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2006年1月27日

バケツの穴を塞がなければ。

会社の話になりますが、ひとり優秀なベテランの社員が辞めるというお知らせがありました。もちろん、新しいひとも入社してはいるのですが、現在のスタッフがきちんとモチベーションを維持して働くことができる環境だろうか、まずそれが第一じゃないのか、と疑問を感じています。どんなに水を汲んだとしても、バケツの底に大きな穴が空いていれば、水は抜けていくばかりです。単純にひとの問題だけではなく、そのひとが蓄積したノウハウも零れていってしまうことになる。これでいいのでしょうか。そして、残されたぼくらに何ができるんだろう。

その辞めていく女性社員の方とは、ある新しいクライアントに提案して企画を立ち上げるときにいっしょに仕事をしたことがありました。非常に優秀でした。メールマガジンの編集を担当していたこともあり、匿名で書いていたにも関わらず彼女のファンができるほどです。その編集能力を生かして、今後はフリーで活躍していくとのこと。そのこと自体は、ものすごくいいことだと思います。困難だったとしても、成長できない環境でくさってしまうよりも、自分の力を発揮できる場所で仕事をするのがいちばんいい。会社に残るのは、勇気も実力も決断力もなく不満ばかりを抱えたぼくのような人間ばかりなのかもしれないのですが、優秀な人間を辞めさせないで活用できるような職場にできないものだろうか、と思います。もちろん優秀ではないけれども、生活していかなければならない自分も含めて。

以前、会社の数字について理解を深めるために、経営と財務管理についての本を読んだことがあるのですが(何という本か失念)、どんぶり経営はやめなさい、ということが書かれていて、人材採用は大事だが現状の売上げでそんなに採用が必要なのかどうか、まず人材を採らないで、いま所属しているスタッフでなんとかすることを考えなさい、ということが書かれていました。確かにその通りだと思います。売上があってこそ人材計画もできるわけで、売上が上がらないのに過剰に採用すれば、固定費によって利益が圧迫される。いま予算計画というのがはっきりみえないので、その辺りが非常にグレイです。

それに、もちろん新しいひとによって新風が吹き込まれることもあるけれど、逆にドクを注入されておかしくなることもある。新しいひとに過剰な期待をすることもどうかと思います。ぼくも転職を何度か繰り返しましたが、隣の芝生は青くみえるものです。新しいひとも、何かすごいことをやってくれるんじゃないだろうか、という期待があるのですが、そんなスーパーマンはあんまりいない。だいたい転職を考える人間は、そもそも不満が多かったりもするので(もちろん向上心から新しい境地をめざすひともいますが)、やっぱり同じように転職先の職場でも不満を持つようになります。現在の職場で実現できないことは他の職場に移っても難しいものであり、現在の人材を活かしきれていない会社は新しい人材を投入してもくさらせてしまう可能性があります。過去や未来をどうこう言う前に、このどうしようもない現在をなんとかしなければならない。

根拠なく永遠に人材募集を繰り返すこと(それも採ってどうするんだろう、という疑問が生まれるようなひとが募集されたりする)、事業としてどこを目指そうとしているのか、そのためにいま会社に残っている人材をどのように教育していくか(それも不透明)ということがわからないと、なぜ新しい人材にばかりこだわるのか、まったく意味がわかりません。

そんなぼくも、心にぽっかりと空いた穴を塞ぎつつ、頑張りたい。目にみえる穴であれば手で塞ぐこともできるけれど、みえない穴を塞ぐのは大変です。

投稿者 birdwing : 2006年1月27日 00:00

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