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2005年4月11日

安全を求めるよりも

一歩踏み出すと、踏み出してよかったと思うこともあれば、踏み出すんじゃなかったと後悔することもあります。踏み出した先に、あたたかい場所が待っていることもあれば、ハリのムシロが待っていることもある。

ブログや日記、そしてSNSも同じです。表現するという行為は全体的にそうかもしれませんが、表現したことに対してあたたかいコメントをいただいて「書いてよかった」と思うこともあれば、「書くんじゃなかった」と思うことも多い。

ブログによって個人の情報発信が広がりつつありますが、さまざまな新しいことも生まれている反面、ネガティブなことも生まれている。ブログが原因で解雇という事例もありました。

そこで非営利団体のEFFは、安全にブログを運用するためのガイドラインをまとめたようです。

■ブログで恥ずかしい思いをしないで済む方法~米EFFが注意事項を紹介

ブログが普及するにつれて問題も浮かび上がってきた。日記代わりに使っている人が、誰にも知られたくない考えをブログに書いてしまったために友人に知られてしまい、決まりの悪い思いをすることがあるかもしれない。もっと深刻な場合には、ブログで書いたことが元になり職場を追われることもあり得るだろう。こうしたことを踏まえて米非営利団体のElectronic Frontier Foundation(EFF)が、安全にブログを利用する方法をまとめた「How to Blog Safely」と題する文書を発表した。

気になる内容ですが、簡単に紹介されています。企業内において、個人ブログで記事を紹介する場合を想定しているようです。

例えば、劣悪な職場環境について書く場合は、同僚や上司に見つからないようにする必要がある。注意事項としては、詳細な事柄をけっして書かないことだという。

仕事の愚痴は読んでいてあまり気持ちがよいものではありませんが、どこかで発散したい気持ちというのもわかる。ただ、ブログに書いていないで、飲みに行って発散すればいいと思いますけどね。個人的には、愚痴をサカナに飲むお酒はあまり美味しくないので、美味しくお酒をいただくために、飲むときには愚痴はなし、ということにしていますが。

また、ペンネームを使用する場合にも自分の名前を想起させるようなものは使うべきではない。それに加えて、自分自身に関する情報を提供しないことが重要だ。例えば、自分や職場の同僚の誕生日を祝ったことに関する記述などに注意する。

推理できちゃうわけですね。しかし、あーあいつのことだ、とかストーカーみたいに推理している暇があれば、お仕事しなさい、という気もします。

これ以外にも、技術的に匿名性を保つ方法がある。例えば「Invisiblog.com」は無料で匿名ブログサービスを提供している。自分が接続しているIPアドレスをブログASPが記録している場合に備えて、自分のIPアドレスを隠すためのソフトウェアや「Anonymizer.com」という匿名サービスを利用することもできる。

なるほど。しかし、そこまでして。。。というやりきれないものがありました。

結局のところ、いちばん安全なことは「書かない」ことでしょう。人間観察に徹して、他人の書いたものを覗き見ていることほど安全なことはない。

表現に注意して、技術的にプロテクトをかけて、誰にも見られないような環境で書いて、はたして面白いのだろうか。日陰で書いたものというのは、どうしても内容も見せたくないものになると思います。もちろんポジティブな希望を隠れて書くこともあるかもしれませんが、一度ネガティブなループに引き込まれると、延々と続いてしまう。というのは誰かのコメントによって、方向転換することがないからです。

ブログには大きな可能性があると思います。いちばんの恩恵は、コミュニケーションです。メンタルケアという面では愚痴ブログも必要かもしれませんが、「王様の耳はロバの耳」的な場所にしておくのは、もったいない。ポジティブなループを作ることができると、自分をどんどん磨くことができると思います。

感情的な個人攻撃や愚痴の場ではなくて、ビジネスの理想や課題をきちんと語れるような、社会人として成熟した大人の企業内個人ブログ、というものが増えてほしいものですね。

投稿者 birdwing : 2005年4月11日 00:00

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