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2008年8月30日

パーツで組み立てる。

少年の頃には、分解と組み立てに興味を惹かれたものでした。あらゆるものを分解し、その成り立ちを理解したかった。一方で、パーツを組み合わせて次第に形になっていく過程のわくわくする感じに夢中になりました。

最近、玩具屋に行ってもプラモデルの肩身が狭くなっている印象を受けますが、ぼくらが子供の頃には小遣いを貯めてプラモデルをよく購入したものです。うまく完成しなくて凹んだり、高価なキット(といっても、3,000円程度)に憧れて店頭でうっとりしたりした記憶があります。その記憶がモノづくりや創作の原点になっている、というのは言い過ぎでしょうか。

枕元に置いて眠れないときはめくっている集英社文庫の谷川俊太郎さんの「二十億光年の孤独」という詩集には、山田肇さんが次のような解説を書かれていました(P.164)。

当時、谷川さんには鬱屈を忘れる三つの趣味があった。模型飛行機づくりとラジオの組み立てと詩をつくることである。
4087462684二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9) (集英社文庫 た 18-9)
川村 和夫 W.I.エリオット
集英社 2008-02-20

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18歳になった谷川さんは集団生活に馴染めずに、教師に反抗したり不登校をしたり悶々としていたらしい。一見するとばらばらにみえる、模型飛行機づくり/ラジオの組み立て/詩をつくること、ですが、この3つが組み合わさると谷川俊太郎さんの詩がみえてくるから面白い。

「二十億光年の孤独」の詩集には、空を滑空するすがすがしさがありながら、どこか理系の緻密さで言葉が組み立てられています。結果として詩をつくる趣味によって、社会からドロップアウトしそうな谷川俊太郎さんは詩人として救済されるわけですが、ひょっとするとラジオの開発者になっていたかもしれません。

川上弘美さんにも感じるのだけれど、ぼくは理系出身のどこか無機質な感覚で情緒を描くような作家が好みのようです。村上春樹さんも最初はそんな空気があったかもしれないですね。観察者としての冷めた視線がありながら、どこかあたたかい。そんな文体。

28日に「スティーブ・ジョブズ 神の交渉力」という本を読み終えました。

4766710487スティーブ・ジョブズ神の交渉力―この「やり口」には逆らえない! (リュウ・ブックスアステ新書 48)
竹内 一正
経済界 2008-05

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この本のなかでも、ジョブズ少年の組み立てへのこだわりが書かれていて興味深く読みました。少年の頃から凡人とは違う能力を発揮していたようです。次のエピソードはすごい(P.123)。

十三歳のころ、エレクトロニクスへの強い好奇心を抑えきれなくなったジョブズは、電子回路の周波数を測定する周波数カウンターをつくろうと考えた。ところが肝心の部品が不足していた。まだ子供である。こんなとき、親に買ってもらうか、つくるのをあきらめるはずだ。

確かに手が届くもので妥協したり、代用するかもしれない。でも、ジョブズ少年は諦めませんでした。

ジョブズ少年は違っていた。キーマンを探しアタックをかける。なんと、シリコンバレーで急成長し、「フォーチュン500」(ビジネス『フォーチュン』の企業ランキング)にもランクされる成功企業ヒューレット・パッカードの社長ビル・ヒューレットにいきなり電話をかけたのだ。
二〇分も話をした上、部品を送ってくれと頼む暴挙に出た。
「電話帳に載っていたから」というのがジョブズの言い分けだが、成果はあった。大企業の社長が見ず知らずの子供に部品をくれた上、「夏休みにヒューレット・パッカードの製造ラインで組立のアルバイトをしないか」と声までかけてくれたのだ。

すさまじい交渉力ですね。手に入れるためには、とことん押しまくる。アップルやピクサーという企業に有能な人材を集める説得にも長けていたようですが、ある意味、人材も彼の夢をかなえるための「部品」だったのかもしれません。それにしてもこの熱意があるからこそ、彼は永遠にひとの記憶に残るようなスピーチもできたのでしょう。

ところで、最近さまざまなウェブのサービスでウィジェットというものが登場しています。これもさまざまな道具を組み合わせて、自分なりの使い勝手のいい道具をつくる組立方式がメリットだと思います。ブログパーツもさまざまなものが登場していて、コードを生成して貼り付けるだけでブログが賑やかになる。もはや懐かしくなりましたが、脳内メーカーというものもありました。

少し前に楽しそうだと思ったのは「アイラブメーカー」でした。

■アイラブメーカー
http://ilovemaker.com/

080830_ilovemaker.jpg

広末涼子さんが、モバゲータウンのCMでI Love FreeというロゴのTシャツを着ていますが、そんなロゴを作ることができる。実際にオリジナルTシャツも発注できるようです。ちなみに広末涼子さんのCMはこんな感じ。

アイラブメーカーにはみんなの作成したロゴが掲載されているのですが、面白いのは、限られたロゴのデザインを別の意図で使っているものがあること。たとえば踊っている人物の手だけ使って「HELP ME」のようなロゴを作っているひとがいました。パーツに注目すると発想も広がります。

というわけで、ぼくもひとつ作ってみました。これです。

はうあああ。くだらないものを作ってしまった(涙)

真面目にエントリを書こうと思ったのですが、しょうもない終わりになってしまいました。いろいろと思いついたパーツを組み合わせてみたのですが、最後の部品は別の何かに組み合わせたほうがよかったのかもしれません。

投稿者 birdwing : 2008年8月30日 23:50

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