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2007年2月16日

CLUYTENS / FAURE:REQUIEM

▼music07-011:かなしみと崇高さと、なめらかなヴェールに包まれて。

Fauré: Requiem; Pavane Duruflé; Requiem
John Carol Case Stephen Roberts [baritone] Timothy Hugh
Fauré: Requiem; Pavane Duruflé; Requiem
曲名リスト
1. I: Introit Et Kyrie
2. II: Offertoire
3. III: Sanctus
4. IV: Pie Jesu
5. V: Agnus Dei
6. VI: Libera Me
7. VII: IN Paradisum
8. Pavane Op.50
9. I: Introit
10. II: Kyrie
11. III: Domine Lesu Christe
12. IV: Sanctus
13. V: Pie Jesu
14. VI: Agnus Dei
15. VII: Lux Aeterna
16. VIII: Libera Me
17. IX: In Paradisum

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透明な音楽つながりでシガー・ロスからドゥルッティ・コラムまでいくつか音楽を聴いてきたのですが、どうも自分の好きなジャンルばかりでは広がりがないな、という行き詰まりを感じていました。イノベーションをテーマにブログを書いているのに、革新性に欠けます。

そんなわけで何かないだろうか探していたところ、自宅近くのCDショップで購入。久し振りのクラシックなのですが、冒頭の「入祭唱とキリエ」で感涙しそうでした。美しい。ポップスの弦やオルガンと違って、クラシックの音はまた違った趣がありますね(当たり前か)。やはり耳が慣れていないので、なんとなく疲労感があったりもするのですが、目を閉じると、暗く低く垂れ込めた雲の隙間から光が差し込んで、遠い山並みには積雪が白く輝いている、そんな風景が浮かんだりもします。「サンクトゥス」の明るい盛り上がりかたも気持ちいい。

ぼくは趣味のDTMで、シンセサイザーの人間のコーラスっぽいプリセット音をよく好んで使うのですが、生の人間の声が奏でる表現力にはかないません。折り重なるように、なめらかに連なっていく声のヴェールのようなものに包まれて、崇高なかなしみに浸されるような感じです。解説に、フォーレの音楽は「ほとんど自叙伝的な誠実さをもっている」と書かれていましたが、このフレーズに共感しました。自己に忠実に、音楽の精神性を追い求めた作曲家とのこと。ぼくもブログを書くように音楽を作りたいと考えているのですが、フォーレのようにありたいですね。

過去の迷える魂を鎮めたいと思う日があります。そんな時期出会いたい曲です。いま2度目を聴いているのですが、次第に身体にフィットしてきました。癒しというよりも、浄化作用という感じでしょうか。逆に自分のなかにある澱が浮かび上がってくる気がしますが、そうしたものときちんと対峙することが大事なのかもしれません。1月16日観賞。

++++

全然フォーレとは関係ないエピソードを。

うちの近所にはCD屋さんがふたつあるのですが、今回は昔からあるお店に行きました。フォーレのCDを持ってうろうろとしていると、店のおじさん(60歳ぐらい?)が、急にロックをかけはじめた。で、レジに行ってフォーレを差し出すと、

おにいさん、ロックは聴かないの?

とのこと。いやいや、いつもロックばっかり聴いているから今日はフォーレなんですよ、いま流れてるの、キンクスでしょ?とぼくが言うと、えっ、キンクス知ってるんだ!とおじさんは感激したようす。最近の若いひとって、昔のロックを聴かないでしょう、だから若いひとがくると、こうやってロックをかけて、ひそかにおじさんこの曲何?って訊かれるのを待っているんですよ、と話してくれました。なんとロックの啓蒙活動をされているらしい(笑)というか、ぼくはそんなに若くないんですけど(見た目は茶髪で童顔かもしれませんが)。

キンクスはですね、バンドでコピーもしたんですよ、とぼくが言うとさらに感激したようで、いやーわたしもギター弾いてるんだけど、もう指が動かなくて、と嬉しそう。PPMとか弾かれているようです。そして、ごそごそとチラシを探して、実は近所にお客様参加型ライブバーができたんですよ(わたしの知人がやってるんですけど)とのこと。楽器の持ち込みも可らしい。お客様参加型ライブバーっていったい(苦笑)。

しかしながら、早めに会社を切り上げて、地元で音楽好きなおじさんたちと飲むのもいいなーと思ってしまいました。アコギも練習して、いつか弾き語りもやってみようかと思ったりもして。今日、これからどうです?とおじさんに訊かれたので、いやー今日はちょっと(お金もないし)と言ったら、がっかりしてました。おにいさんみたいなひとが行くと喜ばれるんだけどなあ、とのこと。ごめん、おじさん。

というわけで、CD屋のおじさんとしばし音楽談義を楽しんだのですが、啓蒙活動の一環にぼくも参加することにしますか。キンクスの演奏をYouTubeから。しかし、すごい高い位置でベース弾いているなあ。

■the kinks all day and all of the night

*年間音楽50枚プロジェクト(11/50枚)

投稿者 birdwing : 2007年2月16日 00:00

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