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2006年3月24日

姿勢を正す。

梅田望夫さんのブログを読んでいたところ、トラックバックから引用されていた住太陽(スミモトハル)さんのブログを読み、ちょっと感銘を受けました。ということをストレートに書いていいのかどうかとも思うのですが、ぼくは自分がよいと思ったものに対しては率直な感想を書きたいと思っています。かっこつけて気取ってみてもしょうがない。年上であろうと年下であろうと、権威的であろうとなかろうと、よいものをキャッチしたときには、これっていいよ、と素直に言えるひとでありたい。そして、感性に引っかかるものをキャッチするアンテナを常に磨いておきたいものです。そんなわけで、住さんのブログから引用です。

まずブログの冒頭に書かれている言葉に、うーんと唸りました。引用します。

小手先のテクニックが有効な期間は、周囲の者たちが、それを真似るか見破るかするまでのごく短い期間だけです。このブログに綴られているのは、僕がテクニックではない「本質的な何か」を探す旅の行程です。それは真理かもしれませんし、知恵かもしれませんし、自分自身の心と体かもしれませんし、他人や社会や世界とのつながりかもしれません。いずれにせよ、僕はそれを追い求める旅を、今後もずっと続けていくでしょう。

非常に端的に書かれていますが、これは深い。そして言葉は違いますが、ぼくの求めているものも同じだと思いました。ぼくは特に考え方に注目してテツガクと言っているのですが、住さんは「他人や社会や世界とのつながり」と言っているところに広がりを感じました。

さらにプロフィールに書かれている次の文章も、これは!と思いました。「情報を集めること」と「表現すること」が「生きること」と同じ意義を持っているとして、さらに次のように続けます。引用します。

また人は、生命を維持するために表現します。自分の状態や欲求を他者に伝え、必要な援助を得るためです。さらに人は、生命の維持だけでなく、社会に参加したり、その中で認められたりするためにも表現します。集めた情報や、それによって変化した自分を表現し、社会生活を営むのです。「表現」を「コミュニケーション」と言いかえてもいいでしょう。この意味で、表現することは、生きることと同じように重要なことです。

この切実さ。表現するとは何か、ということをぼくも考えつづけていたのですが、明確な答えを得たような気がしました。

そこでいくつかのエントリーを読み漁ったのですが、共感できるものがたくさんありました。住さんは、非常に抑制の利いた文章を書かれていて、まずその文章が気持ちいい。さらに、権威的なものによりかかるのではなく、ご自身の体験から真理を導き出そうとされている。その姿勢がいい。

3月23日のエントリーでは「僕がフリーランスを志向する理由」として、組織に属さない生き方についての考察をされています。そのひとつの方法としては、アフェリエイトがあるのですが、実際にぼくもアフィリエイトに関しては、ちょっときちんと学んでみようと思っていました。しかしながら、住さんが冒頭に掲げているように、「金儲け」のノウハウという表層的なテクニックに終始すると、たぶん広がりがなくなってしまう。

ダイバーシティ(多様性)の容認ということから、仕事における新しいスタイルとは何か、ということをぼんやりと考えていたのですが、それはIT業界のCPUをあらわす言葉ではデュエルあるいはマルチのように複数の頭脳を共存させる生き方につながっていくのではないかとイメージしています。つまり、ある意味、スーパーマン的な社会かもしれない。表向きの姿は新聞記者だけど、ネットという電話ボックスを潜り抜けると、まったく違うキャラクターに変身する。そんな感じです。仕事の傍らにブログやコミュニティを運営するなど、内職的に携わるパーソナルプロジェクトがあってぜんぜんかまわないかもしれません。むしろ、それを容認する企業が今後は主流になるべきだと考えています。しかしながら、どっちが本業?のようになってしまうのでは問題があるので、本業は本業であくまでもレベルの高い仕事をする必要があります。複線的に広がるそれぞれの世界が互いに影響を及ぼして、相乗効果をあげるのが理想的です。ということを、以下のように住さんは書かれています。

少し話が脱線しましたが、僕は通常業務であるところのウェブ制作やウェブ・マーケティング、そしてそれら関連した講演や執筆を本業としていて、それらの活動から派生したサイトを複数運営しています。しかし、本業だけに拘るのではなく、それらで得た「ノウハウ」や「人的ネットワーク」や「リンクポピュラリティ」や「トラフィック」を総合的に活用することで、さらに新たな「ノウハウ」や「人的ネットワーク」や「リンクポピュラリティ」や「トラフィック」を得ることができる、という好循環も生み出すことができます。このブログなどはその好例で、本業には関わりのないこともたくさん書いていますが、それらは、どんな形でかはわかりませんが、再び僕に戻ってきます。そしてまわりまわって、本業でも役に立つ、という具合です。

いままで、ぼくは自分の考えにいまひとつ自信が持てずにいました。というのは、複数の仕事やネットワークを共存させる考え方は圧倒的にマイノリティな感じがして、どこか後ろめたくもあり、もしほんとうにそれをやろうとすると組織から出て独立したほうがいいんじゃないの、ということにもなりかねません。実際に、そうしてフリーの道を歩んでいるひとも多いのですが、自分としては組織のなかにいながら複数の能力を発揮すること、組織にいながら内部に執着するのではなくて外部にも開かれているのが理想的だと思っていたわけです。

住さんの書かれていることが、ひとつのヒントになりました。そしてブログの書き方についても、学んだような気がします。そろそろ3月が終わりますが、1月から3月まではぼくのなかではある意味、実験期間でした。かなりラジカルな試みも意図的に行って、なるほどなあと感じたことが多くあります。来週、1週間はその総括を行いつつ、 自己規範のようなものを決めて、4月から次のフェーズへスタートしたいと考えています。

住さんのブログには、思わず姿勢を正されました。住さんがインターネットの信奉者であるように、ぼくもブログの可能性を信じているひとりです。へこみそうなときもありますが、そんなマイナスな自分も自分として認めつつ、さらに何ができるか考えていこうと思います。

投稿者 birdwing : 2006年3月24日 00:00

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