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2006年3月27日

感情のモノサシ。

感動した、というときにひとはどのくらいの感動をしているんだろう。たとえば感動のメーターがあったときに、メーターの針を振り切ってしまうような感動もあれば、わずかに針がぴくんと触れる感動もあるわけです。けれども、いずれにしろ言葉にすると、感動した、ということになる。針の触れ方は削ぎ落とされて、ある意味、デジタル処理されてしまう。言葉にすることはアナログのようで、実はものすごくデジタルなのかもしれません。

しかも、感動メーターがあるとすると、そのメーターは個々のものなので、感度が違っています。たとえば映画を観ているときに、まったく本筋と関係のない青空に泣けるようなひともいれば、映画館の全員が号泣しているのに、まったく平静なひともいるものです。はたして絶対的な尺度のモノサシはないのではないか、ということも考えてしまいます。もちろん統計学的には一定数のサンプルを集めたなら、ある程度の傾向がみえるのかもしれませんが。

満足に関しても同様のことがいえます。文章を書いていたり、音楽や絵画などの作品を創っているときに、ああこれで満足だ、作品が完成だ、と思えばそれで終了です。しかしながら、ちょっと待てよ、と思いはじめると、細部の詰めが気になってくる。もう一度やり直しをかけているうちに、別の部分も気になってくる。結局のところ永遠に直しつづけることになり、いつまでたっても完成しない。たまにぼくは、そんな無限ループにはまることがあります。

以前、はてなの開発者には「50%ルール」がある、ということをどこかで拝見しました。つまりサービスは、50%完成したところで公開してしまう。β版の段階で一般のひとに使っていただき、結果をフィードバックしてサービスの完成度を挙げていく、ということのようでした。50%というのは完成度が低いような印象もありますが、完璧なものが完成したときには時代に取り残されてしまうようなスピード勝負の時代には、不完全であってもまず世のなかに出してしまうスタイルが受け入れられるのでしょう。

一方でそれはインターネットの世界だから通用するスピードであり、なんでもかんでもそのルールを適用すると中途半端にもなってしまいます。スピードの速さで疲弊してしまう。リアルな世界では、スローライフな毎日もいいものです。

といいつつ、音を理解するスピードから脳の速さを測定するサイトがあるということをCNETJapanの記事で知りました。「脳の回転の速さを測れるウェブサイト、米国で登場」という記事から引用します。

同社のウェブサイトでは10分間のオンラインテストが受けられる。このテストでは、被験者に音の違いを矢印をクリックして回答させ、回答の速さと正確さを測定する。テストが終了すると、回答者はミリ秒までの精度で自分の脳の処理速度を知ることができる。

速度の判定には、以下のような基準があるそうです。

平均的な聴覚処理速度は、20歳代が68ミリ秒で、40歳代になると87ミリ秒、そして60歳代になると106ミリ秒になる。

最近、脳ブームともいえますが、ニンテンドーDSの人気ゲームのような仕組みでしょうか。結果を知るのが怖いのでやっていません。あえて、自分のモノサシは自分で作ります、とか言ってみたりして。

投稿者 birdwing : 2006年3月27日 00:00

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