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2009年2月13日

答えが出ない、という答え。

結果を出すことがビジネスでは大事である、ということをいくつかのビジネス書で読んだ覚えがありました。過程がどうあれ結果を出すこと。ビジネスでは結果は数字です。数字とは、売上であったり利益だったりします。その数字を上げることが重要になる。

また、提出期限や納期を遵守することが求められます。どんなによいものができても、期限を過ぎたものは受け入れてもらえません。イベント当日に使うはずの資料が現場の開演時間に間に合わなければ大きな損失になるし、せっかくの機会を与えていただいたのに、プレゼンの時間に遅刻したらアウトです。内容よりも先に、基本的な前提条件といえるでしょう。

しかし、仕事を通じて考えたことがありました。確かに結果や期限も大事だけれど、答えが出ません、という答えもあるんじゃないか、と。

特に企画提案などにおいてですが、オリエンテーションが曖昧だったときに、確認を疎かにして推測で進行すると、まったくクライアントが求めていないものを提出してしまうことがあります。コンペなどの場合、一生懸命プレゼンした後で、うーん、説明したことと違うんだよなあ、と言わせてしまったら取り返しがきかない。結局のところクライアントの意図を正確に汲んだ他社に仕事を取られることになります。したがって、理解度の深さがシビアに結果を左右する。

ビジネスもまた、相手つまりクライアントあってのことです。ひとりよがりではいけない。自分勝手に、たぶんこういうことだろう、と最後まで進めてしまわないで、「このままでは答えが出せないので、確認したいのですがよろしいでしょうか」と途中段階で尋ねる勇気も必要になります。

恥ずかしいこともありますが、聞くはいっときの恥。確認してみたところ、ぜんぜん考えていたことと違うじゃん、と方向性が180度変わることもあります。このときに、どんなに時間をかけていたとしても、やっぱり違うと直感的に感じたものは、途中まで作成したプロトタイプ(試作)を捨てる勇気も必要です。このときに変に拘ると失敗する。もちろん粘るべきものもありますが、すぱっと無駄なものは切り捨てる潔さも必要です。

コミュニケーションの要諦かもしれないですね。試験の答案ではないのだから、わからないことがあったら訊く。こんなもんでいいだろうと勝手に思い込みで進めるよりも、不安があれば、こんな風に進めていますがいかがでしょう・・・と、途中段階で確認を取ったほうが好感を与えることもあります。

めまぐるしく状況や環境が変化する現在では、上司も確信をもって正しい方向性を指示しているとは限りません。しっかりしてください、と責めたくなるひともいるかもしれませんが、逆に舵を取るのに苦労している上司にかわって、方向性のアイディアを出してもらえると非常に有りがたい。そんな参謀的な人間は重宝されると思っています。

特にまったく新しい仕事では、過去に培ってきた方法論がまったく通用しないときがあります。そんなときには、初動の段階で気付いて軌道を修正すれば、大きな失敗を回避できることがあるでしょう。違うんだけどなあ・・・と思っているのに言わないのはよくない。問題になったとき、ああ、そういうば以前違うと思ったんだよね、と言うのは最低です。思ったのであればそのときに指摘する。あとから何か言うコメンテーターも企業には多いとは思いますが、事後であれば何とでも言えるものです。

舵取りの技術かもしれませんが、大きく進んでしまったあとで修正しようとするとリスクが大きくなる。スモールスタートで様子をみつつ、適した方向へ進路を修正していくことも大事なことでしょう。

また、答えが出なかったことによって、すべてが無駄になるかというとそういうことはない。答えが出なかったとしても、考えてきた過程は存在するわけです。その過程が別の機会に活きることもあります。

ビジネスだけでなく、人生全般においても答えの出ないことは多い。答えを出すことは多数の選択肢(オプション)を切り捨てることでもあるため、答えを出し続けることは選択肢をなくして生き方を狭めていくことにもなります。そんな先鋭的な生き方もよいのですが、盲目的になります。選択肢を多くすること、いくつもの選択肢を考えられることが、こころのゆとりかもしれません。

これしかできない、こうしか生きられない、というより、こんな生き方もある、こうも考えられるんじゃないか、と、可能な限りの答えを見出すことで、人生に少しだけ広がりができそうな気がしています。

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と、いうことで、ぼく自身もいま答えの出ない問題にはまっているわけですが、そんなときは一度こんがらがった思考を保留にして、深呼吸とともに気分転換をはかってみるのもいい。こじつけだけれど、先月、着手しながら放置したままの「シンコキュウ。」というDTM作品につけていた仮の歌詞を公開してみます。何度も推敲しながら最終的な答えが出せていません。

歌詞としてではなく、文芸的な詩として、少し改行の位置を変えてみました。楽曲も再掲載してみます。こちらは以後、ぜんぜん手をつけていません。いまだにカラオケのままです。メロディラインは、トロンボーンの音で入れてあります。

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シンコキュウ。
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詞:BirdWing


深呼吸
をして見上げた青空。
たなびく雲
は、未来の
軌跡。

とぎれた
指をつないで
誓った。
忘れない
ように、約束をした。

深く。
強く。

ここから明日へ
歩き出すために。

息を。
ためて。

鎮めたこころは
もう迷わない。

(間奏)

遠く。
近く。

ぼくらが地上で
探してる道標(しるべ)。

息を。
吐いて。

鎮めたこころは
もう迷わない。

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答えを出したら迷わない。そんな歌詞でしょうか。先日作ったプロトタイプを聞きながらカラオケとして口ずさんでみてください。歌ってくれるひと募集中(笑)。

投稿者 birdwing : 2009年2月13日 23:52

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