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2008年1月22日
懐かしさと新しさと。
DTMを趣味としている自分としては、チェックして時々買ってしまうSound & Recording Magazine。
2月号の表紙はレディオヘッドです。さまざまな雑誌に露出過多で、もうそろそろいいんじゃない・・・という感じですが、それでも黒い背景にメンバーの写真がかっこいい。トム・ヨークではなくて、赤いセーターを着たジョニー・グリーンウッドが前面という配置もいいですね。トムはなんだか、ぽよよ~んという顔をしている。それはそれで雰囲気あるのだけれど。
しかしながら、実はぼくがこの本を購入したのは、たった2ページのインタビュー記事のためでした。じゃーん。
ロジャー・二コルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ!
昨年末に邦楽のフロアで彼等の最新アルバムを発見して購入してから、かなりヘヴィ・ローテーションで聴いています。陽だまりに寝そべっているようなしあわせな気分になれる。21世紀にこの音を出していることが信じられません。
雑誌に載っている写真のおじさん&おばさん・・・というよりおじいさん&おばあさんが、若々しいハーモニーを奏でているんですよ?
うーむ、ほんとうにまいりました。記事は最新アルバムについてのインタビューなのですが、まずキャッチコピーに「このメンバーが集まったのは25年ぶり/ポール・ウィリアムスとの共作も34年ぶりなんだ」とあります。長い(泣)。アルバム自体は40年ぶりの2ndだったりします。
しかしながら読み進めてにやりだったのは、DAWを使っている。で、びっくりしたのですが、ドラムはなんと打ち込み。FXPANSION BFDを使っているとのこと。わ、わからなかった。ドラマーが叩いていると思いました。打ち込みだったのかドラム。引用します(P.35)。
●新録曲のドラムはすべて打ち込みですか? ○その通り。Digital Performer 5 でプログラムした。音源はFXPANSION BFDで、特にこだわりがあるところ以外はすべてクレイにまかせた。ちなみにベースの大半は僕がエレキベースを弾いているが、SPECTRASONICS Trilogyを使っているパートもある。 ●ストリングスは? ROLAND JV-80とJV-880をミックスして使っている。2つの異なるパッチをブレンドする音作りが好きなんだ。もちろん、新録曲以外は当時のストリングス・セッションをそのまま収録しているが、クレイの腕前のおかげでそれほど違和感はないはずだよ。
違和感ないない(激しく横に首振り)。ちなみにクレイというのは、エンジニアのクレイ・スミスとのことで、1970年代の音源に新しいボーカルを重ねるなどの処理をしながら作っていったそうです。ついでに、ロジャー・二コルスはベース弾くのか。やるなあ、二コルスじいさん。
1stアルバムにも収録されている「The Drifter」については、以下のように語られています。
●「The Drifter」ではオリジナルにおいて少し控えめだったメリンダのボーカルがかなりフィーチャーされていますね。 ○この曲に関しては、今なら昔のアプローチよりももっと優れたボーカル表現ができると思ったのでトライしてみたんだ。こちらの方がずっと気に入っているよ。現代では昔に比べて編集による音作りが容易なので、僕らもその恩恵にあずかっている。ちょっと聴くと大丈夫なようでもよく聴くとミス・トーンになっているところなんかを、正確なテイクに差し替えたりしている。ハーモニーでは何よりも正確なチューンが大事だからね。
DAWでは音の切り貼り、テンポがずれているところを合わせたりピッチの調整などが可能なのですが、ぼくはこのアルバムはそんなテクノロジーとは無関係に作られたものだと勝手に思っていました。けれどもきちんと最先端の技術を使って、しかも懐かしくあったかいサウンドを究めている。素晴らしいなあ。
ぴこぴこ電子音を奏でるだけがテクノロジーではなくて、生音を加工して聴きやすくすることにも技術は活用されます。いや、オレはアナログ派だ、デジタルなんて大嫌いだ、というアーティストもいるかと思うのですが、最新の技術を取り入れつつも40年前とまったく変わらない音楽を奏でているロジャニコにしなやかなクリエイターとしての感性を垣間みたような気がしました。
+++++
アルバムはこちら。
フル・サークル ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ Amazonで詳しく見る by G-Tools |
