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2006年2月23日
書かずにはいられない。
ちょっと本屋行ってきます、と思わず言いたくなりました。
というのは、橋本大也さんの「情報考学 Passion For The Future」で「書きたがる脳 言語と創造性の科学」という本の紹介を読んだからです。ちなみにfinalventさんの「極東ブログ」でも取り上げられていて、実はそちらを経由して情報考学のブログを参照して、おっこれは面白そうだ、と思いました。というよりも、さらに正確に状況を説明すると「ドコモを育てた社長の本音」という橋本大也さんの今日の日記を読みながら極東ブログに進んだところで、またリンクを経由して戻っちゃったんですが。
気にいったブログはRSSリーダーに登録して(ぼくの場合、SleipnirというタグブラウザのRSSバーなのですが)、サマリーだけは目を通すように心がけているつもりです。タイトルで直感的にぴんときたものは、ブログにアクセスして全文を読むようにしているのですが、やっぱりきちんと読んだ方がいいな、と思いました。橋本大也さんには、すごいひとだと思います。読書量がハンパじゃありません。年間100冊も困難なぼくは足元にも及ばないのですが、刺激を受けます。
最初に、この本について実に簡潔にまとめられています。引用します。
ハイパーグラフィア(書かずにいられない病)とライターズ・ブロック(書きたくても書けない病)について、自ら両方の症状を経験した医師でもある著者が、脳科学と精神医学の視点で言語と創造性の科学に迫る。
ハイパーグラフィアについては次のような基準を引用されています。
著者によるハイパーグラフィアの基準: 1 同時代の人々に比べて圧倒的に大量の文章を書く 2 外部の影響よりも強い意識的、内的衝動に駆られて書く 3 書いたものが当人にとって哲学的、宗教的、自伝的意味を持っている 4 当人にとっての重要性はともかく、文章が優れている必要はない
うーむ、当てはまるかもしれない。というか、まさにその通りです。病気なのか。ただでさえ病気がちなのに、これ以上病気が増えては困ります。ただ、橋本大也さんの次のコメントに、なんとなくほっとしました。
私はブログを毎日更新するようになって約900日目だ。それ以前には3年ほどメールマガジンを定期発行していた時期もある。さらに遡ると大学時代はサークル広報誌の編集長兼ライターだった。日常的に物を書くという習慣は15年以上続いていることになる。思えば書くことや文字へのこだわりは子供の頃からだった。書かずにはいられない。軽いハイパーグラフィアであることは間違いなさそうだ。
900日!まずその日数に気が遠くなりました。
編集者というのは大変なお仕事です。以前に在籍していた会社で、ぼくも編集の経験がありました。いまでは企画というカタチのない仕事に就いていますが、取材(ときには写真撮影まで)をして、あるいはライターさんからの原稿を整理したりレイアウトを組んで、苦労して作った冊子が書店に並ぶときの嬉しさには格別のものがありました。それは、はじめてワープロを購入して自分の文章が活字になった、という感動をさらに拡大した印象だったかもしれません。その感動が次も何か創りたい、というモチベーションにつながっていく。
たぶんブログやSNSにはまっているひとたちは(そしてはまっているときは)、誰もが軽いハイパーグラフィアになりがちなような気がします。つまり、ブログ社会あるいはWebが進化した総表現社会は、ハイパーグラフィア増幅社会のようなものにもなりかねない。強烈な快楽をともなうものは、同時に強烈な毒にもなり得ます。一度、快楽を知ってしまうとさらに大きな快楽を求めたくなる。
そもそもこの無限ループが発生する理由としては、書くという作業がひとりで内的なものに向かい合う作業だからだ、と思います。ブログの投稿画面に向かうときも基本的にはひとりです。インターネットを突き抜けた向こう側には、現実のひとがいるわけなのですが、文字になってしまうとその肉体やリアルは失われてしまいます。だから、コメントも自分のなかで都合のよい他者として再構築してしまう。それは他者でありながら、自分の分身に他ならないかもしれません。
この無限ループを解除する方法が、まさに現実を認識すること、形而上的な結晶の世界だけでなく現実の泥沼を認めることだと思います。以下も情報考学からの引用です。
創造性を発揮するには、理性を失うほど病気に犯されていては難しい。ちょっと病的な傾向を持ちながら、社会性を失わない人たちが、文章の世界で活躍できるということになるだろう。豊富な臨床研究の調査と自身の深刻な体験から4年間考察にかけた本書は、プロ・アマを問わず物書きにとって極めて興味深い洞察と示唆に富んだ内容である。
ちなみに茂木健一郎さんも、この本のなかで何か書かれているようです。
ところで、梅田望夫さんのブログから、はてなの「はてラボ」という実験的なサービス開始に感動したのですが、最近、はてなはすごい、ばかりを繰り返しているので、きちんと使ってみた上でまた感想を書きたいと思います。
投稿者 birdwing : 2006年2月23日 00:00
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