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2006年5月 7日

充実、解放、そしてリセット。

GWも終了。とても充実して楽しい時間を家族と過ごすことができました。息子たちと水族館へ行き、青空に向かってジャンプするイルカに驚いた日もありました。イルカはすごいなとあらためて感動するとともに、とあるアーティストのアルバムのジャケットを思い出したりしたものです。

リアルライフを充実させるという目的から1週間ブログをお休みして、GWの最後の数日はネットにも接続しなかったのですが、そこで感じたことは、「ブログを書かなくても、ぼくという存在が損なわれることはない」ということでした。当たり前じゃん、と感じた方は、かなり健全な生活をされている方だと思います。節度のあるブログをつづけられている方にとっては、当たり前のことかもしれません。しかしながら、長くブログをつづけていると、いろんな脅迫観念のようなものにとらわれて、変な方向に流されそうになることがあります。

たとえば、「とにかく一日も休まずに書きつづけなきゃいけない」ということ。ちょうど林檎の皮を途中で途切れさせずに最後まで剥けるかどうか、ということに似た感覚ですが、何があっても書きつづけなきゃ、というこだわりのようなものが生まれてきます。「アクセスを増加させなきゃいけない」、「何か気の効いたことを書かなきゃいけない」というプレッシャーもある。SNSであれば、とにかく友達やリンクの数を増やさなきゃ、という思いにとらわれることもあるようです。

この強迫観念的な何かにとらわれてしまうと、本末転倒なことが起こりがちです。以前、子供の行事においてビデオ撮影に熱中することについても書きましたが、本来であれば、子供の成長した姿に感動したり、頑張っている姿を応援したり、青空や歓声や土ぼこりの匂いなどそのときの雰囲気を楽しむことが大事ではないでしょうか。ところが、撮影に夢中になると、記録すること、ネタづくりに注力してしまうこともあります。息子が転んだ、というときに、声援を送ったり駆け寄ろうと思う前に、ビデオのチャンスだ!と思ってしまうわけです。

時折、テレビの報道などで「やらせ」が問題になることもありますが、その気持ちもわかるような気がします。何か書かなければ、情報発信しなければ、表現しなければ、という強迫観念に襲われると、もっと面白いネタを、ということだけに目が向いてしまう。You Tubeなどのビデオ投稿サイトが盛り上がっているようですが、アマチュアの世界においても、そんな現象も生まれる(既に生まれている)かもしれません。でも、別に何もネタ的なものはなかったとしても、そのひとの人生は充分なものだと思うんですよね。

GWも同様かもしれません。旅行代理店の策略にはまっているのかもしれないのですが、どこかへ出掛けなきゃ、という一般的な「空気」があります。ゆるい常識のようなものが漂っていて、家でごろごろしているのが悪いことのようにも思える。天気のいい日にごろごろしているのは、たまらなく贅沢なことだとぼくは思いますが、なんとなく罪悪感のようなものを感じてしまう。

ネットに限らずあらゆる社会においては、一種の「あらねば」的な共通の空気を生成する傾向があるかもしれません。たとえば受験戦争もそうです。よい学校に入らなければ、という空気が生成される。企業には、さまざまなランキングあるいは格付けというものもありますが、多くの企業がそれらに敏感になるのも、売上や待遇などにおいて他と差をつけなければいけないという競争意識に追いたてられるからです。最近、話題になった言葉には、上流や下流という視点もありました。世のなかというものは、モノサシを作りたがるものかもしれません。

もちろん社会のモノサシが自分を判断する基準のひとつになるのですが、できれば自分のモノサシは自分で作りたい。強迫観念的な何かから解放されるには、自分で考える必要があります。ブログを書く場合にも、忙しくて書けないから書かない、というのと、書けるけれどもあえて書かない、というのは、結果は同じであったとしても「自分の意思」が介在するかどうか、という点で大きく違います。

この社会的な基準やモノサシ、あるいは強迫観念的な何かをぼくは否定、批判するものではなく、それが経済を活性化したり、世のなかをよりよくするための原動力になったり、生活や人生を向上させるための契機を作ってくれるものだとも考えています。見栄だって必要です。「ふり」につながるものかもしれませんが、まったく違う「私」を宣言することによって、言葉化された「私」に現実が近づいていくこともあるかもしれない。

けれども、一方でぼくらはもっと自由であってよいと思います。自分という「個」は生まれながらにして世界にひとりしかいない特別なものなのだから、誰か他人のモノサシを借りたり、他人の常識に必要以上に揺さぶられることはないのかもしれません(といっても、やっぱり気になりますけどね)。

と、GWが明けて、相変わらず理屈っぽい内容で、大量の無駄なテキストを生成しつつあるぼくのブログですが、中断してリセットをかけたところで何も変わらず、またこんな内容で書きつづけていきたいと思います。

投稿者 birdwing : 2006年5月 7日 00:00

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