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2009年3月 1日
[DTM作品] YOKO(陽光)。
春はどこへ行ったんだろう。東京では寒い日々が続いています。雨が多いのですが、先週は雨どころではなく雪まで降りました。ぼたぼたと落ちてくる大きめの春の雪を眺めながら、風流というよりも寒さの意識が先行していたような気がしました。とにかく、さみー。さみー・でいびす・じゅにあ(意味不明)。
寒さのために身体も縮こまりがちですが、こころも縮こまってしまう。なんとなく冷え込んだ気持ちを立て直すために、久し振りに土曜日から趣味のDTMに没頭することにしました。できれば、あたたかい春の日差しのような曲が作りたかった。ゆったりと穏やかな曲もいいけれど、テンポがあって気分が高揚して明るくなれる曲がいい。
ところが、久し振りに音楽制作ソフトDAWのSONARに向かってみると、どうも調子が出ません。というよりも、作り方自体を忘れてしまっている。
愕然としました。ブログもそうですが、継続して書いていると習慣でエントリを書けるものですが、しばらくインターバルがあると書くのに抵抗がありますね。そして、ソフトウェアやアプリケーションも、離れていると操作の方法自体がわからなくなる。ピアノロールの画面を前にして途方に暮れました。
スポーツも同様だと思うのだけれど、身体で覚えているようなところがあり、アタマではわかっていても身体感覚を取り戻せないとうまくできない。
そんなわけで、打ち込みのリハビリという感じで作った作品です。タイトルは「YOKO(陽光)。」としてみました。今日も天気のぱっとしない一日でしたが、春のあたたかい日差しを想って作りました。ちなみに、女性の名前のヨウコさんではないですよ。ヨウコさんといって思い出すのは、ジョン・レノンが生涯ひたむきに愛した女性であるオノ・ヨーコですが。
■YOKO(陽光)。(2分49秒 3.86MB 192kbps)
作曲・プログラミング:BirdWing
曲を作るにあたって、どのような文脈を参考にしたかということはなかなか難しく、どちらかというと自分のなかにある音を引き出してきた感じです。リハビリということもあり、あまりとらわれずに自由に作ってみたかった。打ち込み感覚を取り戻すということで、基本的なテクノ感を大事にしました。打ち込みらしさに忠実にあること、でしょうか。
しいていえば、80年代の洋楽の感じかもしれません。かつても書きましたが、スクリッティ・ポリッティとか、ハワード・ジョーンズとか、ペット・ショップボーイズとか。どの曲とはいえませんが、ぼくのなかにあるそんなミュージシャンたちの記憶です。
■Scritti Politti - Absolute
クールだけれど、あたたかい音があると思っています。無機質な電子音でありながら、包み込むようなあたたかさがあるシンセサイザーの音のように。というのは80年代に生きてきた人間だからこそ感じる印象かもしれません。音の背景に、過ごしてきた学生時代の思い出などを重ねるのでしょう。とはいえ、ぼくは個人的には、オルゴールの音、サックスの音などに透明な響きとともに洗練されたぬくもりを感じています。
今回はSONAR付属のTTS-1のプリセット音のみで制作しました。テナーサックスの音をプリセットで入れましたが、きっと本物の音にはかなわない。最近、菊地成孔さんとか、コルトレーンなどを聴いていたせいで、サックスに対する憧憬が高まっているのだけれど、聴くのと創るのでは大きな違いがあります。
所詮、シンセサイザーはまがいものであり、サックスの「ような」音しか出ない。けれども吹けるようになるためには才能も要求されるわけだし、ぼくは憧憬を擬似的な音で追求していきたいと考えています。
楽曲的には、仕事の最中にアタマに浮かんだメロディ一発勝負で、ほとんど最初から最後までそのモチーフを利用しています。忘れないように口ずさんだりしていました。しかし後半で転調をして、そのまま終わりました。転調したあとの展開部分はありがちなコード進行で、どうかな?とは思っています。
しかし、リハビリという意味では、ありふれた展開部分が楽しかった。創造的な意味ではクリエイティビティに欠けるかもしれませんが、自分にとって近しかったり好きなコードで曲を作るのは、とても心地よいものです。
ほんとうは作り手の立場としては、聴き手のことを考えなければいけないことはわかっているのだけれど、自分を救済するためには、ホームグラウンドのような場所を持っておくことは大切なことかもしれません。自分を見失ったら帰ってくることができる何かを維持しておくことは、とても大事だと思います。
それにしても、はやく春が来るといいですね。
投稿者 birdwing : 2009年3月 1日 18:59
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