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2006年2月 5日

感情のエコロジー。

定期的に読みに行くブログがいくつかあります。RSSリーダーに登録してチェックしているのですが、頻繁にコメントを書き込むものもあれば、そうではないものもある。しかしながらコメントを書き込まないブログに対して無関心かといえばそんなこともなくて、ぼく自身はものすごく楽しみにしているものがあります。影響も受けている。

ぼくが気に入っているブログにはひとつの傾向があるようです。どういうものかというと、ときにはめちゃめちゃなことを書いたりもするけれど、そのひとの誠実な生き方が見えてくるようなブログ、のようです。そのブログについて、ここで紹介することもできるのですが、あえて紹介しないことにします。

隠れ家的なお店があったとしても、マスコミに取材されたなら、もう誰もが知っている有名なお店になってしまうものです。自分自身の心の隠れ家というものは、安全地帯にそっとしまい込んでおきたい。もちろんインターネットで一般に公開されている以上、ぼくだけのもの、というわけにはいかないですけどね。

いま茂木健一郎さんの「「脳」整理法」を読み終えたところですが、この本のなかに以下のような表現があり、ぼくが最近感じていたことでもあり共感を得ました。

大切なことは、ネガティブな感情は決して意味がないわけではない、と気がつくことです。否定的な感情も、私たち人間の生を支える「感情のエコロジー」の中で意味があったからこそ、進化の過程で生き残ってきたのです。
4480062629「脳」整理法 (ちくま新書)
茂木 健一郎
筑摩書房 2005-09-05

by G-Tools

めちゃめちゃに破綻するブログに惹かれるというのも、否定的な感情も含めてそのひとの生き方である、という観点に基づくような気がします。とはいえネガティブな感情というのは、かなりやっかいなものです。読んでいる方も影響を受ける。書けば、その言葉が持つイメージに蝕まれることもあります。そこでネガティブな感情との付き合い方としては、科学的な手法であるディタッチメント(認知的距離)という考え方を活用すべきです。

つまり、自分のなかにもうひとり観察者としての自分を置いて、距離を置いて科学的にその感情を観察するわけです。そんなこともブログに書いていたのですが、同じことが本のなかに書かれていました。

この数日で直感的な思考によってぼくがブログに書いてきたことが、この本のなかにすべて書かれていて、人間の知には新しいことというのはないのだな、ということをあらためて実感しました。というそのことまで、実は「「脳」整理法」に書かれていてちょっとびっくりもしたのですが。こんな文章です。

種々雑多なものにあふれている現代社会においては、何かを無から生み出したり、いままで知られていなかったことを「発見」したりするよりも、むしろすでにあるもの、世の中に存在して流通しているものを「整理」することこそが本来的な命題になっている、ということでした。

まさにぼくはブログでこの整理に注力していたわけです。やれやれ。整理した後次に何をするか、について考えたいと思っていたのですが、まだまだもう少し整理が必要かもしれません。あるいはずーっと永遠に整理しつづけるのかもしれません。片付けても片付けても、まだまだ片付かない部屋の掃除のようなものです。というかそもそも生態系(エコシステム)というのは、永遠につづく循環のようなものなので終わりはないのでしょう。

投稿者 birdwing : 2006年2月 5日 00:00

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