9月 7日 19:52

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