以下のサイトで「フル・サークル」の試聴が可能です。1曲150円でダウンロードもできます。ぼくのおすすめは、1、2、3、4、5、12。
■MUSICO Roger Nichols & the Small Circle of Friends
http://musico.jp/contents/contents_index.aspx?id=tYTZG
投稿者 birdwing : 2008年1月22日 23:56
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2 Comments
- ぽろり 2008-01-24T22:36
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うわーっ、ドラム打ち込みだったんですか!!全然わからなかった。これは悔しい。。。実は、「フル・サークル」は幸運にも知人が持っていて、焼いてもらって手に入れました!毎日ヘビロテです。打ち込みだということで意識して聴きなおしているのですが、やっぱりどこかジャストじゃないゆるさが良いなあと思います。この心地よい隙間感はどこから来るのだろう?恐るべしニコルスじいさん(ってなんだか物語の登場人物みたいで素敵です。笑)。
ラーシュ・ヤンソン・トリオについてもまとめてしまうのですが、先日のエントリは「Hope」(試聴しました)のやわらかい雰囲気がテキストから滲んでいるようで、素敵だと思いました。「Witnessing」もそうなのですが、癒し系ですよね。パーカッシブな件はいまだ謎なんですけど。。。
JAZZには詳しくないのでほんとに名盤しか知らないのですが、ひとつオススメを。コードが超・難解!なことで有名な、John Coltraneの「Giant Steps」です。YouTubeで気の利いたやつを見つけてきたので(笑)ぜひぜひ。→http://www.youtube.com/watch?v=2kotK9FNEYU
この動画、あんまりに親切で、あとピアノソロの扱いが雑で(笑。いいんですけどね、コルトレーンはサックスなので)噴き出しそうになってしまったのですけど。ピアノトリオではないのですが、こういうのはいかがでしょう?ということで。私は大好きなんですけどね。
それでは毎度ながら、長々と駄文で失礼します・・・。
- BirdWing 2008-01-25T01:33
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ぽろりさん、コメントありがとうございます。えーと、ロジャ二コとかラーシュ・ヤンソンとか、とりあえず置いといてですね・・・。
わはははは!!教えていただいたYouTube笑いました。面白い!面白すぎる!!最初はコード譜に目がいってしまったのですが、これ音符が動いてるじゃないですか!なんとなく♪くんと呼びたくなりました。とことこ歩いているみたいですね。ときどきジャンプしたり、こけたり。ピアノソロの扱いも確かに雑だー(笑)省略しすぎ。おーい♪くんどこ行った?という感じでした。いいですねー、これ。ぽろりさん、ご自身のブログに書けばよかったのに。というか、ぜひ書いてほしいんですけど。
サックスのアルバムはあまり聴いたことがなくて、ぼくが持っているのはソニー・ロリンズのサキソフォン・コロッサスぐらい。コルトレーンも聴いてみようかなあ。
実は、ラーシュ・ヤンソン・トリオを教えていただいたのは、ぽろりさんなんですよね。あらためて、ありがとうございます。そうなんです。「HOPE」はやわらかい音です。で、どちらかというと長めのトーンが多い。それに対して「Witnessing」は非常に短い音符の刻みが多い、と第一印象で思ったんですよ。コードバッキングというか。特に1曲目の最後は、どうやって弾いているのかわからないのですが、が、がっがっ、というピアノの演奏が入っていますよね。ギターでいうミュート弾きみたいな。あれがパーカッシブだと思いました。
おっ。ロジャ二コの1 枚目を購入されたということをブログで読みましたが、2枚目は焼いてもらったんですね。妬けるなあ(笑)なーんちゃって。ぼくもゆるゆるな感じが好きです。なんだか、ロジャ二コって、にこにこしているおじいさんという感じがしませんか?そのまんまなのですが(苦笑)、そんな穏やかなおじいさんになりたいですねー。
また音楽や面白い動画などを教えてください。ううむ、むちゃくちゃ長文のコメントを返してしまって困惑。ではでは
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