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2010年1月24日

[DTM作品] Fine after cloudy

はやいペースですが、先週に引きつづき趣味のDTMでまた新曲ができました。"なんちゃってジャズ"第2弾です(笑)。

柳の下に泥鰌を探しつづけることが自分流の切磋琢磨、なのでしょうか。よくわかりません。とはいえ、テクノやエレクトロニカのぴこぴこサウンドはお休みにして、もうすこし別の音楽スタイルを徹底的に追求してみようと考えました。ぼくの苦手な3連符系の音楽です。

今回はジャズっぽい雰囲気を大切にしながら、わずかばかりポップスの明るさを心がけてみました。構成は前回と同様、ピアノ、ベース、ドラムスのトリオによる打ち込みです。

俳句に似ている気もしますが、五・七・五という枠のなかでことばの世界を構築するように、楽器の構成を決めてしまうと、あとは決められた枠内でどのように打ち込むかに集中できます。音色の選択やそれぞれのアレンジを考える必要がなくなるので、その分だけ負荷が減ります。

といっても俳句が個々のことばの研ぎ澄まし方が重要になるように、個々の楽器のきめ細かな音づくりが必要になります。さらに苦手な3連符のノリなので、いまひとつまだ修行が必要、なのですが。

タイトルは「曇りのち晴れ」。日本語でもいいかなとおもいつつ、英語で「Fine after cloudy」としてみました(合っているのでしょうか)。ブログで公開します。お聴きください。
 
 
■Fine after cloudy(3分28秒 4.76MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing
 
 
1月。寒い日がつづきますね。午前中は晴れたと油断していると午後からにわかに雲ってしまったり、曇り空の寒い日だなーと襟を閉ざしていると、急に晴れ間が広がったり。太陽が出ていても風は冷たい。耳たぶや鼻が痛くなります。童話にあるような、北風と太陽の根競べのような、曇天と晴天がめまぐるしく変わる天候を曲にしたいと考えました。

マイナーコードからはじまって、サビでメジャーに展開します。安易ですが、この展開によって「曇り(かなしい空模様)」から「晴れ(明るい青空)」を意識しました。けれどもサビの部分にもマイナーコードを残して、すっきりと晴れてしまわずに雲の合間からわずかに陽が差し込むような音をめざしました。快晴というわけではなくて、雲の多い晴天です。

なんとなくサビのコード進行は、小室哲哉さんっぽいかな、というのが気がかりです(苦笑)。仕方ないですね。80年代、デビュー前のTMNのPVを渋谷で観て、衝動的にJUNO-106というシンセサイザーを分割払いで購入したひとなので。誰も知らないとおもいますが、TMNの1枚目のアルバム「RAINBOEW RAINBOW」は、個人的にはニック・ヘイワード(ネオアコでは有名なヘアカット100のミュージシャン)テイストの雰囲気がある名盤だとおもいます。

B00005G4STRAINBOW RAINBOW
TM NETWORK
エピックレコードジャパン 2000-03-23

by G-Tools
B0000076E8風のミラクル [+9]
ニック・ヘイワード
BMGインターナショナル 2000-04-21

by G-Tools

曲を作っている最中、いやー楽しかった。ギターやピアノを弾いていると時間を忘れるというひとが多いけれど、正直なところ、ぼくもPCの画面に向かってマウスで音を置いていくと(ほんとうに!)時間の過ぎるのを忘れました。楽しくて仕方がない。

読み手のことを考えて書きなさい、聴き手のことを考えて曲を作りなさい、とよく言われます。しかし、過剰に受け手を考慮して創造すると、下手をすると受け手に媚びを売っているような文章や音楽になります。

創作に集中しているときは、ぼくにとっては、ほとんど自己満足の世界です。けれども、自分が読みたい文章や聴きたい曲を夢中で追い求めている。自分自身が第一の読み手/聴き手であり、まず自分という読み手/聴き手を満足させる必要があるのかもしれません。

で、いったいぼくの音楽はどこへ向かおうかな?と考えました。

クラシックを聴きながら、ジャズ的な曲を作ったかとおもうと、エレクトロニカを聴いていたりする。アコギによるフォークソングも好きです。

できれば柔軟にあらゆる音楽を吸収していきたいのですが、それでは曖昧なので、憧れをひとつひとつ検証した上で、ロジャー・二コルスのようなソングライティングをしたい、という目標を立ててみました。いま制作している音楽とはぜんぜん違っていて、どこが?という感じもあるけれど、それがぼくの趣味の曲づくりにおける究極の目標です。

ロジャー・二コルスはカーペンターズに曲を提供したことでも有名ですが、The Small Circle of Friendsというユニットで数枚アルバムを出しています。40年ぶりの新譜には、ドラムスは打ち込みでありながら、時代を感じさせないあったかさがあって感動しました。「懐かしさと新しさと。」というエントリーや「Full Circle」というアルバムの紹介をブログに書きました。

Fineつながりでとても好きな曲「Love So Fine」と「The Drifter」をYouTubeから引用します。

B001E2N5LYFull Circle
Roger Nichols & the Small Circle of Friends
NOW SOUNDS 2008-10-28

by G-Tools

■Love So Fine - Roger Nichols & The Small Circle of Friends

■"The Drifter" - Roger Nichols & The Small Circle Of Friends (1969)

こんな感じのポップスを作ることができれば、しあわせですね。あらためてロジャー・二コルスの音楽を聴き直して刺激を受けました。刺激といえば、先日観た「Little DJ」という映画にも、音楽に対する想いという意味でインスパイアを受けています。

素晴らしい音楽を作るために、たくさん映画を観る、たくさん本を読む・・・という方法論もあります。しかし、ぼくはまず「・・・のために・・・する」という姿勢に、どこか作為的で同感できない何かを感じてしまう。場合によっては「たくさん」のほうが目的になって「こんなにたくさんの本を読んだぜ(音楽を聴いたぜ)」という量自慢になりかねない。

大切なことは、他人にはどうであっても自分が夢中になれる何かを探すこと、ではないでしょうか。どんなに知識を増やしても到達できない場所があります。難しい知識はなかったとしても、自分の素直な感情に向かい合うと、すっと自然にできあがる作品もある。

自分さえ夢中になっていれば、社会が晴れていても曇っていても、それなりにしあわせなのではないだろうか、などと考えています。

投稿者 birdwing : 2010年1月24日 09:50

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