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2009年3月27日

3月を見直してブログのこれから。

ブログとは何か、ということを考えることは、自分とは何ものか、どこからやってきてどこへ向かうのか、ということを考えることのようで、なんだか照れくさいものです。けれども時折、ここでこうして書いていることの不思議さとその意味について、考えずにはいられません。

かつてのようなブログのブームはすぎてしまったとしても、ぼくはまだ書きつづけています。何度も中断したり、閉鎖してしまおうと悩んだり、もっと日記のように気軽に書いたらこんなに辛くなることもないのではないのか、と隣りの芝生を遠目に憧れてみたりしたけれど、まだ書いている。よいことなのかどうかはわかりません。ブログに没頭する膨大な時間をほかの何かに費やせば、もっと別の人生があったかもしれない。けれども、ある意味、こう生きるしかなかった、というのがいちばんの理由でしょうか。

日記なのかブログなのか考えずに、思うがままに書いていたときには、ほんとうにしあわせでした。日付変更線を超える2時間ばかり、仕事で加熱したアタマをビールで冷やしながら、PCの画面に向かってさまざまなことをひとりで考える。楽しいこともあれば、かなしみに打ちひしがれているときもあり、怒りもある。映画を観たときの感動もあれば、日常の瑣末なできごともある。いくつかのネタをどう料理しようか、文章にまとめようかと考える時間は、とてつもなくしあわせな時間でした。それでいいんじゃないのかな、と、たまに考えます。別にたいそうな理由がなくても、そうやって淡々と書けばいいのではないか、と。

いつからか、書くことの至福な時間を見失ってしまっていたように思います。最近は、書こうとすると苦痛を感じるようになりました。ブロガーとは何なのかわからずにブロガーであろうとしたこと、ことばでだれかを救いたいという身のほどを超えた大義とか、自分にはあまり興味のない話題にあえて挑戦しようとか、そんなむちゃを企てたせいかもしれません。等身大のことを書くこと。自然にうちなる何かに突き動かされて、いずみのように溢れてくる何かをことばに絡めとること。それが大切なはずなのに。

訪問していただいて、稚拙なぼくの文章を読んでくれているだれかの視線も気になっていました。その視線に自由を奪われていたところもあります。だれかの言うことに耳を澄ますことは大切ですが、自分というものを確固として持っていないと、だれかのことばに翻弄される場合もあります。こういうことを書くと嫌われるだろうなと思って口をつぐんでしまったり、ウケを狙って書きたくもないテーマで書いてみたり。ほんとうは違うんだけれど、と違和感とだれに向けて発しているのかわからない前口上を呟きつつ、固定されたイメージの枠のなかで、過去の確固としたブロガー像から逃れられずに、惰性のまま書きつづけてしまう。

自意識の問題かもしれません。しかし、何かを表現するにあたって、読者としての他者や自意識から解放されて書くことは難しい。特に炎上することがなかったとしても、そんな内なる葛藤に疲れて、ブログを辞めてしまうひとも多いのではないでしょうか。具体的な敵対する他者よりも、自分の内側にいる批評家の辛辣な指摘に負けてしまうこともあります。

それでもぼくは、自分で選んだこのスタイルに覚悟を決めて、これからも書きつづけようとする意思を確かめています。

ブログの模様替えなども考えながら、あらためてアーカイブページ(こちら)に並んだタイトルを眺めて、よく書いたものだなあ、と自分にあき・・・いや、感心しています。酷いエントリも多々ありますが、それもまた過去の経験です。嫌悪感を感じるのであれば読まなければいいし、わからないひとにはわかってもらおうとも思わない。そもそも既成のブログサービス(はてなでした)から逸脱して、自分でサーバーを借りてブログを構築したのは、読んでほしくないひとからの過剰なアクセスを避けたいという意図もありました。ひっそりと世間から離れた場所で、隠遁のようなかたちでブログで好きなことを書いていたかった。

長期的にブログを書いていて面白いのは、去年の3月、おととしの3月というように、時系列で輪切りにしてそれぞれの3月のできごとを比較できることですね。ブログに限らず、5年日記のようなものを書いているひとは、そんな風に過去の同じ月のことを比較できることと思います。読んでいるひとにはわかりにくいかもしれませんが、ぼくはどうやら3月から4月にかけて毎年、情緒不安定なようです。読み直して、どひゃー穴があったら嵌まりたい(いや、入りたいか)という恥ずかしさを感じました。しかし、遠い過去の3月を懐かしく見直しています。

本日で2004年から2009年までのエントリー数は543です。しかし、過去のブログから移行して公開していないエントリがあと523あります。つまり、いま公開されているのと同様の数のエントリが、システムのなかに眠っているわけです。どうしようもない酷い記事は非公開の闇に永遠に葬り去るとして、時間のあるときに過去の記事も復活させていきたいと考えています。

ちなみにメモしておくと、ブログの模様替えとしては、mp3プレイヤーを変えたいということと、できればサイドメニューの月別のリンクをAjaxのメニューにしたい。月別の部分をクリックすると、毎月の項目がうにょーと表示されるような感じです。Ajaxのライブラリから借用すれば特に問題なくできるはずだと思っていますが、なんだか腰が重い。そんなわけで手付かずです。

ときどき、こんな風に自分のこと、ブログのことを見直しながら、ゆっくりと進んでいくことにしましょう。今週は春なのに寒い日がつづいています。はやくコートを手放すことができるといいですね。

東京のサクラも(ぼくの家の近くですが)わずかに開きはじめました。

投稿者 birdwing : 2009年3月27日 02:10

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